三重県総合文化センター ブログ

取材ボランティアレポート「男女共同参画フォーラム みえの男女(ひと)2016」

チラシの、「介護離職ゼロへ!」という大きな文字を見た瞬間、これは絶対に行かなければ!と思い、受講を申し込みました。現在、年間10万人が介護のために離職・転職しているというデータがあり、その数字は今後、減るどころか増えるのではないかと言われているのに、ゼロにできるの???

午前中の分科会は「どう活かす?伊勢志摩サミット どう活かす!女性の能力」に参加。女性の地位が低い日本だが、現状を嘆いていても始まらない。サミット開催県として、先頭を切ってがんばっていこうというポジティブな意見でまとまりました。わりと少人数で、お茶とお菓子のサービスもあり、和気あいあいとしていてとても楽しかったです。

フォーラム写真

午後は、基調講演とパネルディスカッション。大きな会場が満席で、始まる前から熱気にあふれていました。介護は、する側、される側のいずれか、あるいは両方の立場で、すべての人にふりかかってくる問題。介護保険や介護休業制度など、いろいろ整備はされているけれど、結局、当事者になってみないと、自分にとって何が必要で、どう利用すればいいのかわからない。やっとわかったと思ったら今度は制度が変わっていた・・・みたいなことの繰り返しで、本当に難しい。

それに、どこまでやっても、もっとできることがあるんじゃないか、このやり方でいいのだろうか・・・と迷うことばかり。誰かに相談するといっても、具体的なことは、家族の個人情報に触れるから、なかなか難しい。

そんなもやもやした気持ちが、パネリストの方たちのお話を聞いているうちに、どんどん軽くなっていって、ああ、やっぱり、専門家の方のお話を聞くべきなんだなあと実感。

フォーラム写真

特に、
「介護する権利」には、介護する人自身の就労の権利も含まれている。なぜなら、仕事をやめてまで介護するということになると、その人の生活が成りたたない。同時に「介護される権利」もあって、仕事をやめてまで介護するということになると、介護される人の側に、申し訳ないという心理的負担が生じるから。

という言葉は身にしみました。そうだよね、介護する人、される人がお互いに申し訳ないと思いながら、本音が言えないで苦しむなんて、絶対長続きしない。じゃあ、そうならないために、どうすればいの?
答えは、

介護は、「いかに一人で看ないか」が重要。
自分だけで看ないというケア責任を果たそう!

なんだそうです。自分だけで看ないということは、家族全員が交替で看るということももちろんあるけれど、それ以上に、いろいろ整備されつつある制度をうまく使っていってほしいということを、パネリストの皆さんが強調されていました。たしかに、お話を聞いていると、介護に関する制度はとてもよくできている。だけど、当事者になるまで無関心でいるために、いざという時、どういう制度があって、どういうふうに活用すればいいのかがわからないから、うまく使うことができず、介護する人に負担がかかり、そのせいで介護される人にも疲労がたまっていく。

フォーラム写真

介護を取り巻く環境はひとりひとり違うので、「こうすればいい!という唯一の解答はありません」というのが今日の結論だったけれど、介護地獄に陥らない方法はあるんじゃないか、それには、まず、「介護離職ゼロ」をめざし、あきらめずによりよい明日を信じてがんばろうという前向きな気持ちで会場を後にすることができました。

介護は介護だけの問題ではなく、働き方や家族のあり方、そして、幸せって何なの?という、人として生きていく上での大きな課題すべてとリンクしているからこそ、一人では解決できない難しさがあるけれど、みんなで知恵を出し合えばきっといい方向へと進んでいくに違いない。本当にいい勉強をさせていただきました。ありがとうございました。

(取材ボランティア:海住さつき)

レポートしたイベント

男女共同参画フォーラム〜みえの男女(ひと)201〜
企業も人も幸せになる、これからのWork & Life Style 仕事と介護の両立編

日時 2016年11月6日(日曜日)10時から16時まで
会場 三重県男女共同参画センター セミナー室A、B、Cほか
講師 【基調講演】土堤内昭雄さん(ニッセイ基礎研究所主任研究員)
【パネルディスカッション】
コーディネーター:土堤内昭雄さん
パネリスト:平山亮さん(東京都健康長寿医療センター研究所 研究員)、平井千恵子さん(三重労働局雇用環境・均等室 室長)、久保田久美さん((一社)三重県介護支援専門員協会 理事 主任介護支援専門員)

取材ボランティアレポート みえミュージアムセミナー 松浦武四郎記念館「世にも稀なる蝦夷屏風」

三重県生涯学習センター3階 まなびぃ場情報コーナー「みるシル」で、松浦武四郎記念館主任学芸員山本命さんによるセミナーが開催されました。

山本学芸員

松浦武四郎の実家には、高さが約180センチ、幅が約370センチという巨大な屏風があり、「蝦夷屏風」と呼ばれてきたそうですが、平成25年度から26年度にかけて2年がかりで行った保存修理がようやく終了し、現在、松浦武四郎記念館で公開中。今回のセミナーでは、武四郎さんについて初めてわかったおもしろいエピソードなどが聞けるにちがいないと思い、わくわくしながら参加しました。

会場の様子

特に知りたかったのは、なぜ、武四郎さんは、書簡や領収書類を、わざわざ屏風に貼って保存させたのか?ということ。
武四郎さんは、実家に書簡類を送るに際して、甥っ子に細かく指示を出し、絶対屏風にするように、しかも、表裏両面に貼るようにと命じています。

なぜ?

だって、お手紙とか領収書って、小さいでしょ?
普通は、ノートみたいなものに貼って保管するんじゃないの?

その疑問に、山本学芸員はたちどころに答えてくれました。

【答】だって、巻物にしたら、ポータブルでしょ?持ち運びに便利でしょ?松浦家に見に来た近所の人が、「ちょっと貸してよ…」って言って来たら断れないじゃない?
そしたら、後から返してって言った時「ごめん!なくしちゃった…」と言われて散逸するよね?だから絶対ぜーったいに!巨大屏風でなくちゃダメ!

・・・というような内容のお手紙も残っているとかで、武四郎さんってすごいね。

そこまで見通して、きちんと史料を残し、しかも、屏風にすることで、結果的に松浦家ではずーっと八畳間に出しっぱなしだったわけだから、たくさんの人の目に触れることができて、歴史的価値に気づいた人がどれだけいたかはわからないけれども、貴重な歴史が埋もれずに現代まで受け継がれてきたわけです。

歴史を風化させないためには、”後世の人間に絶対に守るんだ!”という気合いがないといけない!ということを武四郎さんに教えられたセミナーでした。

(取材ボランティア:海住さつき)

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