三重県総合文化センター ブログ

取材ボランティアレポート「東京六人組」

本日は、今年で結成10周年を迎えたアンサンブル集団の「東京六人組」の公演に行かせていただいた。ずっと気になっていた音楽公演をやっと観に行くことができたので本公演について書かせていただく。

東京六人組

「東京六人組」が登場するやいなや、割れんばかりの拍手。そこからも11曲終わるごとに拍手の嵐に包まれ、MCの前後にも鳴り止まぬ拍手が響いた。

曲ごとの音の強弱を意識して聴いたり情景を思い浮かべたりと様々な方法で音を楽しむことが出来た。1曲ごとにMCがあり、各楽器の紹介や演奏曲についての解説、注目ポイントなども説明していただくことで、初めて触れる曲にも抵抗なく楽しめた。またMCも出演者が順番に行い、それぞれが和やかムードで盛り上げてくださったため、会場から笑い声が聞こえる場面もあった。

一番驚いたのは、前述したように拍手の数々だ。登場や退場、MCの前後、演奏前後などどんな時でも拍手が必ず沸いた。特にプログラム最後のボレロの演奏後は拍手の数が今までよりも強く、アンコール曲を2曲も演奏してくださった。会場のみなさんの温かさと「東京六人組」の方々の温かいコメントや響く演奏曲に自分自身も心が穏やかになったのだった。

プログラム

  • モーツァルト(竹島悟史編)/歌劇「フィガロの結婚」序曲
  • プロコフィエフ(竹下倫士編)/バレエ音楽「ロミオとジュリエット」より
  • ガーシュウィン(リサ・ポルタス編)/パリのアメリカ人
  • ファリャ(竹下倫士編)/歌劇「はかなき人生」より「スペイン舞曲」
  • ホルスト(リサ・ポルタス編)/組曲「惑星」より「木星」
  • プーランク/ピアノと管楽器のための六重奏曲
  • ラヴェル(川島素晴編)/ボレロ

【アンコール】

  • ビゼー(リサ・ポルタス編)/歌劇「カルメン」より前奏曲
  • ビゼー(竹下倫士編)/組曲「アルルの女」よりファランドール

(取材ボランティア:m.)

取材したイベント

東京六人組
2025年3月2日(日曜日)14時から
メンバー:上野由恵(フルート)荒絵理子(オーボエ)金子平(クラリネット)福士マリ子(ファゴット)福川伸陽(ホルン)三浦友理枝(ピアノ)

取材ボランティアレポート「なりかわり標本会議」

なりかわり標本会議のお知らせを見た時は、会議…?演技…?標本…?と不思議に思ったのと同時に興味をそそられた。普段なかなか味わうことのない経験をしてみたく行くことにした。自分の感じたことや考えたこと、今回の公演についてまとめてみた。

写真:松原豊

まず受付をする際に、ランダムでカードや封筒を引くように指示を受けた。カードは今回の公演で使う「役割カード」というお仕事が書かれたもの、そして封筒は指示があるまで開けてはならないということだった。ちなみに、私が引いた役割カードは「インテリアコーディネーター」であり、これがどう関係するのかを楽しみに席につく。

公演ときくと、予め台本や設定などがありそれに応じて演技をするものだというイメージがある。だが、この公演はテーマや役割など出演者もどのような設定なのか知らない。我々と同じ感覚で進んでいくのだった。

出演者も我々と同じように役割カードを引き、それに応じて自身の中に落とし込み「なりかわって」いた。

役割が決まったあと、ファシリテーターにより標本会議のテーマが発表され、各々の考えや役割に応じて会議は進む。自分の考えだけでなく、「なりかわって」いる役割のことも考えるというかなり難しい即興演技のようなものが始まった。

写真:松原豊

標本会議のテーマは、「家族制度解体」について。もし家族制度解体が日本に適用されるとしたら賛成か反対かというようなもの。各々の立場や個人の考えを共有していった。

そのあとは、出演者が過去の行動が書かれたカードを引き、それをまた自身の中に落とし込み関連させながら会議は進んでいった。それにより、考えを変えたり自身の過去や今を話したりしていく。我々がはじめに渡された封筒にも実は過去の行動カードが入っていた。それを同じようなタイミングで見て、役割と過去の行動を絡めながら我々も自分なら賛成か反対かを考えた。私は「被災地のボランティアをしていた」という設定で、お隣の方は「投資詐欺をしていた」という設定だった。

