三重県総合文化センター ブログ

取材ボランティアレポート「三重県総合文化センター防災訓練」

12月7日は、昭和東南海地震が発生した日で、三重県はこの日を「みえ地震・津波対策の日」と定めています。今回、三重県総合文化センターでは、「大ホールでピアノのコンサートが行われている最中に震度6強の地震が発生する」という想定で、三重県総合文化センターに勤務する職員と、ボランティア・関係機関による協力のもと、防災訓練が行われました。

防災訓練に参加したボランティアの私たちは、観客の役をしました。実際に演奏者役のボランティアがピアノの演奏をしている時、大きな音(地震の音)が鳴り、コンサートは中断され、職員が大ホールから広場まで私たちを避難誘導しました。大ホールという大きな空間では、マイクを使えない状況で観客全員を安全に誘導するには、職員の冷静な判断と連携、可能な限りの大きな声での呼びかけは必須ですが、私自身、観客役を体験して考えたことは、観客や出演者も含め、日頃の災害に対する意識を高めることが必要だと思いました。

そのシミュレーションのあとに、元消防士である三重県防災対策部防災企画・地域支援課の岩本さんによる講話の時間があり、どのように地震災害に備えたらよいか、分かりやすくスライドを使って説明くださいました。

私は三重県に引っ越してきてからは、家に防災バッグ等を揃えていなかったので、この防災訓練後、早速防災バッグを買い、備蓄品のチェックも行いました。

南海トラフ地震がいつ起きてもおかしくない状況の今、もう一度自分自身や家族、近所の方々とともに、災害について考え、情報を共有し、備えをしていく必要性を強く感じる防災訓練となりました。

(取材ボランティア:小此内寧々)

取材したイベント

三重県総合文化センター防災訓練
2022年12月19日(月曜日)

取材ボランティアレポート「小森あやさんとヒビユウさんの窓アート」

12月14日(水曜日)から3月26日(日曜日)まで展示されている「小森あやさんとヒビユウさんの窓アート」。今年の窓アートのテーマは「ブレーメンの音楽隊」です。

「ブレーメンの音楽隊」のお話を簡単に説明させていただくと……
「様々な理由で家から逃げてきたロバ、犬、猫、おんどりが音楽隊に入るためブレーメンへ向かいます。その道中、泥棒が家でごちそうを食べているのを見つけ、4匹の動物たちは協力して泥棒を追い出し、その家で平和に暮らしました。」という物語です。

12月5日の休館日、一足先に窓アートの制作現場を見学させていただきました。
下描きの様子やイラストレーターさんの作品への思いなどを聞かせていただける貴重な機会となりました。

館内に入ると絵の具のつんとした匂いがしていました。足場を組んで、とても大きなガラス窓に小さなイラストレーターさんが集中して作品を描いていました。

長い窓担当:ヒビユウさん
大きな窓担当:小森あやさん

エントランス上の長い窓を担当されたヒビユウさんの作品は、屋外から見て左から右にかけて「ブレーメンの音楽隊」のストーリーが進むようなデザインが特徴です。またMikkeの大きな窓を担当された小森あやさんの作品は、「ブレーメンの音楽隊」の楽しそうな雰囲気が伝わってくる表紙絵が特徴的です。

ある程度絵が描けたら外に出て、位置や大きさを確認する。その作業を繰り返して完成させていったそうです。

そして作業がひと段落ついた際にお二人にいくつか質問にお答えいただきました。

質問:一番こだわったポイントはどこですか?

小森さん
小さいお子さんからご年配の方まで幅広く楽しんでもらえるにはどうすればいいかを考えてデザインしました。
ヒビユウさん
絵を見るだけでストーリーが分かるような作品にしたいと思いました。また、小さい頃に読んだ「ブレーメンの音楽隊」を思い出しながら、「そういえばこんなシーンあったな」と思って楽しんでほしいです。

質問:どのようなところに注目してみてほしいですか?

