三重県総合文化センター ブログ

取材ボランティアレポート「そうぶんの竹あかり」

竹あかり

年末も近くなり、振り返ると「そうぶん」ではたくさんのイベントが中止となった寂しい年でした。しかし、恒例のイベント「竹あかり」は行われると聞いたので早速作業場を訪れてみました。

今年は密を避けて祝祭広場での開催となります。裏庭の紅葉とのコラボが観られないのは残念ですが、こちらなら場所も広く安心して観ていただけます。なので、恒例のトンネル型ではなくワイヤーを使い立地を効果的に演出した高さを強調するダイナミックなデザインとなっています。

作業風景

目を惹くのがフレンテ2階に林立する4メートルの竹。設置はとても大変だったけれど、実は1本1本にワイヤーを取り付けて張り渡らせるのがもっと大変だったとか。

竹あかり作家・演出家川渕皓平さんが描いたデザインを紙上から起こし立体化させるためにワイヤーの角度と長さを予め計算し作業に入ったそうです。その丁寧な下準備がアイデアを正確に表現できているのです。さらにワイヤーにぶら下がっている円形の枠にも美しい揺れを生むために計算がしてあります。8本の竹で作られている輪は、外側だけを止め、やはり計算された長さと間隔でワイヤーから吊り下げています。どちらも川渕さんとスタッフが現場で調整しながら完成させた労作です。輪の二番目の竹に取り付けたLEDライトが絶妙な配置で竹の外面を反射させ、風が吹くと瞬きながら回転する様は銀河系の集まりのようです。

竹あかり

作業ボランティアの方が「竹をおんなじ長さとおんなじ太さに割ることは本当に大変な作業なんですよ。特にデザインの中心となる大きな球体は生竹だから早く形を作って止めてしまわないとどんどん乾いて割れてしまうんです。

作業風景

しかも川渕さんのこだわりで重なる部分は15センチまでと決めているから、さらに大変なんですよ」と、教えてくれました。

美の細部にこだわる川渕さんの思いと、スタッフの美を実現させたい思いとが重なり造られた竹あかりの美しい景色。川渕さんは最後の最後までひとつひとつの竹の中のライトを調節していました。祝祭広場に拡がる竹あかりを眺め、右から左へと流れていく美しい景色にはそんな汗も流れているのです。

今年の竹あかりは昨年より多くの竹が使われており、幽玄の世界が祝祭広場いっぱいに拡がっています。川渕さんが初めて挑戦された空中を照らし回る竹あかりは、そうぶんでしかみられません。

今年のテーマは『三千世界』。

4メートルの竹先から祝祭広場の裾野に向けてユラユラと揺れ光りながら拡がる竹あかりの須弥山。コロナ禍で狭められた私たちの心の前に現れた竹あかりの三千世界。みつめる人たちのその心を少しだけ広げて温めてくれることでしょう。

(取材ボランティア:鈴木ゆかり)

取材したイベント

そうぶんの竹あかり

開催期間 2020年11月19日(木曜日)から12月6日(日曜日)まで

「そうぶんの竹あかり」詳細ページへのリンク

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