三重県総合文化センター ブログ

取材ボランティアレポート「不思議な確率の世界」(みえアカデミックセミナー2020)

講座の様子

毎年、夏になると、書類でパンパンに膨らんだファイルを小脇にかかえた大人たちでごったがえす受付の風景が、今年はすっかり様変わり。ソーシャルディスタンスを保つため、定員を減らして始まった「みえアカデミックセミナー2020」も、残すところ二日となった8月25日。颯爽と登壇した先生は、数学の先生。

えーっ?数学?もう何十年もやってないような・・・大丈夫かな・・・?

「確率論が専門です」と自己紹介して始まった講義は、まず、簡単な計算から。
「みなさん、さいころを振って1の目が出る確率を計算してみましょう」

うん、それは簡単だ。さいころの目は1〜6まで6個だから、1/6でしょ?
あれ?でも割り切れないよね?小数点で表すと、0.1666666666・・・・・?

「では、次の問題です。コインを投げて、表が出たら100円手に入れることができ、裏が出たら100円失うというゲームで、手に入るお金の平均値は?」

むむむ・・・ちょっと難しいぞ。先生が何やら計算式をホワイトボードに書き始めた。

 

講座の様子

表が出る確率は0.5。裏が出る確率も0.5。
だから、平均値は、
100円×0.5+(-100円)×0.5=50円-50円=0円

なるほど!つまり、当たるも八卦当たらぬも八卦。五分五分ってことね!

だけど、実際、この賭けをやっている時の人間の心理を考えてみると、

ずーーーーっと負けが続くと、「もう、そろそろ運が向いてくるんじゃないか?そろそろ、敗けを脱出して勝ちに転じるんじゃないか?」などという期待がわいてきて、ゲームをやめる踏ん切りがつかない。

そういう現象も、「ランダムウォーク」という、自然科学、ギャンブル、投資などさまざまな確率現象をシンプルに分析する手法で説明がつくそうだ。

わたしたちの身の回りで、ゲームや賭けだけでなく、保険料をどうやって決める?という時にも、確率論が使われている。

 コインの表か裏か?みたいな決断を迫られた時、私たちは直感に頼るわけだけど、直感と確率は案外ずれていることが多い。コインを投げる回数が少なければ、確率からずれた結果になることもあるけれど、「大数の法則」といって、コインを投げる回数をどんどん増やしていくと、結果がかぎりなく確率に近づくんだそうだ。だから、大量に契約を結ぶ保険で、保険会社が損をしないという。

 「21世紀は確率の時代です。これから勉強をしようという若い人たちには、ぜひ、確率論を勉強するようにすすめてください!」
先生はそう力強く言って講義を終わった。

これからはAI=人工知能の時代。そこでものを言うのが、「確率論」。

あなたも、21世紀の未来にむかって、確率論を勉強してみませんか?

(取材ボランティア:海住さつき)

取材した催し

みえアカデミックセミナー2020「不思議な確率の世界」

日時:2020年8月25日(火曜日)13時30分
講師:鳥羽商船高等専門学校 一般教育課 准教授 田中秀幸

取材ボランティアレポート「源氏物語に埋め込まれた真意を読む」

講師

会場に入ると、ステージの上には大きなグランドピアノが暗めの照明の下でぴかぴか輝いていた。通路には紫式部という名前の花が飾られ、源氏物語好きの人たちの気分を盛り上げてくれている。受付が始まるとあっという間に席が埋まり、開演を今か今かと待ちわびた。

この日の会場の雰囲気は、「朗読会」というより「演奏会」。
もちろん、私たちが待っていたのは、河原徳子さんというスーパースター。
そう、あの日、会場にいた私たちの目の前に現れたのは、紫式部その人。
河原徳子さんは、見事に紫式部に成り代わって私たちに源氏物語の世界を再現してくれた。

演奏

今回は、「朗読とピアノ」のコラボレーションで、ピアニストの西野愛さんが河原徳子さんの朗読に合わせて演奏。あまりにも朗読にぴったりで感動したのだけど、全曲、この日のために作られたオリジナル曲だということだった。

