三重県総合文化センター ブログ

取材ボランティアレポート「源氏物語に埋め込まれた真意を読む」

講師

会場に入ると、ステージの上には大きなグランドピアノが暗めの照明の下でぴかぴか輝いていた。通路には紫式部という名前の花が飾られ、源氏物語好きの人たちの気分を盛り上げてくれている。受付が始まるとあっという間に席が埋まり、開演を今か今かと待ちわびた。

この日の会場の雰囲気は、「朗読会」というより「演奏会」。
もちろん、私たちが待っていたのは、河原徳子さんというスーパースター。
そう、あの日、会場にいた私たちの目の前に現れたのは、紫式部その人。
河原徳子さんは、見事に紫式部に成り代わって私たちに源氏物語の世界を再現してくれた。

演奏

今回は、「朗読とピアノ」のコラボレーションで、ピアニストの西野愛さんが河原徳子さんの朗読に合わせて演奏。あまりにも朗読にぴったりで感動したのだけど、全曲、この日のために作られたオリジナル曲だということだった。

ああ、そんな貴重な演奏が、たった一日で終わってしまうなんて!これはぜひ、CDにしてほしいし、テレビ番組で「源氏物語特集」として再現してほしいと心から思う。

瀬戸内寂聴訳の源氏物語は、実は全巻買ってある。瀬戸内寂聴さん渾身の力作だから、まよわず全巻注文して買ったのだった。しかし、まだ全然読んでない。ひとたび、ページを開き、源氏の世界に没入してしまうと、俗世に戻ってこれない気がして怖いのだ。だから、ゆっくりお茶でも飲みながら、読書を楽しむ生活ができるようになった時のために、本棚の一番奥にしまってあるのだけれど、河原徳子さんの朗読を聞いたら、我慢できなくなってきた。源氏物語を持って喫茶店に行き、モーニングをいただくっていうのはどうかな。できれば、クラシック音楽がBGMにかかっているお店がよい。和服を着ながら読むとさらに雰囲気が出るかもしれない。

会場の様子

ピアノの伴奏で朗読を聞くという優雅な設定はとてもロマンチックなのだが、紫式部が源氏物語で訴えたかったことはそんなロマンチックなことではなかった。光源氏という一人のモテ男を中心に繰り広げられる恋の物語には違いないが、そこには、主体的に人生を選ぶことのできない女の悲哀がつまっていた。

源氏物語の前半は昼ドラの世界だけど、後半はまさに現代社会に生きる私たち女性が抱える問題そのもの。女性の自立がかなわず、自分の意思で人生を選ぶことのできなかった時代ではなく、がんばれば自分で人生設計ができるようになった今だからこその苦悩があの時代にここまで具体的に書かれていたとは驚きである。紫式部の生きていた時代にできた女性の唯一の自立は「出家」。出家することでしか、女性は男から自由になることができず、心の平安を保つことができなかった。だからこそ、紫の上は死ぬ直前に「出家させてくれ」と光源氏に必死に頼んだ。

そんな世界をステージ上で繰り広げてくれた河原徳子さんに感謝です。

(取材ボランティア:海住さつき)

取材したイベント

源氏物語に埋め込まれた真意を読む

開催日:2019年9月22日
会場:三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」多目的ホール
講師:河原徳子さん(朗読文学サークルパティオ主宰、日本文学研究家)

取材ボランティアレポート「漂流民 大黒屋光太夫の地を歩くー光太夫の白子・若松を訪ねてー」

伊勢若松駅

本日の講座は伊勢若松駅から始まります。
大黒屋光太夫―
鈴鹿市白子から出航した船頭が巡り巡ってロシア皇帝エカテリーナ二世と謁見し10年の歳月を経て日本に帰港した、この歴史上の人物のことを三重県民はどのくらいの人が知っているのでしょうか。
名前は知っていても簡易な概要しか知らなかったところ、鈴鹿市学芸員の方の説明は非常にわかりやすく、すんなりと頭に入り、帰国までの長い行程も映画のようにリアルに浮かび上がります。

心海寺
書物『極珍書』の実物

地元の大黒屋光太夫顕彰会のみなさんには、1798年に心海寺の住職が生存者の1人である磯吉から話を聴き留めた書物『極珍書』の実物を見せていただきました。参加者全員がどよめき、「政府の役人がまとめたものなら重要文化財の価値がある代物なのですが、一介の住職がまとめたものなのでこれは何ものでもないんですよー」なんて自虐ネタで笑わせていましたが、年代を感じさせない装丁は代々大切に保管してきた証。郷里の人々の大黒屋光太夫たちへの愛情が窺えます。
 河原徳子先生の講義は井上靖『おろしや国酔夢譚』と吉村昭『大黒屋光太夫』を朗読により比較するもので、巧みな語りがBGMの太鼓の生演奏と相まって、遠州灘の暴風雨、極寒ロシアでの凍傷による脚の切断シーンは息詰まる緊張場面の物語性をより高めて臨場感あふれるすばらしいものでした。
歩く距離もほどよく、頭も使い、郷土の歴史を深く学べ、良いこと尽くしなのですが、さらに歴史講座だからか1人で参加されている方もおり、こちらも気が楽になる講座となりました。