小森さん
楽しそうな雰囲気を絵から感じ取ってほしいです。
ヒビユウさん
絵の流れやストーリー性を楽しんで見てほしいです。

お二人はとても物腰が柔らかく気さくな方で、質問にも丁寧に答えていただきました。しかし作業をしているときは真剣で、休憩されているときの朗らかな雰囲気とのギャップがとても印象に残っています。

小森あや
ヒビユウ

後日完成した作品を拝見して、朗らかなお二人の雰囲気がそのまま作品に表れていました。またガラス窓に目いっぱい描かれた作品はとても楽しそうな感じが伝わってきました。

窓アートは3月26日(日曜日)まで展示されていて、休館日も屋外からご覧いただけます。お立ち寄りの際はぜひ足を運んでみてください。

(取材ボランティア:ymk)

取材したイベント

小森あやさんとヒビユウさんの窓アート
2022年12月14日から2023年3月26日まで

イベント詳細ページへのリンク

取材ボランティアレポート「関ヶ原の戦と三重の城郭」


講師:竹田憲治さん

三重県埋蔵文化センターの竹田憲治さんを講師としてお招きし、関ヶ原の戦いと三重の城郭についてお話いただきました。

関ヶ原の戦いの前と後で三重県の様子はどうであったか、またその後、三重県の様子はどのように変わったのかをポイントに講演が進んでいきました。

関ヶ原の戦いは慶長五年(1600年)915日に、徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍が美濃国 関ケ原にて争った大合戦であり、「天下分け目の戦い」としても知られています。その大合戦の前に東北から九州にかけて全国的に戦が起こり、三重県でも各地で戦(いくさ)が起こりました。

津城や松坂城、鳥羽城、桑名城など各地で戦が起こり、東軍と西軍に分かれて戦いが繰り広げられました。関ヶ原の戦い後はその土地の大名である領主や石高(こくだか)が変わったり、城の形が変わったりと戦の前と後で状況が大きく変化していったのだと伺いました。

その中でも現在まで残っている変化が石垣です。関ヶ原の戦いの前後で石垣の造りがどんどんと進歩していったそうです。石垣の隅部(すみぶ)に長い石と短い石を交互に組み合わせて積み重ねていく算木(さんぎ)積みと呼ばれる構法が用いられた石垣や、矢穴と呼ばれる大きな石を割るために楔(くさび)を入れた穴の跡がある石垣は、関ヶ原の戦い後に造られた石垣ではないかといわれているそうです。

また津城では城を拡大するため、かつて本丸があった場所に継ぎ足すように石垣が造られたであろう跡が残っているそうです。訪れた際に探してみると面白いかもしれません。

現在城に残る石垣や発掘調査の成果で、改修の時期や改修前の様子が少しずつ解明されてきています。そのため石垣の詳細や新たな発見があるかもしれません。

石垣は当時のものが残っており、400年前の石垣の造りや技術を今でも見ることが出来ます。

もし津城や松坂城などを訪れた際には当時の状況を思い描きながら、また関ヶ原の戦い後の石垣の特徴などを思い出していただけたらより一層、理解が深まり面白いものになると思います。

(取材ボランティア:ymk

取材したイベント

まなびぃすとセミナー・三重県埋蔵文化財センター共催講座
原の戦と三重の城郭
2022年11月19日(土曜日)13時30分開講
講師 三重県埋蔵文化財センター 竹田憲治


取材ボランティアレポート「みんなでうたいましょうなつかしいメロディーを」

2019年以来3年ぶりに開催された大人気講座「みんなでうたいましょう なつかしいメロディーを」。感染症対策のため、例年より半数の定員でしたが、みんなで歌う喜びを味わう時となりました。

講師阪野徹さん

講師の阪野徹さん(三重県文化会館アドバイザー)は、詩の意味やその曲のエピソードを交えながら、歌いやすく美しい伴奏をしてくださいました。いくつかの曲にはフルートの音色も加わり、さらに音楽の世界が広がる華やかな空間になりました。