ああ、そんな貴重な演奏が、たった一日で終わってしまうなんて!これはぜひ、CDにしてほしいし、テレビ番組で「源氏物語特集」として再現してほしいと心から思う。

瀬戸内寂聴訳の源氏物語は、実は全巻買ってある。瀬戸内寂聴さん渾身の力作だから、まよわず全巻注文して買ったのだった。しかし、まだ全然読んでない。ひとたび、ページを開き、源氏の世界に没入してしまうと、俗世に戻ってこれない気がして怖いのだ。だから、ゆっくりお茶でも飲みながら、読書を楽しむ生活ができるようになった時のために、本棚の一番奥にしまってあるのだけれど、河原徳子さんの朗読を聞いたら、我慢できなくなってきた。源氏物語を持って喫茶店に行き、モーニングをいただくっていうのはどうかな。できれば、クラシック音楽がBGMにかかっているお店がよい。和服を着ながら読むとさらに雰囲気が出るかもしれない。

会場の様子

ピアノの伴奏で朗読を聞くという優雅な設定はとてもロマンチックなのだが、紫式部が源氏物語で訴えたかったことはそんなロマンチックなことではなかった。光源氏という一人のモテ男を中心に繰り広げられる恋の物語には違いないが、そこには、主体的に人生を選ぶことのできない女の悲哀がつまっていた。

源氏物語の前半は昼ドラの世界だけど、後半はまさに現代社会に生きる私たち女性が抱える問題そのもの。女性の自立がかなわず、自分の意思で人生を選ぶことのできなかった時代ではなく、がんばれば自分で人生設計ができるようになった今だからこその苦悩があの時代にここまで具体的に書かれていたとは驚きである。紫式部の生きていた時代にできた女性の唯一の自立は「出家」。出家することでしか、女性は男から自由になることができず、心の平安を保つことができなかった。だからこそ、紫の上は死ぬ直前に「出家させてくれ」と光源氏に必死に頼んだ。

そんな世界をステージ上で繰り広げてくれた河原徳子さんに感謝です。

(取材ボランティア:海住さつき)

取材したイベント

源氏物語に埋め込まれた真意を読む

開催日:2019年9月22日
会場:三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」多目的ホール
講師:河原徳子さん(朗読文学サークルパティオ主宰、日本文学研究家)

取材ボランティアレポート「M祭!2019」

エムコレ

台風の心配もありましたが予定どおり『M祭!』を開催すると言うことで行って来ました。
『M祭!』はご存じのとおり三重県立総合博物館、図書館、文化会館、生涯学習センター、男女共同参画センターが一体となって行う子どもたちの好奇心を刺激し、楽しく学んで体験できる県内最大級のイベント、子どものためのお祭りです。

開始30分前、スタッフは準備に大忙し。
「おはようございます。台風、逸れてよかったですね」
「でも暑さが心配なんですよ」
連日の猛暑に運営スタッフは気が抜けません。何が起こるかわからないのが子どもの世界。さて、どんな一日が始まるのでしょうか。
開始時間10時、大人たちの心配をよそに我先にと子ども達は駆けてお目当てのイベントに滑り込みます。

「やったー、一番!」
「元気いいね、このイベントが最初なの?」
「お茶を飲んで2つめ」
「お茶?」
後ろからゆっくりと歩いてくるお母さんたちが恥ずかしそうに、
「抹茶を飲んでました・・」

「冷たいお抹茶を飲んでみよう」は、大人も子どもも参加できるイベント。なるほど、親の愉しみも入っていて両得です。そうしている間にも、幼児から小学生、外国に由来のある子どもたちまで、どんどんと子どもの列は伸びていきます。朝一番からこんなにもたくさんの子どもたちが集まって来るなんてM祭の浸透率に驚かされます。
そんな子どもたちの興味をひこうとイベントスタッフは一生懸命。

「これ作って行かない、楽しいよ!」

2つの絵をくるくる回すとパラパラマンガになる「ぶんぶんゴマ」に子どもたちは興味津々。
うれしそうに大きく頷いて駆け出す子、恥ずかしそうに小さく頷いて親と一緒に歩いて行く子、子どもたちの表情は多様で本当にほほえましいものです。