快晴で波穏やかな港

さらに、一足伸ばして町中をぶらり。
せっかく講座を聴いたのだからより大黒屋光太夫たちを知りたく、港までふらりと歩いてみました。快晴の波穏やかな浜。光太夫たちは何の不安もなく江戸まで5日程度の旅をここから出航したのでしょう。
それから日本の地を踏んだのは10年後、さらに郷里の地を踏んだのは20年後。1986年に発見された『大黒屋光太夫らの帰郷の文書』には存命であった母親と逢い、伊勢へお礼参りに行ったことが記述されているそうです。これは幕府から軟禁され罪人のように扱われ寂しい晩年であったとする説を覆す新しい発見であるとともに明るい歴史を光太夫に与えたものでした。
しかし、若松東墓地には消息を絶って2年後の三回忌に荷主が建立した光太夫たち「神昌丸」乗組員の供養塔があります。帰省した光太夫は自分の法名と亡くなった乗組員の名前を見て何を思ったのでしょうか。出航時17歳だった1番若い磯吉はさておいても、船頭の自分だけが生き延びて帰国した現実。さらに英雄であるかのように扱われ請われるままにロシア語を書いてみせる日々。光太夫の真の心境は明確にはされていないのですが、影は確かに光太夫の中に存在したのだろうと想像を巡らせてしまいます。
記念館のロシア語の展示物は影なのか、光なのか。

大黒屋光太夫は単なる歴史上だけの人物ではなく、現代の社会人と同じく管理者としての責務や困難を生き抜く力を教えてくれる良き先人であるのだと強く実感し、伊勢若松駅へと向かいました。

 (取材ボランティア 鈴木ゆかり)

取材したイベント

漂流民 大黒屋光太夫の地を歩くー光太夫の白子・若松を訪ねてー

開催日 2019年5月8日(水曜日)
場所  大黒屋光太夫記念館、若松公民館(鈴鹿市若松)とその周辺

取材ボランティアレポート「ワンコインコンサートvol.97 ピアノ ジャン・チャクムル」

ジャン・チャクムル

新年度初のワンコインコンサート。
本日のコンサートは第10回浜松国際ピアノコンクールの優勝者ジャン・チャクムルさんです。昨年の同コンクールは直木賞『蜂蜜と遠雷』の影響もあってか1次予選から大変賑わったとか。

と、言うことで本日も大盛況。開場30分前なのに長蛇の列。振り返っても最後尾が見えません!

本日のプログラムは本人の強い希望により決まったそう。当コンサートは浜松国際ピアノコンクール優勝者の凱旋ツアー。そして光栄にも本日はツアーの初日!

 

そんなジャン・チャクムルさんの様子はと言うと・・ふわふわとした長髪を掻き上げ、1曲1曲を丁寧に、愛着を持って弾いてる姿はとても好感が持てます。それはまるで放課後に男子学生が音楽室で弾いているような。女子人気がUPしそうな予感。

そして観客のみなさんは・・気持ちよさそうに寝ておられます。
前説で「クラシックあるあるなので寝てもいいですよ〜」と言われていたのですが、おそらくは不可抗力でしょう。それも仕方ありません。ピアノは本人持ち込みの「Kawai SK-EX」。チャクムルさんが自分の演奏に最も適しているとコンクールで選んだピアノなのです。低音は柔らかく、でも重厚に、高音は優しくそして軽やかに。音楽が優しく優しく耳から入り込み穏やかで温かい音色となって身体中を満たしていきます・・。

軽やかな指さばきで、まるで連弾しているかのような重音がホールに響いていきます。
反面、チャクムルさんは休憩も取らずに引き続け、その集中力と表現力には感嘆させられました。

 

注目は、最後に演奏した自国トルコのピアニスト作曲の曲。トルコの伝統楽器『サズ』を弾いているようだと聞いていたのですが、演奏姿を観るのは初めてです。
不意に演奏中に立ち上がり、左手をピアノの中に突っ込んでワイヤー(と思われる)をはじき出したチャクムルさん。同時に右手で鍵盤を叩きます。その奇妙な姿に観客は度肝を抜かれ息をのみ、声にならない驚きがホールを走り抜けます。それまでの心地よい音色とは一転し、演奏姿は音色に身を任せトランスしながら弾いている弦楽器奏者のよう。確かに自分を魅せる曲目を上手く選んだものだと感心させられました。


アンコールは、シューベルト(リスト編曲)「美しき水車小屋の娘」。静かで暗く悲しい歌曲をなぜアンコール曲に選んだのでしょうか。
なるほど、内向的な片恋の旋律もリストの複雑な運指によって華やかに立体化され、若い男の恋慕の苦しい内情がリアルに響いてきます。そういえば若い恋とはこういった一途で激しいものであったものであったな・・と、突如として感慨深く思い起こされ。ピアノを一心に弾いている若いチャクムルさんと水車小屋の若い男とが重なって見えて短い物語の中に引きずり込まれたかのような錯覚が起こってきます。またいい曲を選んだなーーと、感心しきり。


演奏後、満場の拍手に身体をちょっと傾けて「テヘッ」とはにかんで笑った青年は、昨日とは大きく違う世界へ一歩を踏み出しました。この凱旋ツアーが終わる頃にはもうはにかんだ「テヘッ」は観られないんだな・・と、少し寂しくもあり。でも、名のある交響楽団を後ろに堂々とそして深々とお辞儀をするチャクムルさんの姿がふと目に浮かんできて「またどこかで観てみたいな」なんて、訪れた観客も夢をみることができた、幸せなワンコインコンサートでした。