誰もが知っている「故郷」から始まって、春、夏、秋、冬と四季を感じる曲や、三重県児童福祉の歌「虹の橋」、外国民謡等々、バラエティに富んだ合計22曲を歌い、2時間があっという間に過ぎました。まだ記憶に新しい2020年度のNHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルになった古関裕而(こせきゆうじ)さんの曲も数曲歌いました。

私自身は知らない曲が多くあったのですが、他の参加者の方々の中には、楽譜を見ずにスクリーンに映された歌詞だけを見て歌っている方もおられました。古き良き歌を、まず自分自身が知り、次の世代にも継承していく必要性を感じました。

 

最後の2曲、「手のひらを太陽に」と「Believe」を歌いながら、私たち人間は1人では生きていけないこと、こうしてみんなで歌うことによって励まされ、強くなっていくのだと思いました。

参加者それぞれが心のうちに、なつかしさ、愛しさ、時に切なさを感じながら、過去や未来を思いながら、自らの声に希望を託して歌ったのではないでしょうか。これからも、私たちに寄り添い続けてくれる数々の歌を口ずさみながら、前を向いて生きていこうと思いました。

(取材ボランティア:小此内寧々

取材したイベント

三重のまなび2022 まなびぃすとセミナー みんなでうたいましょう なつかしいメロディーを
2022年10月19日(水曜日)13時30分から15時30分まで
講師 三重県文化会館アドバイザー 阪野徹

取材ボランティアレポート「自然と再エネが共生するまち 度会町」その2

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伊勢志摩地域である度会町。

人口は8000人程で、宅地面積はわずか1%、森林面積は85%と、まさしく自然と共存しているまちである。

清流 宮川では、ボードの上に立って漕ぐSUP(スタンドアップパドル)というアクティビティがある。また、子どもたちの教育の一環として田植え体験、度会ウインドファームでは30,000世帯の電力を発電する事業など、豊かな自然を活かした取り組みを行っている。デジタル社会の今、リアル体験ができることはとても貴重だと感じた。

また、度会町は伊勢茶も有名である。様々な種類の茶葉や品種があり、それらをPRするために、カフェだけでなく創作料理やBAR、イタリアンレストランなど30店舗ほどとコラボレーションを果たした。さらには首都圏でコラボメニューの販売も行った。お茶の妖精のキャラクター「ティーナ」も度会町のお茶を盛り上げている。度会町の自然で育ったお茶がもっと有名になれば、今よりも度会町のお茶を様々な場所で味わえるようになるだろう。

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そして、伊勢茶を盛り上げているのはティーナだけではない。

皇學館大学の学生とコラボした「度会カフェリョクプロジェクト」である。2016年から発足し、今年で7年目となる皇學館大学の学生による活動である。

伊勢茶や日本茶の普及、地域活性化を目的とし、料理が主ではなく、お茶をメインに考えた料理についてのアイディアシェアリング、伊勢茶PRポスターの制作や動画撮影、伊勢茶を使ったパン作り、「宇治山田の和紅茶」の開発・販売など様々な活動を行っている。ゼロから何かを生み出すという普段なかなか出来ない活動ができるというのは、度会町を盛り上げるだけでなく、自分自身の成長にも繋がるため、鍛えられた経験を他のことにも活かせる。そうすれば、様々な取り組みをもっとしたいと思うようになり、どんどんその輪は広がっていくと感じた。

取材メモダウンロードファイルリンク(PDF形式、558キロバイト)

(取材ボランティア:m.)