写真:松原豊

全ての公演が終わり、役を落とし出演者の演じていた時の感想や考えなども聞くことができた。この職業ならどのように考えるか、過去の行動はこれだったからこれを生かそう、など様々なお話を聞きとても充実した時間を過ごせた。

自分自身が、インテリアコーディネーターで被災地のボランティアをしたという設定ならどのように考えるだろうか。お部屋のコーディネーターをするということは家族制度がなくなってもなにか影響があるのか。被災地のボランティアをしたのならその時に家族の尊さを学んだのではないか。など思考をめぐらせた。

役を全て落とした時の自分としては、家族は大事だしパートナーや友達も大切。家族制度解体があったとしたら、家族が家族のような存在になるというのは今の現状からすると考えにくい。だが、縛りから解き放たれると思うのか寂しさや孤独を感じるのかは人それぞれだと思い刺激を受け帰路についた。

(取材ボランティア:m.)

取材したイベント

なりかわり標本会議
2025年3月1日(土曜日)14時から
構成:松井周 

取材ボランティアレポート「地球の土ぜんぶ掘ってみた−土と生命の五億年のドラマ−」

テーマから、どのような話になるのか想像できなかったが、土から考える地球・生命・食料についての話であった。
日頃、土については、近くに狭い畑を借りて野菜作りをしており、水はけ、水もちに関心をもつ程度で、あまり掘り下げて考えることはなかった。
この度のセミナーは、学術的な話や専門用語もあったため、少し理解できた事、関心のあった事を自分なりに解釈しその内容を紹介したい。

土とは

土は、岩が分解したものと死んだ植物が混ざったもので、土作りは多様な微生物が関わる超循環型社会で4億年にわたり続いているにもかかわらず、土の研究者は少ないとのこと。そうした中で、進化論の提唱者であるダーウィンは土作りに重要な役割を担うミミズの研究をし、詩人でもあり童話作家として知られる宮沢賢治は、農業の普及員や肥料のセールスをしていたそうです。

地球・生命

地球は46億年前に誕生し、土は5億年前に誕生。その後、保水力のある土に生物(コケ植物等)が誕生し、根の進化、巨大化、キノコ進化、ヒト進化等、時代の経過とともに共進化したそうです。

世界の土、日本の土

ヒトは、水と土が悪いと生きられないため、世界の各地でいい土を求め、その結果として、ヒトが集まり、気候の制約を受けて食文化が形成されたそうです。
『いい土とは、根の気持ちになって考えるといい』とのお話でしたが、風によって砂塵が多く堆積した場所に、いい土壌が多いとの事でした。
日本には主に3種類の土、1.森林の土(褐色森林土)、2.畑の土(黒ボク土)、3.水田の土(沖積未熟土)があり、水田の土の魅力は地質学的な施肥※にあるそうです。

※施肥(せひ):植物に肥料を与えて成長を促し、花や実の付きをよくすること。

土の未来

動植物の死骸をバクテリアが解し形成が繰り返される土壌は、生命の生存基盤である環境を提供するが、人間には土が作れず、劣化するため、メンテナンスが必要であるとのこと。そのための肥料、農法、土を作る挑戦等の説明がありました。その中で、農法は生物性、物理性、化学性により形成が繰り返される土壌と、生産者が得る利益や作物の種類、気候等が関係することから、持続可能な方法はないそうです。

おわりに

今回のセミナーで、土に関心をもつ人、あるいは魅了される人の気持ちが少しわかったような気がした。また、土は人が生きていくために必要な水、エネルギー資源と比べ、人が作れないという点でれ以上に価値のあるものに思えた。

講師:藤井一至
サイン会の様子

(取材ボランティア:渡邉

取材したイベント

まなびぃすとセミナー「地球の土ぜんぶ掘ってみた−土と生命の五億年のドラマ−」
2024年12月7日(土曜日)13時30分から
講師:藤井一至 (国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員)

取材ボランティアレポート「日本考古学・古代史上における三重」(2)

単に寺や神社、お城に訪れることで日本の歴史を知ることが今までの習慣であったが、京都や奈良に隣接し、特別な神社である伊勢神宮のある三重が、考古学・古代史上でどのような意義を持つのか、興味をもって受講した。