 (取材ボランティア 鈴木ゆかり)

取材したイベント

ワンコインコンサートvol.97 ピアノ ジャン・チャクムル

開催日 2019年4月16日(火曜日)
場所  三重県文化会館大ホール

わたしたちが次の世代に残せるもの ― 第七劇場設立20周年を飾る最新作「ワーニャ伯父さん」

1999年、早稲田大学在学中に演出家の鳴海康平さんによって結成、2014年に東京から三重県津市美里町へ拠点を移し活動する劇団「第七劇場」が、今年設立 20 周年を迎えます。節目となる2019年は、静岡県舞台芸術センター(SPAC)の俳優をはじめ、東海地域に縁のあるゲストメンバーとともに、ロシアの文豪アントン・チェーホフの名作「ワーニャ伯父さん」の三重・韓国ツアーを開催。三重公演は三重県文化会館、そして韓国公演は鳴海さんと交遊のある現地舞台人の協力を得て、京畿道安山市の公立劇場「安山文化芸術の家」で上演を行います。


◆ものがたり◆

 アントン・チェーホフ   (1860-1904)

1899年にモスクワ芸術座で初演されたチェーホフ四大戯曲のひとつ。大学教授夫妻が前妻が残した領地を訪れ、立ち去るまでの物語。人生の半分以上を姪ソーニャとともに領地を管理し、教授に奉仕してきたワーニャは、教授への失望とともに自分の人生の浪費に絶望します。そのワーニャを慰めるソーニャの言葉は、チェーホフ戯曲の中でもっとも美しい台詞として知られています。


◆なぜ今ワーニャ伯父さんなのか? ◆

これまで第七劇場では、チェーホフの四大戯曲のうち、「かもめ」と「三人姉妹」を製作しました。「かもめ」は2007年に初演し、その後、2010年のリクリエイション版はこれまでに国内7都市、海外3都市(フランス、韓国、台湾)で上演されました。「三人姉妹」は私がポーラ美術振興財団の在外研修員として1年間フランスで活動した直後、2013年に日仏俳優の協働作品として新国立劇場小劇場で上演されました。

このチェーホフ原作の2つの作品の上演は、期せずして、第七劇場にとって、大きな節目となりました。

2019年、今年は私が劇団を設立して20年という節目となります。その節目に、何を製作しようか考えたとき、やはりチェーホフ戯曲が浮かびました。 

いわゆるチェーホフ四大戯曲で、まだ第七劇場で製作していないのは「ワーニャ伯父さん」と「桜の園」です。この二つを読み返したとき、「ワーニャ伯父さん」の4幕の終わりで流されるワーニャの涙の意味が、以前読んだ記憶とずいぶん変わったことに驚きました。それは私自身も歳を重ねたからだとは思いますが、そのワーニャを巡る風景は、今の私、そして平成が終わる日本、さまざまな課題を解決できぬままの世界と多くの点で共通するものだと感じ、今回「ワーニャ伯父さん」を製作することに決めました。 

私たち生きているものは、誰一人としてワーニャの涙と無関係ではいられません。人ひとりの時間は有限であるという当然の事実は、不安定ながら未来あるソーニャに対照されて、よりはっきりと浮かび上がります。しかし、そのソーニャでさえ、ワーニャと同様に有限であり、ワーニャよりも豊かな人生を送れるとは限りません。それどころか「ワーニャ伯父さん」に登場する人物は皆、ほしいものが得られず、求めているひとから認められていません。その背後で時間だけは刻々と過ぎていきます。これはまさに私たち一人ひとりの物語であり、私たちの社会/世界の物語だと、私は感じています。
        ― 鳴海康平(第七劇場 代表 演出家、Théâtre de Belleville 芸術監督)



◆登場人物の名前に隠されたキャラクター像◆

ロシア文学では、登場人物たちの名前を覚えるのに一苦労ですが、実はこの名前に物語の手がかりが隠されています。名前そのものがキャラクターの役割を表しているのです。

ワーニャ

日本名では太郎のように、ロシアで最もポピュラーな名前。亡き妹の残した領地を管理し、妹の夫である教授を崇拝して、平凡な人生を送ってきた。イワン。キリスト教の聖人イオアン=聖ヨハネが由来。

ソーニャ

ワーニャの亡き妹とセレブリャーコーフの娘。ワーニャの姪。勤勉で聡明。ソフィア。「智慧」「叡智」を象徴している。
エレーナ セレブリャーコーフの若く美しい後妻。27歳。学者としての才能に惹かれ、セレブリャーコーフと結婚する。作中では、自身を“添え物みたいな女”と称している。「光」「輝き」を象徴している。
セレブリャーコーフ 退職した大学教授。ウラジーミル・アレクサンドル。皇帝の名にも用いられ、「威光」「権威」を象徴する。


アーストロフ

医者・自然保護活動家。ワーニャの友人であり、セレブリャーコーフの診察をしている。ミハイル。旧約聖書に登場する大天使ミカエル(人々を病から救い、正しい方向に導く七大天使の一人)に由来。
ヴォイニーツカヤ夫人 ワーニャの母。信心深い。マリヤ。聖母マリア。