取材したイベント

三重県生涯学習センター×皇學館大学×度会町 連携協定事業講座「自然と再エネが共生するまち度会町」
2022年6月4日(土曜日)

取材ボランティアレポート「自然と再エネが共生するまち度会町」

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度会町役場職員、みらい安心課の倉田晃旗(こうき)さんと、皇學館大学現代日本社会学部現代日本社会学科准教授の藤井恭子さんを講師としてお迎えし、度会町の自然や文化、特に、日本茶・伊勢茶の魅力について、お話を伺いました。

度会町は人口約8000人の小さな町で、森林が土地の85%を占め、清流宮川が町の中心を流れる自然豊かな土地です。度会町には、この豊かな自然を活かしたアクティビティが多くあります。町を囲む標高約200700mの比較的小さな山々は「わたらいセブンマウンテン」と名付けられ、初心者から本格派まで、多くの人が山登りを楽しむことができます。

ハイキングの他にも、清流宮川を安定性の高いボードに立ったまま進む「SUP(スタンドアップパドル)」というスポーツも体験することができます。SUPは、まるで水の上を歩いているような感覚になることから、「水上散歩」とも言われています。

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そのような自然豊かな度会町の特産品の一つがお茶です。三重県のお茶の生産量は全国3位を誇り、度会町でも多く栽培されています。

度会町や伊勢茶の魅力を発信すべく、皇學館大学の現代日本社会学部では、学生主体の「度会カフェリョクプロジェクト」という活動を2016年より開始しました。

このプロジェクトでは、学生たちが積極的に学外に出ていき、実際に伊勢茶の生産工程を見学することから始め、伊勢茶に合う料理のアイデアを出し合ったり、伊勢茶を使用したパン作りをしたりと様々なことに挑戦しました。そして、学生たちがすでに企画販売している「宇治山田の和紅茶」のパッケージの刷新や新たな種類の茶葉の追加をし、現在もそのPR活動、販売を積極的に行っています。このような活動を通して、より良いまちづくりや、地域の産業の担い手不足解消を目指しています。今後も、近年関心が高まっている「SDGs(持続可能な開発目標)」を踏まえながら、自然を活かし地域に根差す活動を続けていく予定です。

皆様もこの夏は、度会町でハイキングをしたり、清流宮川でSUPを体験したり、皇學館大学の学生がプロデュースした「宇治山田の和紅茶」を味わったりして、三重の魅力を満喫してみてはいかがでしょうか。

(取材ボランティア:小此内寧々

取材したイベント

三重県生涯学習センター×皇學館大学×度会町 連携協定事業講座「自然と再エネが共生するまち度会町」
2022年6月4日(土曜日)

取材ボランティアレポート「久居藩の城下をたずねて〜久居350年の歴史を歩く〜」

上野英三郎博士とハチ公像
上野英三郎博士とハチ公像

久居藩初代藩主であった藤堂高通公がこの地を「久居」と名付けたのに始まり、入府してから昨年で350年となりました。この節目に私たちは、久居城下案内人の会の皆さんと、全国初の外国人神主である久居八幡宮禰宜の山中フローリアンさんの解説を聞きながら、実際に久居の町を歩いてみました。

近鉄久居駅東口すぐの「上野英三郎博士とハチ公像」よりスタートし、玉せん寺、妙華寺、大手門跡、子午の鐘、久居八幡宮等を見学し、この地に今まで受け継がれてきた文化を肌で感じることができました。

しころ屋根
妙華寺本堂のしころ屋根(国登録有形文化財)

玉せん寺の本堂には久居藩初代藩主高通公の像と二代藩主高堅公の木像が納められており、境内には藤堂家の墓所もある為、この地を統べた藤堂家の歴史に思いを馳せることができました。妙華寺は屋根が錣(しころ:兜の首の後ろ側にさげて首筋を覆う部分のことを言い、後ろから斬られないようにするもの)のような形になっている等、特色のある外観をもち、国の有形文化財として登録されています。どちらも見れば見るほど、新しい発見がある場所でした。

大手門跡
大手門跡 久居郵便局

現在の久居郵便局があるあたりに、明治時代まで大手門という大きな門があったそうです。殿様が参勤交代等で出るときには家臣らがこの大手門まで見送り、戻るときにも大手門で迎えたようです。この大きな門は、当時の武家と町人とを区別するしるしにもなっていたのだろうと思いました。