お昼前、午後に向かって子どもたちがどんどんと増えていく中、祝祭広場では暑さ対策にスタッフがビニールプールで水風船をせっせと膨らましていました。子どもたちが絶対的に大好きな風船で誘って涼をとろうなんて素晴らしいアイデアです。

ゴミラー
ゴミで作ったゴミラー
ゴミラー
OHPを使って天井に映し出します
ゴミラー

祝祭広場をぐるっと回って、フレンテみえの生活工房へ。
ゴミを使ってアート作品を作るイベントでは子どもの意外な才能に触れることができます。

「これはとても素敵ですね、見本ですか?」
「いいえ、全部子どもたちが作ったものなんです」

昔は手先の器用な子どもが図画工作の優等生でしたが、今の子どもたちはいろんな情報があふれている環境から好きなものを取り出すことができるので、ゲームクリエーターかキャラクターデザイナーかのような完成された未知なる創造物が作られているのです。ただただ、子どもたる才能の爆発した世界に大人は感服するのみです。

風車
八重のかざぐるま作り体験
ぶんぶんゴマ
ぶんぶんゴマ作り体験

とは言え、単純明快な遊びも子どもは本来的に好きなもの。
塗り絵や、竹とんぼならぬ「ストロートンボ」、草笛、昔懐かしい缶バッチ、走って走って風とひとつになれる風車・・・宝物を抱えて親子で笑う帰り道。

そんな中、いつの間にかシルバーカーを押した女性が同じように親子の背を目で追っていることに気がつきました。たくさんの子どもたちをいとおしそうに眺めるその姿は温かさと優しさに溢れています。

ここに文化施設があることが、M祭の開催が、今日と明日の元気が生まれるひとときになるのだと、その背中が伝えてくれます。子どもたちのためにすることはすべての大人たちに還ってくるものなんだよと、目にはみえない素敵なコミュニケーションをもM祭は作っているようでした。

(取材ボランティア:鈴木ゆかり)

取材したイベント

M祭!2019 キッズ・アート・フェスティバル

開催日:2019年8月4日
場所:三重県総合文化センター、三重県総合博物館

取材ボランティアレポート「漂流民 大黒屋光太夫の地を歩くー光太夫の白子・若松を訪ねてー」

伊勢若松駅

本日の講座は伊勢若松駅から始まります。
大黒屋光太夫―
鈴鹿市白子から出航した船頭が巡り巡ってロシア皇帝エカテリーナ二世と謁見し10年の歳月を経て日本に帰港した、この歴史上の人物のことを三重県民はどのくらいの人が知っているのでしょうか。
名前は知っていても簡易な概要しか知らなかったところ、鈴鹿市学芸員の方の説明は非常にわかりやすく、すんなりと頭に入り、帰国までの長い行程も映画のようにリアルに浮かび上がります。

心海寺
書物『極珍書』の実物

地元の大黒屋光太夫顕彰会のみなさんには、1798年に心海寺の住職が生存者の1人である磯吉から話を聴き留めた書物『極珍書』の実物を見せていただきました。参加者全員がどよめき、「政府の役人がまとめたものなら重要文化財の価値がある代物なのですが、一介の住職がまとめたものなのでこれは何ものでもないんですよー」なんて自虐ネタで笑わせていましたが、年代を感じさせない装丁は代々大切に保管してきた証。郷里の人々の大黒屋光太夫たちへの愛情が窺えます。
 河原徳子先生の講義は井上靖『おろしや国酔夢譚』と吉村昭『大黒屋光太夫』を朗読により比較するもので、巧みな語りがBGMの太鼓の生演奏と相まって、遠州灘の暴風雨、極寒ロシアでの凍傷による脚の切断シーンは息詰まる緊張場面の物語性をより高めて臨場感あふれるすばらしいものでした。
歩く距離もほどよく、頭も使い、郷土の歴史を深く学べ、良いこと尽くしなのですが、さらに歴史講座だからか1人で参加されている方もおり、こちらも気が楽になる講座となりました。