 


◆報われない人たちへのレクイエムとしての演出◆

原作では、ソーニャが絶望したワーニャを慰める美しい台詞で幕を閉じます。しかし、もしも仮に、救われると信じて誰よりも耐え続けていたソーニャが若くして亡くなってしまったとしたら…。今作では、そんな仮定のもと、ソーニャの墓標の前で登場人物たちが花を手向けるところから、物語を回想していきます。歴史を振り返ると、私たちは往々にして失って初めて、犠牲となった人々の声なき声を、そして自分たちの過ちを知ります。けれども、そうなる前に、報われない人々の声を聴き、未来に何を残せるかを考えなければなりません。今作で使用されるパニヒダ(ロシア正教で使用される死者のための祈りの音楽)は、厳かにそのことを私たちに教えてくれます。


稽古風景より

劇団設立20周年公演
第七劇場「ワーニャ伯父さん」

原作 A・チェーホフ
構成・演出・美術 鳴海康平
出演  木母千尋 小菅紘史 獅子見琵琶 藤村昇太郎 諏訪七海 
    牧山祐大(SPAC-静岡県舞台芸術センター)
日時      7月14日(日曜日) 14時/18時    
    7月15日(月曜祝日)14時    
    上演予定時間|約100分  ※各回終了後、トーク有
会場  三重県文化会館 小ホール
料金  《整理番号付き自由席》一般2,500円(当日3,000円)
    25歳以下1,000円 18歳以下500円
    ★三重県文化会館、エムズネットにて販売中。

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取材ボランティアレポート「こいのぼりがいっぱい!」

こいのぼり2019

寒のもどりで関東に雪が降った翌日。
まだ冷たい強風の中、企画運営ボランティアとそうぶんスタッフが150匹ものこいのぼりを揚げると言うので写真撮影がてらお手伝いに行ってきました。

ボランティア初日の朝9時。
雨天順延のお天気を気にしながら祝祭広場に到着です。広場にはもう数人のボランティアらしき人たちが集まってきています。
「さあ始めましょうか!ワイヤーを伸ばしますよー」とスタッフがニコニコと威勢良く開始を告げる。

伸ばしたワイヤーに等間隔でついているフックにこいのぼりのロープを掛けていきます。
フックが硬くてちょっと手強い。
しばし広場は無言となります。
でも、みんなが真剣になるのはそれだけが理由ではありません。
時々強風が吹く広場では、きちんと留めておかないとロープが切れてこいのぼりが飛んでいってしまうのです。
ロープが掛かったらフックの上からさらに結束バンドで固定します。

「この固定の仕方は間違ってるよ、ここを留めないとね。ここだと風で引っ張られてフックが開くかもしれないからね」
ちゃっちゃっと手際よく固定していくボランティアのY氏は立ち姿も力強い・・・って、あれ?さっき居ませんでしたよね。
「途中抜けてプールに泳ぎに行ってきた」
元気だ。そして、自由だ!
自分の好きな時間に無理なく活動ができる。それがそうぶんのボランティアの良さなんでしょうね。

こいのぼりを並べて、色をそろえて長さをそろえて。
パッと散った色とりどりのこいのぼりたちで広場はお花畑のよう。

「さあ、ワイヤーを上げますよー!お願いしまーーす!」

カーゴパンツに黒いスタッフジャケット、ヘルメットにトランシーバーを携えて屋上のスタッフと連絡を取る女子スタッフたちはガテン系の現場監督のよう。なんとも頼もしい。

作業風景
作業風景


連絡をもらって左右の建物の屋上で待機していたスタッフがグングンっと力強くワイヤーを引っ張っていく。
メザシのように吊されていたこいのぼりたちがズンっズンっと静かに空へ上がっていく・・・。
まだまだ、どんどん、どんどんと引っ張られ、みんなの目線も上へ上へと上がっていき総長7メートルのこいのぼりがあんなに高く。

「第一弾完了ですっ」
ワイヤーにずらりと並んだ色とりどりのこいのぼりたちが一斉に風を受けて空に泳ぎ出す。

こいのぼり

「いいわねぇ、こんなに大きなこいのぼりは最近見ないものねぇ」
「はい。それにこれだけたくさん並んでいると壮観ですよね」
日本にこいのぼりがあって良かった!どこかで聞いたことがあるフレーズをかみしめて、みんな青空を見つめる。

「あ、飛行機雲!」
「あっちにもあります!」

ガテン系だった女子たちが急にフツーの女子に返ってスマホを空に向ける。
春の偏西風に乗った飛行機にこいのぼり。
そうぶんの満開の桜にこいのぼり。

「明日は雨になるそうなのでこの景色はとりあえず今日だけですね」
そっか、残念。
けど、どんなことでも一番が見られるのは頑張った者の特権。ちょっとお得な気分。

「あ、でも明日はそこの廊下に小さいですけどこいのぼりを揚げるんですよ」
え、室内にこいのぼり?
「そうぶん25周年のイベントなのです」
ふふ、と自慢そうに笑うスタッフ。

そうか−−−
じゃあ、『あしたもそうぶん!』。

(文と写真/取材ボランティア:鈴木ゆかり)

春のそうぶんに行こうよ!こいのぼりがいっぱい!!