講演の様子
久居八幡宮禰宜 山中フローリアンさん

「日本は文化が途絶えておらず、ひとつひとつに意味があることがすごい」と、山中フローリアンさんが仰っていました。今回実際に久居の町を歩いてみて、本当にその言葉の通りだと思いました。

「久居」は、高通公がこの風土を愛し、「永久に鎮座する(永久に居る)」という意味で名付けたと言われています。今を生きる私たちも、この地に永く住み続けることができるよう、更にこの町について知っていきたいと、そんなふうに思った一日でした。

(取材ボランティア:小此内寧々)

取材したイベント

講座ボランティア企画 郷土を歩こう!
久居藩の城下をたずねて〜久居350年の歴史を歩く〜
2022年5月18日(水曜日)

取材ボランティアレポート「そうぶんの竹あかり」

撮影:新井良規

立冬が過ぎて日の入りが急に早まった11月11日。
今年5年目となる「そうぶんの竹あかり」が祝祭広場で開催となりました。
今年の竹あかりのテーマは『世界はただ輝いて』。


そして今回は、11月12日から始まる「女性に対する暴力をなくす運動」のイベントであるパープル・ライトアップとコラボレーションした紫にペイントされたリボン型の竹(竹ひご)と紫のライトも点灯されて、いつもと違った雰囲気の竹あかりも見ることができます。

パープルライトアップ 撮影:新井良規
撮影:新井良規

この日のオープニングセレモニーでは、一昨年前から竹あかり会場で流れていた倍音楽演奏家の「倍音人(バイオンビト)Road」さんの生演奏が行われました。

音は音程を決める基音と音色を決める倍音で構成されています。倍音は単一ではなく整数倍の周波数が幾重にも重なった音で、倍音がどう共鳴するかによって音色は決定されます。

演奏に使われる楽器はガンクドラムとハンドパン。ガンクドラムは日本の楽器で四日市で製作されており、ハンドパンはスイス発祥の楽器です。両種はよく似た円盤型の金属製打楽器でスピリチュアル音楽として耳馴染みのある癒やしの音色を発します。

倍音人Roadさんの演奏

落日とともに明るさを増す竹あかりを前に入念なリハーサルを終えたRoadさんが、一畳分もない小さな低いステージに胡坐を組み、楽器を抱え込みました。

イメージを確認するかのように竹あかりを仰ぎ見てから、弾くように軽く指先で楽器を叩くと、ボワンと膨らんだ空気のような高音が波打つような感覚で流れ出します。

撮影:新井良規

その音を辿って耳を傾け、叩く・押さえる・擦る独特の奏法。それは次第に早くなり素早く動く両手からは長く美しい響きと響きのない短い音が幾重にも重なって波紋のように遠くへ拡がっていきます。
音の綾は無邪気な子どもたちの笑い声と出会うと現実を包み込み、すべての音が遠くから聞こえてくるような幻想的な空間へと変わりました。広場の聴衆をすべて包み込んだ音の綾は夕闇の片隅で秘やかに耳をかたむけていたそうぶんの警備員を包み込んで、最後に暗闇に解けて20分間の短い演奏は終わりました。

わずかな静寂中「今日はよう寝られそうや」と誰がが呟いた声にハッと引き潮のように現実が戻った目の前には、始まりと同じように竹あかりがただ輝いているだけでした。

(取材ボランティア:鈴木ゆかり)

取材したイベント

そうぶんの竹あかり「世界はただ輝いて」
2021年11月11日(木曜日)から11月28日(日曜日)まで

取材ボランティアレポート「ワンコインコンサート ミュージカル菜那くらら&花陽みく」

ワンコインコンサート

待ち望んでいた宝塚OGによるワンコインコンサート『ミュージカル菜那くらら&花陽みく』が一年越しでやっと開催されます。花組と月組でエトワールを務めた2人の歌声を大ホールで聴くことができるなんてなんと嬉しいことでしょう。