快晴で波穏やかな港

さらに、一足伸ばして町中をぶらり。
せっかく講座を聴いたのだからより大黒屋光太夫たちを知りたく、港までふらりと歩いてみました。快晴の波穏やかな浜。光太夫たちは何の不安もなく江戸まで5日程度の旅をここから出航したのでしょう。
それから日本の地を踏んだのは10年後、さらに郷里の地を踏んだのは20年後。1986年に発見された『大黒屋光太夫らの帰郷の文書』には存命であった母親と逢い、伊勢へお礼参りに行ったことが記述されているそうです。これは幕府から軟禁され罪人のように扱われ寂しい晩年であったとする説を覆す新しい発見であるとともに明るい歴史を光太夫に与えたものでした。
しかし、若松東墓地には消息を絶って2年後の三回忌に荷主が建立した光太夫たち「神昌丸」乗組員の供養塔があります。帰省した光太夫は自分の法名と亡くなった乗組員の名前を見て何を思ったのでしょうか。出航時17歳だった1番若い磯吉はさておいても、船頭の自分だけが生き延びて帰国した現実。さらに英雄であるかのように扱われ請われるままにロシア語を書いてみせる日々。光太夫の真の心境は明確にはされていないのですが、影は確かに光太夫の中に存在したのだろうと想像を巡らせてしまいます。
記念館のロシア語の展示物は影なのか、光なのか。

大黒屋光太夫は単なる歴史上だけの人物ではなく、現代の社会人と同じく管理者としての責務や困難を生き抜く力を教えてくれる良き先人であるのだと強く実感し、伊勢若松駅へと向かいました。

 (取材ボランティア 鈴木ゆかり)

取材したイベント

漂流民 大黒屋光太夫の地を歩くー光太夫の白子・若松を訪ねてー

開催日 2019年5月8日(水曜日)
場所  大黒屋光太夫記念館、若松公民館(鈴鹿市若松)とその周辺

取材ボランティアレポート「ワンコインコンサートvol.97 ピアノ ジャン・チャクムル」

ジャン・チャクムル

新年度初のワンコインコンサート。
本日のコンサートは第10回浜松国際ピアノコンクールの優勝者ジャン・チャクムルさんです。昨年の同コンクールは直木賞『蜂蜜と遠雷』の影響もあってか1次予選から大変賑わったとか。

と、言うことで本日も大盛況。開場30分前なのに長蛇の列。振り返っても最後尾が見えません!

本日のプログラムは本人の強い希望により決まったそう。当コンサートは浜松国際ピアノコンクール優勝者の凱旋ツアー。そして光栄にも本日はツアーの初日!

 

そんなジャン・チャクムルさんの様子はと言うと・・ふわふわとした長髪を掻き上げ、1曲1曲を丁寧に、愛着を持って弾いてる姿はとても好感が持てます。それはまるで放課後に男子学生が音楽室で弾いているような。女子人気がUPしそうな予感。

そして観客のみなさんは・・気持ちよさそうに寝ておられます。
前説で「クラシックあるあるなので寝てもいいですよ〜」と言われていたのですが、おそらくは不可抗力でしょう。それも仕方ありません。ピアノは本人持ち込みの「Kawai SK-EX」。チャクムルさんが自分の演奏に最も適しているとコンクールで選んだピアノなのです。低音は柔らかく、でも重厚に、高音は優しくそして軽やかに。音楽が優しく優しく耳から入り込み穏やかで温かい音色となって身体中を満たしていきます・・。

軽やかな指さばきで、まるで連弾しているかのような重音がホールに響いていきます。
反面、チャクムルさんは休憩も取らずに引き続け、その集中力と表現力には感嘆させられました。

 

注目は、最後に演奏した自国トルコのピアニスト作曲の曲。トルコの伝統楽器『サズ』を弾いているようだと聞いていたのですが、演奏姿を観るのは初めてです。
不意に演奏中に立ち上がり、左手をピアノの中に突っ込んでワイヤー(と思われる)をはじき出したチャクムルさん。同時に右手で鍵盤を叩きます。その奇妙な姿に観客は度肝を抜かれ息をのみ、声にならない驚きがホールを走り抜けます。それまでの心地よい音色とは一転し、演奏姿は音色に身を任せトランスしながら弾いている弦楽器奏者のよう。確かに自分を魅せる曲目を上手く選んだものだと感心させられました。