開催期間 2019年4月12日から5月6日まで
場所   三重県総合文化センターエントランス・広場

イベント詳細ページへのリンク

台湾 文化の交差点で味わう優しいひととき 〜舞台「珈琲時光」台湾公演レポート〜



第七劇場(三重)とShakespeare’s Wild Sisters Group(台北)ー2つの劇団による日本と台湾の国際共同制作として、2016年より始まった演劇プロジェクトNotes Exchange。そのフィナーレとなる舞台「珈琲時光」の台湾公演が、12月1日に開幕しました。今回は、その小旅行の様子をご紹介! (Photo:松原豊)

淡水の街並みと、丘の上に立つ雲門劇場



 

 台湾公演の会場は、台北駅前から地下鉄MRTで約40分。博物館や公園が点在し、アーティスティックな雰囲気が漂う人気のスポット・淡水地区にあります。雑多で豊富な食材が揃う淡水老街には、屋台が立ち並び、100円ほどで味わえるイワシのつみれスープ「魚丸湯(ユーワンタン)」は絶品。更に河沿いを進むと、お洒落なカフェや雑貨屋が立ち並び、夜にはこの時期、幻想的なイルミネーションを見ることができます。  

 そこから小高い丘のほうへ歩みを進めると、見えてくるのが雲門劇場。緑に囲まれた中に、遊び心溢れるオブジェが点在し、眼下にはフォトジェニックな景色が広がります。雲門劇場は、世界的に有名なダンスカンパニー「雲門舞集」の本拠地。基金を設立し建てられた民間の劇場で、稽古場とホールを併設し、曲線美の外観が近未来を思わせます。敷地内の蓮池には「旋的冥想(めぐる瞑想)」と名付けられた、雲門第一人者のパフォーマー羅曼菲(ルオ・マンフェイ)の像も。


 



 

音楽のように日常を紡ぐ戯曲と 質感や温度が伝わる演出





 そんな由緒ある劇場で幕を開けた舞台「珈琲時光」。小津安二郎がセットの小道具にも本物の一級品を使用するなどのこだわりを見せたように、今回の舞台も衣装や食器にもセンスが光ります。初日は、老若男女100名以上のお客様が訪れ、12月3日にはレセプションパーティーも開かれました。その中からいくつか現地の声をお届けします。

《珈琲時光》多重的人物丶時空丶語言丶物件…,猶如多重旋律線的分進交融和對話。?一條旋律線,既能共存,也能獨自存在,自成一個世界。這樣的時光,?是複雜,但在呈現上,卻能有條不紊,乾淨明晰,簡約中又不失温度,甚至連字幕的成型與速度,也創造了空間的節奏。江文也和小津是故事的人物,或只是符號,王嘉明和鳴海康平的交會更成就了一齣好戲。
—林采韻(藝評人)

《珈琲時光》重層的な人物、時空、言語、モノ…、いくつものメロディが交わり、溶け合い、対話を成していく。メロディごとに共存することも、単独で存在することもでき、1つの世界を構成している。このような時間、複雑で、しかしあるがままで、秩序立てることもできて、洗練され、シンプルかつ温度を失わない。字幕に至っては、その心地よいスピードで、空間のリズムをも創造していた。江文也※1と小津は物語の中の人物であり、あるいはただの記号であるが、王嘉明と鳴海康平の試みは成功していた。実によい芝居であった。
—林采韻(劇評家)

導演鳴海康平的簡潔俐落,卻從王嘉明的複雜中,萃取出一種透明感,以往王嘉明的多線處理中所?生的和聲外音也好、裝飾音也好、不協和音也好,都被梳理成存在但看不見的光,但我最喜愛的是,鳴海康平雖然以極簡的手法塑造《珈琲時光》,但有別於極簡常伴隨的冰冷,鳴海卻賦予整齣戲一個剛剛好的温度—就像??,温熱不湯口。
—林芳宜(作曲家)

鳴海康平の演出はシンプルで無駄がなく、王嘉明の複雑な戯曲から、透明感を抽出して、これまでの王のマルチライン処理で生成された外部音、装飾音、不協和音、それらすべてが透過されて、目には見えない光になっていた。しかし、私が最も好きなのは、鳴海康平がきわめてシンプルな方法で《珈琲時光》を形作りながら、冷めてもおらず、熱すぎもせず、ちょうど良い温度でコーヒー(作品)を提供していた点だ。
—林芳宜(作曲家)

 日本側の演出家・鳴海康平さんと、台湾側の劇作家・王嘉明(ワン・ジャミン)さんの戯曲が、まるでパズルのピースのようにはまり、舞台上に豊かな劇空間が広がった瞬間でした。




そしてバトンは三重・金沢へ

 盛況のうちに幕を閉じた台湾公演。2月には、いよいよ三重・金沢公演が開幕します。多感な青春時代を三重で過ごした小津安二郎。その小津へのオマージュを込めて、台湾映画の巨匠・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)※2が製作した映画「珈琲時光」。そして、台湾の水利事業に貢献した金沢出身の技術者・八田與一※3。三重・台湾・金沢がつながり、一つの味わいが生まれる瞬間をぜひ劇場でお楽しみください。