こちらは毎年恒例の国際共同組合デー記念コンサートです。開演前に梶館長から県内4つの共同組合の紹介と公演の見所としてエレクトーン奏者の宮崎誠さんの伴奏も愉しみにとの話しがありました。ワンコインコンサートのソロ出演歴もある宮崎誠さんは伴奏も併せると県文化会館への出演が4回もあるそうで、意外な縁に開幕前から客席と舞台の距離が縮んだような気がします。

気持ちも和み暗転した客席に突如として宝塚の代名詞とも言える『ベルサイユのばら』のプロローグが重々しく流れます。耳に入る多彩な楽器の音色はオーケストラの伴奏かと錯覚するほどで、事前に話しを聞いていなければとてもエレクトーン1台の演奏とは思えません。

そして舞台中央に2人の姿が。
退団してから3年以上経っているのにまったく変わらない姿に胸が熱くなります。

『ベルサイユのばら』と言えば男装の麗人オスカルが有名ですが主役はマリーアントワネット。マリーアントワネットの幼少期から斬首刑までを書いた同作の歌い出しは故郷を思う切ない歌詞の『青きドナウの岸辺』から。高く澄んだ歌声が客席を瞬時に魅了していきます。
続いて宝塚では珍しく1年間のロングラン公演となった伝説の海外ミュージカル『ME&MYGIRL』をメドレーで。ロンドンの下町ランベスで生まれた女の子が両親に「世の中に出て悔しいことが起きたら顎で受け流しなさい」と言われた言葉を健気に守り、笑って明るく歌う『顎で受けとめなさい』など、短い歌のひとつひとつに気持ちを込めて歌う姿は観ている者を物語の世界へと導いてくれます。そして同公演一幕の最後に歌われる軽快な『ランベスウォーク』では自然と手拍子が入り徐々に会場の空気が温まっていきます。
宝塚の代表曲を歌い終わった後は2人が選曲したソロを順番ずつ歌い継ぎます。宝塚公演パパラギより『心はいつも』、ミュージカルモーツアルト!より『ダンスはやめられない』、ミュージカルロミオ&ジュリエットより『あの子はあなたを愛している』、現在再演中のミュージカルレ・ミゼラブルより『夢やぶれて』…。

ソロが終了し中盤が過ぎると緊張が溶けたのか2人とも少しホッとした様子で、こんな大きなホールでソロを歌うことができて幸せだと嬉しそうに話していました。歌劇団にいたのに不思議な話しだと思いますが、宝塚ではメロディラインは男役が歌うもので、娘役はハーモニーがほとんど。ソロを歌うことは少なくてそのような感慨が口に出たのかもしれません。一昨年行われた宝塚OGのワンコインコンサートでは男役と娘役のコンビでしたから娘役の美しい歌声を堪能できる今回のコンサートは貴重なのです。

そんな2人が最後に選んだ曲はNHK朝ドラの主題歌『おひさま〜大切なあなたへ〜』。MCでは無観客公演のことにも触れられ観客の前でパフォーマンスをすることの意義を噛みしめて話され客席に観客がいることの重要さを語っていました。そんなコロナ禍での公演の困難さが歌詞と繋がります。

あなたは私の奇跡
あなたは私の希望

この暮らしが続くのなら
なにもいりはしない
(『おひさま〜大切なあなたへ〜』作詞:岡田恵和)

2人の心地よい透明な歌声は自粛生活に疲れた心に涼やかに染み入ります。お別れはプログラムには載っていないけれどもOG公演でお馴染みの『すみれの花咲く頃』を。宝塚を知らない人でも口ずさめる有名な歌は実は娘役のソロから始まります。

春 すみれ咲き春を告げる
春 なにゆえ人は汝を待つ
『すみれの花咲く頃』作詞:Fritz Rotter・白井鐵造)

優しい歌詞とソプラノの歌い出は聞く人を常に感動させます。引き続いて『この愛よ永遠に〜Forever TAKARAZUKA〜』が。大地真央の公演主題歌だったこの歌は歌詞を変えて宝塚を代表する歌となりました。コロナ禍で公演が中止となる度にどれだけこの歌詞に励まされてきたでしょう。そしてそれを周知の宝塚ファンが応援するように湧き上がる手拍子。まるで大劇場公演を観ているようです。