アンコールは、シューベルト(リスト編曲)「美しき水車小屋の娘」。静かで暗く悲しい歌曲をなぜアンコール曲に選んだのでしょうか。
なるほど、内向的な片恋の旋律もリストの複雑な運指によって華やかに立体化され、若い男の恋慕の苦しい内情がリアルに響いてきます。そういえば若い恋とはこういった一途で激しいものであったものであったな・・と、突如として感慨深く思い起こされ。ピアノを一心に弾いている若いチャクムルさんと水車小屋の若い男とが重なって見えて短い物語の中に引きずり込まれたかのような錯覚が起こってきます。またいい曲を選んだなーーと、感心しきり。


演奏後、満場の拍手に身体をちょっと傾けて「テヘッ」とはにかんで笑った青年は、昨日とは大きく違う世界へ一歩を踏み出しました。この凱旋ツアーが終わる頃にはもうはにかんだ「テヘッ」は観られないんだな・・と、少し寂しくもあり。でも、名のある交響楽団を後ろに堂々とそして深々とお辞儀をするチャクムルさんの姿がふと目に浮かんできて「またどこかで観てみたいな」なんて、訪れた観客も夢をみることができた、幸せなワンコインコンサートでした。

 (取材ボランティア 鈴木ゆかり)

取材したイベント

ワンコインコンサートvol.97 ピアノ ジャン・チャクムル

開催日 2019年4月16日(火曜日)
場所  三重県文化会館大ホール

取材ボランティアレポート「こいのぼりがいっぱい!」

こいのぼり2019

寒のもどりで関東に雪が降った翌日。
まだ冷たい強風の中、企画運営ボランティアとそうぶんスタッフが150匹ものこいのぼりを揚げると言うので写真撮影がてらお手伝いに行ってきました。

ボランティア初日の朝9時。
雨天順延のお天気を気にしながら祝祭広場に到着です。広場にはもう数人のボランティアらしき人たちが集まってきています。
「さあ始めましょうか!ワイヤーを伸ばしますよー」とスタッフがニコニコと威勢良く開始を告げる。

伸ばしたワイヤーに等間隔でついているフックにこいのぼりのロープを掛けていきます。
フックが硬くてちょっと手強い。
しばし広場は無言となります。
でも、みんなが真剣になるのはそれだけが理由ではありません。
時々強風が吹く広場では、きちんと留めておかないとロープが切れてこいのぼりが飛んでいってしまうのです。
ロープが掛かったらフックの上からさらに結束バンドで固定します。

「この固定の仕方は間違ってるよ、ここを留めないとね。ここだと風で引っ張られてフックが開くかもしれないからね」
ちゃっちゃっと手際よく固定していくボランティアのY氏は立ち姿も力強い・・・って、あれ?さっき居ませんでしたよね。
「途中抜けてプールに泳ぎに行ってきた」
元気だ。そして、自由だ!
自分の好きな時間に無理なく活動ができる。それがそうぶんのボランティアの良さなんでしょうね。

こいのぼりを並べて、色をそろえて長さをそろえて。
パッと散った色とりどりのこいのぼりたちで広場はお花畑のよう。

「さあ、ワイヤーを上げますよー!お願いしまーーす!」

カーゴパンツに黒いスタッフジャケット、ヘルメットにトランシーバーを携えて屋上のスタッフと連絡を取る女子スタッフたちはガテン系の現場監督のよう。なんとも頼もしい。

作業風景
作業風景


連絡をもらって左右の建物の屋上で待機していたスタッフがグングンっと力強くワイヤーを引っ張っていく。
メザシのように吊されていたこいのぼりたちがズンっズンっと静かに空へ上がっていく・・・。
まだまだ、どんどん、どんどんと引っ張られ、みんなの目線も上へ上へと上がっていき総長7メートルのこいのぼりがあんなに高く。

「第一弾完了ですっ」
ワイヤーにずらりと並んだ色とりどりのこいのぼりたちが一斉に風を受けて空に泳ぎ出す。

こいのぼり

「いいわねぇ、こんなに大きなこいのぼりは最近見ないものねぇ」
「はい。それにこれだけたくさん並んでいると壮観ですよね」
日本にこいのぼりがあって良かった!どこかで聞いたことがあるフレーズをかみしめて、みんな青空を見つめる。