 

【注釈】
※1 江文也(こうぶんや)…1910-1983年。台湾出身の作曲家・声楽家。日本に留学し1936年のベルリンオリンピック芸術競技では管弦楽曲「台湾舞曲」を発表。のちに大陸に渡るも戦争によって国籍を奪われ日本と中国に2つの家族を持つことになる。映画『珈琲時光』では、ヒロイン・陽子がライターとして彼の生涯を調べていく。

※2 侯孝賢(ホウ・シャオシェン)…1947年-。台湾の映画監督。1989年の第46回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞(『悲情城市』)をはじめ、国内外の数々の映画賞を受賞。2003年には、小津安二郎生誕100年を記念した映画『珈琲時光』(主演:一青窈・浅野忠信)を製作している。侯監督と台湾側の劇作家・王嘉明さんが友人であったことから、今回の舞台が実現した。

※3 八田與一(はったよいち)…1886-1942年。金沢出身の土木技術者。台湾へ渡り、上下水道の整備に貢献したほか、烏山頭ダムを完成させ嘉南地域の農業を救った。この功績を称え、ダムの近くには彼の銅像と記念館が建てられている。

三重県文化会館×金沢21世紀美術館 
第七劇場×Shakespeare’s Wild Sisters Group

日台国際共同プロジェクト Notes Exchange vol.3
舞台「珈琲時光」

企画協力 侯孝賢
脚本   王嘉明
演出   王嘉明 鳴海康平
出演  【台北】Fa、圏圏 
    【三重】佐直由佳子、小菅紘史、
        木母千尋、菊原真結、三浦真樹  
    【静岡】鈴木真理子〔SPAC〕 
    【金沢】西本浩明〔演芸列車「東西本線」〕
日時       2月10日(日) 14時/19時
     2月11日(月祝)14時
     上演予定時間|約100分 
     ※日本語・中国語・英語字幕付き 
     ※各回終了後、トークセッション開催
会場   三重県文化会館 小ホール
料金  《整理番号付き自由席》一般2,500円(当日3,000円)
     25歳以下1,000円 18歳以下500円
★三重県文化会館、エムズネット、第七劇場WEBサイトにて販売中。

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2018年「そうぶんの竹あかり」レポート!

2018年竹あかり1


今年も大好評でした!「そうぶんの竹あかり」

昨年初開催した「そうぶんの竹あかり」。
皆さまからの大きな反響を受けて、今年も竹あかり作家・演出家 川渕皓平さんに演出をしていただきました。
お一人でじっくり写真撮影をされる方、ご家族連れの方、お友達とご一緒の方など連日多くの方で賑わい、7000名以上のご来場がありました。
日本庭園を目にした子どもたちからは「すごーい!」「きれい!」という歓声があがり、大人の方は川渕さんの緻密な作品や紅葉柄の竹あかりに驚き、作り方や制作日数を質問するなど熱心に鑑賞される姿が見られました。

ご来場いただいた皆さま、寒い中ありがとうございました。

2018年竹あかり3

準備開始は11月12日(月曜日)の休館日から。
まずは搬入。
写真はごくごく一部です。

2018年竹あかり4

運んだ竹あかりを、配置していきます。

2018年竹あかり5

竹あかりを設置したら、竹ひごをつないでつないで…。
職員も、川渕さんの指示のもと、お手伝いしました。

こ、これはいったい何ができるんだ!? つないだ竹ひごは何mになったのでしょうか。
職員の頭には「?」ばかりが浮かんでいます。


図面は川渕さんの頭の中。
川渕さんは、竹の特性を活かしながら、イメージを具現化していきます。

2018年竹あかり6
2018年竹あかり7

 

2018年竹あかり7
2018年竹あかり8

3日をかけ、「そうぶんの竹あかり」が完成しました!
作品名は「流れ」。
水の流れ、時の流れ、人生の流れが表現されています。

日本庭園いっぱいに広がった超大作で、全部がカメラに収めきれないのが残念です。

 

今年は、エントランスや広場にも竹あかりを設置していただきました。
本来は夜に灯りを楽しむものですが、青空の下で見る竹あかりもカッコ良い!

2018年竹あかり9
2018年竹あかり10

 

ここで、「そうぶんの竹あかり」の演出を手がけた川渕皓平さんをご紹介します。

竹あかり作家・演出家 川渕 皓平(かわぶち こうへい)さん

川渕皓平さん

1985年奈良県生まれ。三重県伊賀市在住。
canaarea代表。

<主な演出内容>
2016年5月「伊勢志摩サミット」
2017年8月「伊勢神宮外宮奉納」、11月「海女サミット」
2018年4月「橿原神宮神武祭」、7月「高田本山国宝記念演出」 など多数。
この他、2017年12月 台東県政府文化処主催の「日台芸術家交流事業」に参加。


最後に、「そうぶんの竹あかり」関連企画をご紹介。

10月21日(日曜日) 川渕皓平さんと竹あかりを作ろう

会場:生涯学習センター3階 スタジオ
9月30日(日曜日)に開催予定でしたが、台風24号により延期し、会場も変更して行いました。

子ども対象は午前の部・午後の部を合わせて23名、一般対象は15名の方にご参加いただきました。

子ども対象ではまず、そうぶんの竹を使ってお持ち帰り用のミニ竹あかりを作り、その後、「そうぶんの竹あかり」で展示する合同作品を制作しました。

2018年竹あかりWS子ども1

電動工具を使用するため、保護者の方と一緒に参加してもらいました。
最初はドキドキしながらでしたが、みんなすぐに慣れて、最初に選んだ模様にプラスして自分の名前やオリジナルの模様を彫ったりもしました。

2018年竹あかりWS子ども2

自分だけのミニ竹あかりを作った後は、合同作品を制作。
チョークで描いたオリジナルの模様に沿って、電動ドリルで穴を開けていきます。

2018竹あかりWS子ども3

最後は記念撮影。
みんな、ステキな竹あかりができました!