終演後のロビーには「宝塚を観るのは本当に久しぶり」、「また大劇場に観に行きたいね」など喜びの囁き声が響きます。

清楚で愛らしい容貌の菜那さん、多彩な表情で魅せる花陽さん。退団してもなお宝塚を感じさせることのできる2人の娘役力はなんと素晴らしいことでしょう。今となっては何ごともなく日常生活をおくるれることが本当に奇跡。大きな声で笑い、話し、エンターテイメントを堪能できる日が戻って欲しいと心より願いました。

(取材ボランティア:鈴木ゆかり)

取材したイベント

ワンコインコンサート ミュージカル菜那くらら&花陽みく
2021年7月16日(金曜日)11時30分開演

取材ボランティアレポート「こいのぼりがいっぱい!!」

こいのぼり2021

その準備は気温が一桁に落ちた少し寒い朝のこと。

2年振りに『こいのぼりがいっぱい!!』のイベントが決定し、久し振りに顔を合わせたスタッフとボランティアは開始時間を待ちきれずに準備を始めます。

ギュウギュウと箱詰めされていたこいのぼりたちが外へ出られる日がやっときました。感動が目に沁みる…じゃない!マスク越しでも咳き込むほどの強烈な防虫剤臭!驚いてスタッフを見ると「心配だったので途中で防虫剤の量を増やしました」テへッと笑う。さすがに抜かりがない。

しわしわのこいのぼり

しかし…出てきたこいのぼりたちはシワッシワで元気がなさそう。一方のスタッフとボランティアは生き生きとこいのぼりをワイヤーに繋げていきます。

作業風景

「ここは色が同じだから、変えた方がいいよね。違う色あるかな」
「端の方は壁に引っ掛かるから小さいのがいいんだよね」
勝手知ったる作業を着々とこなし、祝祭広場にこいのぼりの花畑が広がります。軍手代わりの花柄のガーデニング用の手袋がお花畑によく似合う。

こいのぼりはワイヤーの片側に一列に並べないと揚げる途中で絡まり大きな手間となるのですが、今年は風がないので作業は本当に楽。順調に準備が整い、スタッフ考案の『ワイヤー2本連続揚げ作戦』で大量のこいのぼりたちはあっという間に空の上へ!

けれど…。風がなく、だらりとぶら下がるこいのぼりはまるで洗濯物のよう。ずらりと垂れ下ったこいのぼりたちを見て「まぁメザシのようだわ〜」と笑う朗らかな声が合図となったのか、微風に吹かれ一匹また一匹とこいのぼりが泳ぎ出します。一斉でなく気ままに、あっちこっち揃わずに。その緩さが妙で心地よい。

そうだね、この1年はこいのぼりだけじゃなく私たちも外に出てゆっくり空を見ることもなかったよね。自由になったこいのぼりと一緒に気持ちも軽くそうぶんの空に漂っていきます。

こいのぼり2021

ふと気がつくと子どもがこいのぼりの下を両手を広げ飛行機を真似てブーンブーンと走り回っています。強い日差しにこいのぼりの影が地面に映り、それはこいのぼりと一緒に水底を泳ぎ回っている小魚のようにも見えます。見上げると透きとおった青空に気ままに泳ぐ鯉たちの群れ。ふと自分も川底にいるような、そんな錯覚に陥ります。

さて、そうぶんコソコソ話。
150匹のこいのぼりの中に頭に「祝」と書かれたこいのぼりがいます。「祝」こいのぼりを見た人はいいことがあるとかないとか。そうぶんを訪れた際には「こそっと」探してみてください。

(取材ボランティア 鈴木ゆかり)

取材したイベント

春のそうぶんに行こうよ!こいのぼりがいっぱい!!
開催期間:2021年4月23日から5月9日まで

こいのぼりがいっぱい詳細ページへのリンク

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