講義は、縄文時代草創期から安土・桃山時代にかけて、三重における遺跡・遺物を発掘調査・研究した成果を数多く語られた。そのなかから、関心を引かれた事、驚いた事、意外であった事を中心に列記する。

  • 紀元前1万年前に松阪市飯南町の粥見井尻遺跡で、現時点では最古の土偶が発掘されたこと。
  • 古墳時代の三重は、全国的に見て大型前方後円墳が多く、この時代の研究をリードしていること。松阪市の宝塚1号古墳では、装飾された船形埴輪や珍しい湧水施設、導水施設を模した埴輪がセットで発掘された。鈴鹿市の石薬師東63号墳で発掘された非常に美しい形をした馬形埴輪は、東京国立博物館で開催中の展覧会で展示されている。伊賀市の城之越遺跡では庭園的要素をもつ遺構配置が発見された。当時、古墳時代では全国でほとんど知られていなかった湧水箇所から水を導く溝の法面に石を貼り付けた貼石(はりいし)遺構が発掘され、現時点では日本最古の庭とされている。
  • 伊勢神宮創祀の問題は専ら文献史学上の問題であったが、考古学的知見を介入させることで新しい視点が示される。大王家祭祀場の伊勢移転を前提として、周辺地域の考古資料から倭王権も関与して5世紀に創祀され、天武・持統朝に「アマテラスを祀る宮」として位置づけられ、再整備されたとの講演者の見解が示された。

その他に、『中世的世界の形成の舞台とされた黒田庄と東大寺』『天正伊賀戦争』等、歴史や地理に興味のある人にとって、関心を引かれる話があった。

この度の講座により、過去のそれぞれの時代に生きた人の生活、死生観、祀りごと、信仰等を知り得たことで、今後目にする三重の史跡や出土品を広い視野で興味深く眺められそうな気がした。

(取材ボランティア:渡邉

取材したイベント

日本考古学・古代史上における三重
2024年11月16日(土曜日)13時30分から
講師:穂積 裕昌(三重県埋蔵文化財センター所長) 

取材ボランティアレポート「日本考古学・古代史上における三重」

2024年11月16日に開催された「日本考古学・古代史上における三重」

三重県内に所在する遺跡や古墳は、考古学上、あるいは日本史上の中でどのような意義があるのか。発掘調査によって明らかとなった遺跡を中心に、それがもつ学問的な意義や面白さを三重県埋蔵文化財センター所長の穂積裕昌さんにわかりやすく解説していただきました。

会場には考古学ファンが多く集まり、熱心にメモを取る様子も見られました。時には笑いが起こることもありました。穂積さんの解説はきめ細かく丁寧で、まるで大学の専門的な授業を受けているかのようでした。

講座では、松阪市の遺跡で縄文時代草創期に遡る最古の土偶が出土したことや、鈴鹿市の古墳から豪華な馬形埴輪が見つかったこと、伊賀では最古の庭の調査について紹介がありました。

松阪市粥見井尻遺跡から約10,500年前の女性の形をした土偶と石器が見つかり、現時点での最古だそうです。また、鈴鹿市石薬師から出土した馬の形をした埴輪は馬形埴輪の中でも代表的な埴輪とされていて、東京国立博物館で開催中の展覧会で展示されているとのことです。他の馬形埴輪に比べ、たてがみや鈴などの馬装が細かく、表情も豊かに作られており、とてもかっこいいと感じました。

伊賀市の城之越遺跡の調査の際には、溝の法面に貼石(はりいし)が見つかったことで他に例をみない古墳時代の貼石遺構が発見され、源流部では湧水点が見つかったそうです。現地説明会には1800人もの人が訪れ、さらには雑誌にも掲載されたそうです。その後、奈良県でも同じような飛鳥京跡苑池が発見されたとのことで、その連続性に驚きました。

私は、三重県にこんなに多くの古墳や遺跡があるのを初めて知りました。三重県の出土品や発見されたことが今後の研究へと繋がると考えると、三重県民の一人としてうれしく思います。考古学とは普段馴染みのない場所で暮らしている人がほとんどだと思いますが、伊勢神宮を有する三重県が日本の歴史にも深く関係し、現代の暮らしに繋がっているという時の壮大さを肌で感じ、遥か昔から脈々と受け継がれた日々の営みはこの瞬間でさえ単独で存在しているものではないのだと感じさせられるそんな講座であったと思います。

