三重県総合文化センター ブログ

取材ボランティアレポート「文楽レクチャー」

近松門左衛門の曽根崎心中については知っていた。
たしか、国語の教科書の「文学史」のページに載っていたし、日本史の授業でも習ったはず。
が、しかし。
見たことはない。
なぜだろう?名作といわれているのに。
おそらく、「わざわざ」文楽劇場まで見に行かなければならないのと、全く何の予備知識もなく見に行ってもおそらくわからないだろうという敷居の高さがあるからだ。
そんな私に、ついに!文楽デビューする機会がやってきた。

チラシ画像

なんと!

三重県総合文化センターで、「三重公演」が行われるのだ。
3月21日(水曜・祝日)という、桜の花もそろそろ咲こうかという春のうきうき気分でお出かけできる日取りも嬉しいし、加えて、事前に「なぜ心中しなければならないのか 文楽の『心中物語』を紐解く」という内容の「文楽レクチャー」が行われるというので、昨年暮れに申込みをした時からずっと今日を楽しみにしていた。

講師は、三重大学人文学部准教授の田中綾乃先生。哲学がご専門だが、長年の観劇歴から歌舞伎や文楽の解説なども精力的になさっているとのこと。

今日は淡いピンク色のお着物をお召しになり、やわらかい語り口で、難しい言葉で書かれた詞章をやさしく、おもしろく解説された。

3月21日の文楽公演の演目は「心中二題」。昼の部が「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」夜の部が「曽根崎心中」。どちらも心中物なので、なぜ、心中がこんなに日本人の心を惹きつけるのか?というテーマでお話が進んだ。先生によると、男性が死ぬ理由は、必ずしも色恋沙汰だけに限ったことではなく、お金の問題など、他の理由もある。興味深いのは、男性は自分一人で死のうと決意するのだが、それを聞いて「いっしょに死にましょう」と言い出すのは必ず女性。意志を持った強い女性と、ダメな男の組み合わせが心中しているという分析に、会場からため息が。人物の相関図を見ながら、人間関係のしがらみについての解説が始まると、おもしろくて、おもしろくて、あちこちから笑いが起きた。

なぜ、文楽がおもしろいかって?

それは、どうにもならない人間模様が、人形を通じてデフォルメされて表現されているからだ。生身の人間が演じると生々しすぎる心中物も、人形を通じて見ると、悲劇なのにコミカルに見え、心中がいいのか悪いのか、といった一種哲学的な問いを飛び越して、よくある浮世の物語としてスーッと心に入ってくる。いわば、現代のアニメのような役割が当時の文楽だったんじゃないか、そんな気がした。

3月21日が今からとても楽しみだ。

(取材ボランティア:海住さつき)

取材したイベント

【文楽レクチャー】なぜ心中しなければならないのか?文楽の「心中物語」を紐解く

日程 2018年2月2日(金曜日)
会場 三重県文化会館 小ホール

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