2018竹あかりWS子ども4

みんなで制作した合同作品は、「そうぶんの竹あかり」会場に特等席を作ってもらって展示されました。

11月25日(日曜日) 新日本フィルハーモニー交響楽団の楽団員による木管五重奏ミニコンサートとお茶処「なごみ」特別営業『夜なごみ』 

会場:三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」1階エントランス

2018年竹あかりミニコンサート

新日本フィルハーモニー交響楽団の楽団員による木管五重奏ミニコンサート

会場準備中からお待ちになる方もいらっしゃるほどの人気で、約450名の方が来場されました。

真っ赤に紅葉したもみじと「そうぶんの竹あかり」を背景に、楽器紹介を交えたプロの演奏をご堪能いただきました。

2018年竹あかり夜なごみ

お茶処「なごみ」特別営業『夜なごみ』

ミニコンサート会場の隣では、『夜なごみ』を実施しました。

演奏前のひととき、または終演後の余韻を季節の和菓子と温かいお抹茶と共にお楽しみいただきました。

そうぶんの竹あかり

日程 2018年11月15日(木曜日)から12月2日(日曜日)まで ※休館日を除く
会場 三重県総合文化センター内 三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」裏 日本庭園 ほか
演出 竹あかり作家・演出家 川渕 皓平

日本3大仇討ちのひとつ “伊賀上野の仇討ち”の舞台を巡って

古典サロン2

9月に第1弾「伊勢音頭恋寝刃」が盛況のうちに終了したおしゃべり古典サロン。 第2弾は、仇討ちに関わる人々の数奇な運命を描いた家族ドラマ「伊賀越道中双六」をご紹介します。 寛永11年、伊賀上野の鍵屋の辻で起こった実際の仇討ち事件を題材に、家族を殺された志津馬が、義弟の唐木政右衛門と共に敵役・股五郎を追って東海道をすごろくのように旅するお話。中でも“三十六人斬り”の逸話が残る仇討ちのヒーロー・荒木又右衛門(作中では唐木政右衛門)は、映画や小説でも数多く取り上げられています。 今回は、物語のクライマックスとなった地、伊賀上野の鍵屋の辻を散策!

11月7日、仇討が成就した日

伊賀を訪れたのは、奇しくも仇討ちが成就した11月7日。 色づく紅葉の中で、鍵屋の辻にある資料館では、法要が執り行われていました。 今から350年近く前のこの日、敵役・又五郎(作中では股五郎)たちが鍵屋の辻を通って江戸に向かう事を知った数馬(作中では志津馬)と又右衛門は、辻の茶屋萬屋で待ち伏せ。早朝、辻をさしかかった又五郎たちの前に立ちふさがり、斬りかかったといいます。そのときの手勢は、又五郎方11人、数馬方4人。又右衛門の活躍で優位に立ち、数馬は激闘の末に又五郎を討ち取りました。資料館のお庭には、又五郎の首を洗ったといわれる「首洗いの池」が…。

 紅葉が美しい伊賀越資料館

 首洗いの池

日本3大仇討ちのひとつに数えられるワケ

一富士、二鷹、三茄子といえば縁起物ですが、実は日本三大仇討ちが語源という説があるのをご存知ですか? “富士”山の裾野で果たされた曾我兄弟の仇討ち、主君浅野家の紋所が“鷹”の羽だった赤穂浪士の討入り、 そして、“茄子”の産地である伊賀で大願を“成す”に至った伊賀上野の仇討ち。 伊賀上野の仇討ちは、江戸時代に仇討ちが認められていたとはいえ成就が難しかった中で見事成功したのはもちろん、当時としても注目の出来事でした。というのも、仇討ちは目上の者の敵を目下の者が討つもの。親の敵を子が討つのは一般的ですが、数馬が討とうとしたのは、弟・源太夫の敵。そんな反例が認められたのは、大名と旗本の政治的な対立が絡んでいたからといわれています。


三代目豊国の錦絵
仇討ちに使用した兜や装束

仇討ちのヒーロー・荒木又右衛門

仇討ちで活躍した荒木又右衛門には数々の逸話が残っていますが、仇討ちの最中、愛刀の伊賀守金道がつば元から折れたのを、のちに藤堂藩の剣士・戸波又兵衛になじられたとのこと。普通なら怒り出しそうですが、彼は未熟を恥じて弟子入りを願い出たそう。実直な又右衛門の人柄が垣間見られますね。 資料館を出ると、鍵屋の辻のすぐそばには、仇討ちの待ち伏せに利用した茶屋を再現した「数馬茶店」が営業中。伊賀牛を使った料理から定番の甘味までメニューも豊富で、ちょっと一息にぴったりです。そこから10分ほど散策すると、仇討ちの検視にも立ち会った藤堂藩の名城・上野城がお目見え。ぜひ足を伸ばしてみては。