(取材ボランティア:krn)

取材したイベント

日本考古学・古代史上における三重
2024年11月16日(土曜日)13時30分から
講師:穂積 裕昌(三重県埋蔵文化財センター所長) 

取材ボランティアレポート「なぜ人は聖地を目指すのか−聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで−」

なぜ人は聖地を目指すのか

私も含め、退職した人たちの話題は、『どんな時間の過ごし方をしているのか?』といった内容が多いように思える。
旅行、読書、外食、スポーツ観戦等がよく話題になるが、四国遍路を何日間もかけて、地道に続けやり遂げた話を聞いた。その時、非常に高尚なものと思え、その行為の目的、信仰心とはどのようなものか興味を持った。

この度の講座は、それらの疑問を解き明かす鍵になるのではとの思いで受講した。

講座では、21世紀以降、巡礼者が近年激増しているスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラの地を目指す巡礼の紹介があった。聖地である大聖堂と聖遺物の由来、巡回ルート、周囲の環境、巡礼のための交通手段(バス、徒歩、自転車、馬、ロバ等)、また、講師自身が巡礼の中で出会った人々とのエピソードも交えられていた。

印象深かったのは、巡礼者の大半が宗教心を持っているわけでははなく、聖遺物への崇拝を目的としないという点であった。

その目的は、「本来の自分をとりもどす」、「自分の学びのための出会い」、「自己の内視」等とのことであった。こうした話を聞いていると、観光を主な目的としない旅と、巡礼の違いはあまり大きくないのではないかと思った。

かつての信仰は、神や教会、教団が中心であったのが、「自身が聖なるものとつながりたい」「個人でなんとかするのでほっておいてほしい」という考えに変化しているという。

特に日本の宗教は、とりわけ多くの人が知的な信仰ではなく、気分や感情によって関わるため、スピリチュアル化しやすいとのこと、そうした信仰の変化に対し、伝統的な価値を大切にすることが重要だとも話されていた。

多くの情報に振り回されることなく、幅広い価値観をもち、今までに培った感性で今後自身の信仰について関わることが大切なのではと感じた。

(取材ボランティア:渡邉

取材したイベント

なぜ人は聖地を目指すのか−聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで−
2024年10月12日(土曜日)13時30分から
講師:岡本 亮輔(北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院 教授) 

社会見学:わくわく劇場体験ツアー「大台町立三瀬谷小学校」

《開催日時》2024年11月1日(金曜日) 10時00分から11時30分まで
《会場》三重県総合文化センター 大ホール
《団体》大台町立三瀬谷小学校
《内容》

 

 大台町立三瀬谷小学校のみなさんを劇場体験プログラム「わくわく劇場体験ツアー」へご案内しました。
 大ホールのホワイエで、そうぶんについての説明や、そうぶんの見えない部分で働く人たちについてのお話を聞いた後、客席の中へと入っていきました。
 客席では、音響・照明・舞台の3つのお仕事を組み合わせた機構ショーを見学し、その後3つの機構についての説明を聞きました。機構について少しわかってきたところで、先程聞いた内容を思い出しながら、もう一度ショーを見ました。
 ショーの後は舞台上へと移動し、照明の作業の様子を見学したり、フィルターというライトに色を付けるための道具を実際触ってみた後、大ホールにしかない「オペラカーテン」という機構を裏側から見学し、どういう仕組みで動いているのかを確認しました。
 その後は、シーリングという客席の真上の高いところに行って上から客席を見たり、バトンと言う黒い棒をレバーを使って実際に動かしたり、楽屋の中へと入ったりと、大ホールの様々な場所で体験や見学を行いました。
 皆さん楽しそうに体験したり、話を聞いていて、興味を持ってくれている様子が伺えました。

 緑色に光ってる!どうやって色をつけているのかな?

先生が下に消えていく!こうやって準備していたんだね!