「あ、飛行機雲!」
「あっちにもあります!」

ガテン系だった女子たちが急にフツーの女子に返ってスマホを空に向ける。
春の偏西風に乗った飛行機にこいのぼり。
そうぶんの満開の桜にこいのぼり。

「明日は雨になるそうなのでこの景色はとりあえず今日だけですね」
そっか、残念。
けど、どんなことでも一番が見られるのは頑張った者の特権。ちょっとお得な気分。

「あ、でも明日はそこの廊下に小さいですけどこいのぼりを揚げるんですよ」
え、室内にこいのぼり?
「そうぶん25周年のイベントなのです」
ふふ、と自慢そうに笑うスタッフ。

そうか−−−
じゃあ、『あしたもそうぶん!』。

(文と写真/取材ボランティア:鈴木ゆかり)

春のそうぶんに行こうよ!こいのぼりがいっぱい!!

開催期間 2019年4月12日から5月6日まで
場所   三重県総合文化センターエントランス・広場

イベント詳細ページへのリンク

取材ボランティアレポート「おしゃべり古典サロン−vol.2『伊賀越道中双六』」

講座の様子

最初はおっとりとした話しぶりだった田中綾乃先生が、だんだん早口になっていき、最後は、木ノ下裕一さんとのバトルトークに!お二人の本気の掛け合いに観客は魅了され、あっという間に二時間終了。

えーーーーっ?もう終わっちゃうの?

 と思ったら、今回は「サロン」が準備されていた。お二人のおしゃべり終了後、場所を移して、お茶とお菓子をいただきながらの歓談タイムが設けられているという演出に、お客さんから「また、来年もやってほしい」という熱いラブコールが。ぜひ、第3弾もよろしく!

会場の様子

「おしゃべり古典サロン」は、木ノ下歌舞伎主宰の木ノ下裕一さんと、三重大学人文学部准教授、カントの哲学がご専門の田中綾乃先生のお二人が、大好きな古典芸能について自由におしゃべりするという企画。テーマは決まっているものの、どんなお話が出るかは当日のお楽しみ。おそらくお二人も、その場の流れに身をまかせていらっしゃるのではないでしょうか。いわば、お二人のおしゃべりそのものが、舞台芸術の魅力である「即興性」に満ちていて、おそらく再現不可能。こんな楽しい授業が聞けるのなら、また、大学生になってもいいなあとちょっと本気で考えてしまった。

帰宅してからノートを開いてびっくり。たった二時間のレクチャーだったのに、ノートをほぼ三分の二使い切っていた。お二人のお話はおもしろかっただけでなく、覚えておきたい内容満載だったので、ドキドキしながらおしゃべりを聞きつつ、手は忙しく動いていたらしい。実は私、伊賀上野の生まれ。しかし、「伊賀越」といわれて思い出すのは、お漬物。自分の生まれ故郷が、こんな有名な仇討の舞台だったなんて全然知らなかった。人形浄瑠璃も歌舞伎も、古典に詳しくない私にとっては敷居が高く、予備知識なしで見たらたぶん全然内容わからないはず。トークの合間に、お芝居の最も感動的な場面の映像が流れた時、びっくりするくらいセリフが聞き取れて、まるで、外国語の映画を見て内容が理解できた時のような感動。これは、人形浄瑠璃バージョンも歌舞伎バージョンも全部見るぞ、絶対!

古典芸能は、最初はこんな風に入っていくのが正解なんだと思う。高校の古典の授業では、動詞の活用や単語の暗記など、細かいところにばかり目が行ってしまい、物語全体を楽しむゆとりがあまりない。ただ、一度だけ平家物語を琵琶法師の語りで聞いたことがあり、そのテンポのゆっくりさに心底驚き、時の流れるスピードが昔は全然違ったのだということがストンと落ちたことがある。もし、「伊賀越物」のように、ドラマとして最もドロドロしていて、悲劇もありつつ喜劇的要素もあり、笑いと涙の両方を誘う作品を、最高の役者の演技で見せたら、絶対に、日本人の「古典偏差値」は上がるはず。「おしゃべり古典サロン」は、ぜひ、高校生の前でやっていただきたいなあ。