鍵屋の辻にある数馬茶屋
 築城の名手・藤堂高虎の上野城


クライマックスの「伊賀上野の段」に至るまでも、道中では親子や夫婦の情愛を描いた切ないエピソードが展開し、「岡崎」「沼津」の段も見逃せません。涙なしには見られない大作。年明けのおしゃべり古典サロンでじっくり解説します。

おしゃべり古典サロン

vol.2テーマ 『伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)』 
講師     木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰)
       田中綾乃(三重大学人文学部准教授)
日時         
2019年1月14日(月祝) 14時00分〜16時00分
会場     
生涯学習センター2階 視聴覚室
受講料    1000円

詳細はコチラ

取材ボランティアレポート みえアカデミックセミナー2018「「障害」表記の問題―障害、障碍、障がい、しょうがい―」

講演写真

私は、以前ある文章に「障害」と書いたとき、「障がい」であるとして校正を受けたことがありました。「障害」は今では「障がい」と書くとその時初めて知りました。以前は普通に使われていたものが、今では差別用語とされているものがいくつかあります。文を書くからには、常に言葉の変遷に敏感でなければならないとつくづく思います。「障害」についてもきちんと学べば、きちんとした記憶が残り、以降間違えることはないとの思いから今回この講座を受けることにしました。

「障害」表記は、これまで様々な検討がなされてきました。
内閣府による検討委員会において、見直しに賛成の人から「障害」表記がなぜ悪いといわれるようになったかというと、「障害」という表記では、日常生活や社会生活上の支障・困難の原因が本人にあると思わせる、あるいは障害者があたかも他人を「害」する人であるかのように思えて不快な思いをしている人がいるという意見が出るようになったからです。「障害」表記の見直しに反対の人たちもいます。理由は、「『障害』は、個人の持つ否定的な特性ではなく、社会が持つ障壁によってうみだされている不利益や抑圧である」というのです。

「『害』を『がい』や『碍』に変えることだけでは問題の解決にならない、『障害』の表記よりも具体的な政策の内容が重要」という人もいます。「障害者が害を及ぼすというようなイメージがあるというのであれば、むしろそのイメージの方が間違った障害理解であるということを、何度でも繰り返すべき」と主張して、「障害」表記の見直しに反対する人もいます。内閣府ホームページ上の意見募集でも、「障害」支持4割、「障碍」支持4割、「障がい」または「しょうがい」支持1割、その他1割と意見は分かれているそうです。

講師

そこで最終的な政府の見解として、国としては、当面「障害」表記とするということでした。都道府県別に見てみると、「障がい」表記を用いている都道府県が16道府県あり、三重県もその中に入っています。さらに三重県では29市町のうち、「障がい」表記をとっているところが20市町もあります。三重県に住む私としては、「障がい」表記を今後も使っていこうと思います。

一つの言葉をとってみても、どう考えるかは千差万別であり、非常に難しいものがあります。今後もまだまだこうした言葉の表記の問題は出てくるのかもしれません。講師は、「どのような表記をするかは個人の判断に委ねられるべきであり、どのような表記を使うにしても特定の表記を強要し、単なる言葉狩りに終わって、真の問題解決から遠ざかることにだけはなってはならない」と話されました。今回この講座に参加したことで、「障害」表記の問題を少しでも理解でき、自分の選ぶべき表記について考えることができたことに感謝します。

なお、公開セミナーの後半は、「介護予防は日本を救うキーワード 〜縮む・ゆがむ・かわく〜」をテーマに講演がありました。

(取材ボランティア:興味津々子)

取材したイベント

みえアカデミックセミナー2018高田短期大学公開セミナー

演題 「障害」表記の問題―障害、障碍、障がい、しょうがいー
講師 高田短期大学子ども学科・介護福祉研究センター教授・センター長 千草篤麿さん
日程 2018年8月18日(土曜日)
場所 三重県文化会館 レセプションルーム

【インターンシップは見た!】三重大学松永さん編5

三重県文化会館にインターンシップに来ている、
三重大学人文学部の松永萌さんによるインターンシップブログ第五弾です

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こんにちは。インターン生の松永です。本日5回目のインターンをさせていただきました。

今日は担当させていただいている1011日のオペラ「トゥーランドット」において、
当日配布のプログラムに掲載予定のあらすじを一部分作成することをいたしました。
オペラの第2幕第1場と、第3幕第2場について、本作品の映像を拝見したうえで考えさせていただきましたが、
限られた字数の中でわかりやすく、的確にストーリー展開を表現していくことはやはり簡単なことではないように感じます。
修正・推敲の後、当日のプログラムに掲載させていただく予定ですので、当日いらっしゃる方には是非お読みいただければ幸いです。
インターン生事務作業

広報においては今後も様々なところへ先日作成したチラシを配布していただく予定でおります。
一人でも多くの人に当作品を観ていただければと思っております。

残すところインターン活動をさせていただく日もあと2日となりました。
最後まで一生懸命努めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

文:インターン 三重大学 松永萌

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