参加者の声


(児童)
・レバーや照明を動かしたり、色をつける、自分でやるところが楽しかったです。
・舞台の仕組みのことをいっぱい知れて、勉強になりました。

(先生)
・実際に体験を出来たことがとても嬉しい様子でした。ツアー中も気軽にスタッフの方とお話させていただいている姿が見られました。

社会見学について

三重県総合文化センターでは、小学校中学年を対象とした社会見学を実施しております。
未来の利用者である子どもたちに、公共の施設でのマナーやルールの他、普段は入ることのできない施設の裏側や、そこで働く人々のさまざまな「仕事」について楽しく学んでいただけるコースをご用意しています。
詳細は、「社会見学・施設見学」ページをご覧ください。

取材ボランティアレポート あなたならどうする?−防災ゲーム「クロスロード」で体験する災害対応−

日本は自然災害が多い国です。今年は1月に能登半島地震があり、多くの方が被災されました。また、今後起こると言われている南海トラフ地震でも、大きな被害が懸念されています。今回の講座では、防災ゲーム「クロスロード」を通じて、災害対応を学びました。

講師は、三重県 防災対策部 地域防災推進課 防災技術指導員の岩本久美さんです。岩本さんは、もともと消防士をされていたそうです。

「防災」と聞いて難しいイメージを持っていましたが、ゲームを使って考えていくことで、他の参加者の人たちと楽しみながら災害対応について考えることができました。

エントランス関連展示

今回の防災ゲーム「クロスロード」は、1グループ7人で行われました。まず課題が出され、自分ならこの場合にどうするかを約3分間グループで話し合います。そのあと、「YES」か「NO」のカードを同時にオープンし、多数派が青い座布団のカードをゲットできます。また、少数派の意見も大切ということから、1人だけ違うカードだったときは、金の座布団をゲットすることができます。今回は金の座布団の代わりに、三重県防災キャラクター「なまず博士」のカードが配られました。

ゲームの初めの方はグループで意見がそろうことが多かったのですが、だんだんと迷う内容が増えてきました。特に私のグループでは、「自分が被災地の受験生だったら、受験勉強と避難所の手伝いのどちらを優先するか」のような課題で意見が分かれました。災害対応には正解がないと岩本さんもおっしゃっていましたが、その難しさを実感しました。

自分と違う意見の人の話を聞いて、そういう考え方もあるのかと知ることができたのでとても勉強になりました。私のグループには小学生から80代まで幅広い年代の方がいらっしゃったので、大きな災害を体験した人とそうでない人や、年代の差による意見の違いなども感じました。

ゲームを始める前のアイスブレイクや休憩の時間に、グループで昭和東南海地震や阪神淡路大震災を体験された方のお話を聞きました。昭和東南海地震などは今年で80年がたちますが、今でも忘れることはないとおっしゃっていました。被災したときにどのように行動するかを考えるだけでなく、被災した方の経験などについてもお聞きすることができて、とても貴重な機会になりました。

岩本さんは最後に、情報収集や事前に災害に備えることの重要性についてお話しされていました。
いざというときに焦らず行動できるよう、日頃から考え、準備をしておくことが大切だと感じました。

(取材ボランティア:高山)

取材したイベント

人・まち・セミナー
あなたならどうする?−防災ゲーム「クロスロード」で体験する災害対応−

2024年9月29日(日曜日)13時30分から15時30分まで
講師:岩本久美三重県 防災対策部 地域防災推進課 防災技術指導員) 

取材ボランティアレポート みえミュージアムセミナー2024芭蕉翁記念館「芭蕉のあこがれ×あこがれの芭蕉」

2024年は、三重県伊賀市出身の俳諧師である松尾芭蕉の生誕380周年です。今回は、三重県生涯学習センターで行われた、「芭蕉のあこがれ×あこがれの芭蕉」の講演会に参加してきました。講師は、伊賀市文化振興課 芭蕉翁記念博物館学芸員の井悠子さんです。芭蕉や彼を取り巻く人物などについて、日本文学作品を取り上げつつお話していただきました。

講演前の私は、芭蕉に対して各地を旅している人という印象を強く持っていました。ですが井さんによると、芭蕉は生まれてからおよそ30年は伊賀で暮らしていたそうです。彼が約50年の生涯のうち、かなり長い時間を伊賀で過ごしていたと知り、驚きました。

ところで、芭蕉の作品は「古池や 蛙飛び込む 水の音」
などに見られるように、比較的分かりやすく、親近感のある印象です。彼の作風は、「かるみ」「蕉風」といった言葉で表されるそうです。しかし、芭蕉は古典の素養を軽視していたのではなく、むしろ古典文学作品を大切に考えていたと井さんはおっしゃっていました。