あと、トークというのは、好きなものについておしゃべりする時に最もヒートアップするということがよくわかった。初対面の人と、おしゃべりで盛り上がりたければ、相手と自分が共通して好きなものを探して、それについて話せばいいことを学びました。
木ノ下さん、田中先生、本当にありがとうございました。

(取材ボランティア:海住さつき)

取材したイベント

おしゃべり古典サロン「伊賀越道中双六」

日程 2019年1月14日(月曜祝日)
講師 田中綾乃さん(三重大学人文学部准教授)、木ノ下裕一さん(木ノ下歌舞伎主宰)
場所 三重県生涯学習センター 視聴覚室

取材ボランティアレポート みえアカデミックセミナー2018「「障害」表記の問題―障害、障碍、障がい、しょうがい―」

講演写真

私は、以前ある文章に「障害」と書いたとき、「障がい」であるとして校正を受けたことがありました。「障害」は今では「障がい」と書くとその時初めて知りました。以前は普通に使われていたものが、今では差別用語とされているものがいくつかあります。文を書くからには、常に言葉の変遷に敏感でなければならないとつくづく思います。「障害」についてもきちんと学べば、きちんとした記憶が残り、以降間違えることはないとの思いから今回この講座を受けることにしました。

「障害」表記は、これまで様々な検討がなされてきました。
内閣府による検討委員会において、見直しに賛成の人から「障害」表記がなぜ悪いといわれるようになったかというと、「障害」という表記では、日常生活や社会生活上の支障・困難の原因が本人にあると思わせる、あるいは障害者があたかも他人を「害」する人であるかのように思えて不快な思いをしている人がいるという意見が出るようになったからです。「障害」表記の見直しに反対の人たちもいます。理由は、「『障害』は、個人の持つ否定的な特性ではなく、社会が持つ障壁によってうみだされている不利益や抑圧である」というのです。

「『害』を『がい』や『碍』に変えることだけでは問題の解決にならない、『障害』の表記よりも具体的な政策の内容が重要」という人もいます。「障害者が害を及ぼすというようなイメージがあるというのであれば、むしろそのイメージの方が間違った障害理解であるということを、何度でも繰り返すべき」と主張して、「障害」表記の見直しに反対する人もいます。内閣府ホームページ上の意見募集でも、「障害」支持4割、「障碍」支持4割、「障がい」または「しょうがい」支持1割、その他1割と意見は分かれているそうです。

講師

そこで最終的な政府の見解として、国としては、当面「障害」表記とするということでした。都道府県別に見てみると、「障がい」表記を用いている都道府県が16道府県あり、三重県もその中に入っています。さらに三重県では29市町のうち、「障がい」表記をとっているところが20市町もあります。三重県に住む私としては、「障がい」表記を今後も使っていこうと思います。

一つの言葉をとってみても、どう考えるかは千差万別であり、非常に難しいものがあります。今後もまだまだこうした言葉の表記の問題は出てくるのかもしれません。講師は、「どのような表記をするかは個人の判断に委ねられるべきであり、どのような表記を使うにしても特定の表記を強要し、単なる言葉狩りに終わって、真の問題解決から遠ざかることにだけはなってはならない」と話されました。今回この講座に参加したことで、「障害」表記の問題を少しでも理解でき、自分の選ぶべき表記について考えることができたことに感謝します。

なお、公開セミナーの後半は、「介護予防は日本を救うキーワード 〜縮む・ゆがむ・かわく〜」をテーマに講演がありました。

(取材ボランティア:興味津々子)

取材したイベント

みえアカデミックセミナー2018高田短期大学公開セミナー

演題 「障害」表記の問題―障害、障碍、障がい、しょうがいー
講師 高田短期大学子ども学科・介護福祉研究センター教授・センター長 千草篤麿さん
日程 2018年8月18日(土曜日)
場所 三重県文化会館 レセプションルーム