芭蕉が憧れた文学作品として、『源氏物語』を紹介していただきました。芭蕉の作品である『笈の小文(おいのこぶみ)』や『奥の細道』において、『源氏物語』の「須磨」や「夕顔」の表現が引用されている箇所を教えていただきました。

また、芭蕉は「西行」に憧れていたと考えられています。例えば、『幻住庵記(げんじゅうあんのき)』に「とくとくの雫」という表現があり、ここで芭蕉が「西行」をなぞった行動をとっていると考えられるそうです。

他にも、『源氏物語』や「西行」の聖地巡礼のようなことをしていたようです。西行に関しては、『笈の小文』と『野ざらし紀行』の両方で、西行ゆかりの地である三重の伊勢、奈良の吉野に立ち寄っています。こちらは、芭蕉が西行を慕っていたことがよく分かるエピソードでした。

続いて、与謝蕪村や正岡子規など、芭蕉に憧れた人々のお話をしていただきました。

蕪村の句に「みの虫の ぶらと世にふる 時雨哉」
というものがあります。井さんによると、これは芭蕉を連想させる句のようです。まず「みの虫」という表現ですが、芭蕉の門弟である「土芳」の草庵が「蓑虫庵」と呼ばれています。芭蕉は庵開きの際に、この蓑虫庵に泊まったそうです。さらに、「世にふるも さらに宗祇の やどり哉」
は芭蕉の時雨の句として有名です。また、子規は『はて知らずの記』において、芭蕉の『奥の細道』を辿っています。

エントランス関連展示

今回の講演では、何かに憧れ、その後をなぞる方法として様々なものがあると教えていただきました。中でも芭蕉たちが行っていたような、憧れを自分の作品に落とし込んでいくという方法は、創作活動をする人ならではだと感じました。

(取材ボランティア:高山)

取材したイベント

みえミュージアムセミナー2024 芭蕉翁記念館「芭蕉のあこがれ×あこがれの芭蕉」

2024年9月21日(土曜日)13時30分から15時30分まで
講師:井悠子伊賀市文化振興課・芭蕉翁記念館 学芸員) 

取材ボランティアレポート「気候変動と未来の食卓」

全国各地で、異常な暑さが続き、時おり発生する線状降水帯による豪雨に、気候変動を身近に感じている人が多いのではと思う。

また、地震、台風による災害状況から、日常生活には欠かせない食料について、問題意識を持つことは当然である。

本テーマは、そのような時勢にあった講座なのか、会場は満席状態であった。

はじめに、三重県沿岸の海水温が、温室効果ガスを出し続けた場合、21世紀末に、おおよそ1世紀で2℃から3℃上昇が予測され、三重県の主な養殖水産物である、黒ノリ、真珠(アコヤガイ)、マダイにどのような影響が出るのか、調査された内容の話があった。

調査の結果として、養殖期間が短くなる、生命力が弱まる等の先行きが不安なものであった。
海水温の上昇に加え、海洋酸性化(大気中に排出された二酸化炭素を海が吸収し酸性化)により、海の生態系が大きく変化し、魚種別の漁獲量に影響を及ぼすそうだ。

次に、平均気温の上昇について、津地方気象台の観測では、100年経過で1.8℃上昇している。世界では過去100年あたりで0.76℃上昇しているそうだ。
こうした気候変動対策として、緩和と適応があり、緩和は、温室効果ガス発生を抑制すること、適応は、折り合いがつくところは折り合いをつけていくことだそうだ。

例として、米、ミカン、牛乳、牛肉は牛の飼育により、温室効果ガスであるメタンガスを発生することから、大豆ミート等の代替え肉等が考えられ注目されているようだ。

一方、気候変動以外に、戦争、人口増加が要因となり世界では食料供給不足の現状にある。そうした現状からか、食料を輸入に頼る日本は、令和6年6月に食料供給困難事態対策法が成立した。
未来の食卓として紹介されたレシピの、カロリー摂取を目安に推奨された食材は、さつまいもであった。

私自身、気候変動に適応するには、健康管理を踏まえ好き嫌いをなくすこと、また、品種改良された米「結びの神」等、今後を見据えた食品に目を向けることが必要と思われる。

(取材ボランティア:渡邉

取材したイベント

気候変動と未来の食卓―私たちは何を食べて生きていくのかー
2024年9月8日(日曜日)13時30分から
講師:樋口 俊実(三重県気候変動適応センター) 

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