取材ボランティアレポート みえアカデミックセミナー2018「我が国の西洋音楽が辿った道」

講座の様子

音楽療法という言葉に魅せられて、この講座に参加をしてみました。小さいころに自分の中に刷り込まれた童謡・唱歌は、年を取って来るにつれ懐かしさが増し、曲が流れていたりすると一緒に口ずさみたくなってしまいます。今まで私は、童謡は子どもたちのための歌、唱歌は小学校で習った歌と大雑把に思っていました。この講座では特に唱歌に対して、その定義から変遷について教えていただきました。

講師

文部省唱歌というものは正式には存在しないというものの、共通認識として、明治43年の「尋常小学読本唱歌」から昭和22年の「国定教科書」までのものをいうそうで、作詞者作曲者が一切公表されなかったのだそうです。 

唱歌にもいろいろ変遷があったようです。明治当初に西洋音楽が導入され、讃美歌を訳した「蛍の光」や「あふげば尊し」が作られました。そうして、明治20年代には唱歌教育が本格化し、「君が代」や「一月一日」が作られました。日清・日露戦争がはじまると、国威高揚のために軍歌も唱歌の一種として作られたそうです。やがて、「言文一致唱歌」運動がおこり、「モモタロウ」や「キンタロウ」が作られました。さらに時代が進むと、滝廉太郎や山田耕筰などの芸術性の高い歌の作曲者たちが現れました。大正デモクラシーの時代には、子どもの歌の創出と普及を目指した童謡運動が起こり、北原白秋、野口雨情、西條八十といった詩人があらわれ、童謡運動はクライマックスに達していきました。しかし、昭和に入ると時代の流れにより唱歌・童謡は衰退していきますが、ラジオやレコードが普及することでまた新しい流れがうみだされました。

講師

「歌うことは生きる力をはぐくむ」(堀準一氏)ということで、講座の中では、歌の名前が出てくると、そのたびに皆で声をそろえて歌いました。「故郷の空」などは手拍子足拍子まで入れての大合唱でした。「浜辺の歌」では、ハンドベルを1人、1つから2つずつ持って、歌いながら番号に合わせて振っていったのですが、間違わないかと緊張しながらも、自ら体を動かすことがとても楽しかったです。やはり実習を伴う講座は飽きることがありません。知らない間に時間が過ぎていきます。また来年が楽しみです。

(取材ボランティア:興味津々子)

取材したイベント

みえアカデミックセミナー2018鈴鹿大学短期大学部公開セミナー
我が国の西洋音楽が辿った道〜童謡・唱歌・歌謡曲を歌う音楽療法の現場から振り返る〜

日程 2018年7月21日(土曜日)
場所 三重県文化会館1階 レセプションルーム

取材ボランティアレポート 山本博文講演会「福沢諭吉の明治維新」

講演会の様子

山本博文先生といえば
NHKラジオ深夜便で
落ち着いた語り口ながら
新しい切り口で歴史をひもとき
毎回、目から鱗が落ちる講義をしてくださるので
何年も前からずっとファン。

今回のテーマは、「福澤諭吉の明治維新」。
NHK大河ドラマの舞台が明治維新なので
これは申し込みが殺到するだろうと
受付開始と同時に申し込みを済ませておいて正解。
当日は中ホールが歴史好きの三重県民で埋め尽くされました。

山本博文先生

先生が準備してくださったレジメは
まるで大学の講義のように細かくていねいで、おかげさまで、メモを取る必要がほとんどなく、先生のお話に集中することができ、最後まで楽しめました。

福沢諭吉の三冊の著作を読みながら
諭吉の思想を読み解くという流れで講義はすすんでいきますが
途中、山本博文先生の大河ドラマに対する感想がつぶやかれると会場がドッと沸き、
ああ、みんな同じようなことを感じていたんだなと、不思議な一体感が生まれたり

 レジメには載っていない「ウラ話」「小ばなし」がポロっと出ると、お客さんが一斉に身を乗り出したり

歴史の勉強って
どうしてこんなに楽しいんだろう?

ぜひ、続編が聞きたいと思います。
ありがとうございました。

(取材ボランティア:海住さつき)

取材したイベント

みえアカデミックセミナー2018オープニング
山本博文講演会「福沢諭吉の明治維新」

開催日 2018年7月7日(土曜日)
場所  三重県文化会館 中ホール

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