行こう、図書館(4回)「図書館でボランティア」


図書館でのボランティア活動には本の整理や、vol.124で紹介した「図書館探検隊」や社会見学での案内などがある。その中で今回は本修理をするボランティアを紹介!(Mnews vol.125/2019年3月)

    図書館の本は、基本的に1冊ずつしかない。繰り返し貸し出されているうちに痛みが出てくることもある。

    図書館では月に1回修理工房を開催している。修理するのは図書館ボランティアと職員。この日の作業では、主に製本用のボンドではずれたページを接着していた。

    ページをめくるので、やはり根元部分は痛みやすい。
    接着後は、クリップなどで固定し、12日ほど乾燥させてから書棚に戻す。

    修理工房の常連本は児童書の「かいけつゾロリ」シリーズ。
    常連になるということは、子どもたちに大人気の証拠であり、修理の痕がどこか誇らしげにも見える。

    しかし、どうしても修理ができない場合は残念ながら廃棄せざるを得ない。
    一度廃棄されるとその多くは再購入されないそうだ。
    修理中、50年前の本が出てきた。50年間、何度も修理されながらも大切に利用されてきたのだ。「子どもの頃に読んでいた本が図書館にあると嬉しいですよね。」と図書館職員さん。

    うっかり本を水に濡らしてしまったことはないだろうか?
    ついついお菓子を食べながら本を読んだことはないだろうか?
    水濡れがカビの原因にもなるそうだ。大好きな本がこの先もずっと、次の世代にも読んでもらえるように、私たちにできることは本を大切に扱うということ。改めて本を大切にしようと思った。

    修理工房

    参加していたボランティアさんたちに、ボランティアをする理由を聞いてみた。
    やっぱり本が好きだからという方もいらっしゃるけど、みんながそうではない。本はあまり読まないけど社会とのつながりが欲しいという方や、自分でもできそうな活動だからという方も。図書館ボランティアのおすすめポイントを3つ教えていただいた。

    1. 友だちの輪が広がる。
    2. チームワークが生まれる。
    3. 工夫をすることによって活動のモチベーションがあがる。

    修理工房は見学もできるそうだ。どんな雰囲気か気になる方はぜひ。
    修理工房は、毎月1回第3木曜日に開催。
    見学希望の方は図書館カウンターでお尋ねください。


    図書館をはじめ、三重県総合文化センターのボランティアについて詳しくは下記をご覧ください。

    ボランティア紹介ページへのリンク

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      行こう、図書館(3回)「図書館探検隊員」になってみた。


      三重県立図書館で行われているさまざまなイベントの中で、子どもから大人まで年齢を問わず人気を誇るのが「図書館探検隊」。最大100万冊の蔵書を収容できる地下書庫に入ることのできるめったにないチャンスを逃すまいと、今回もたくさんの応募があり、満員御礼で早々と応募を締め切る人気ぶり。この日は8月の暑い土曜日の午後。集合時間が近づくと、続々と探検隊のメンバーが集まってきた。探検中は飲食禁止なので、出発前にしっかり水分補給をして、レッツゴー!
      文:取材ボランティア 海住さつき隊員(Mnews vol.124/2018年12月)

        まさに本の滑り台や!

        今回は図書館ボランティアが案内してくれるそうだ。まずは、「図書返却ポスト」の裏側へ。図書館が閉まっている時には、ポストに本を入れて返却しているけれど、その裏側はどうなっているのだろう?探検隊は鍵のかかった小さな部屋へ。狭いスペースなので、5人ずつ順番に中へ入る。なるほどと思ったのは、本が傷つかないよう、フロアにマットを敷くなどの工夫がされていたこと。休館日には、何百冊もの本が返却ポストに入れられるそうで、それを分類して、元あった場所に戻す作業は、図書館の職員だけでなく、ボランティアもされているそうだ。書棚に本がきちんと並べられているのを当たり前のように感じていたけれど、全部、人の手で整理されていることを知り、館内で閲覧した後、読み終わった本は元あった場所に戻そうと改めて思った。

        次は、いよいよ地下書庫へ。地下書庫には86万冊(2018年時点)の蔵書のうち、約69万冊が所蔵されている。ドアを開けると、中はひんやり。本のために、書庫の温度は常に22度に設定されているそうで、猛暑で疲れた体にはありがたい。中に入ると右も左も書棚が並んでいる。地下書庫は2層に分かれており、床は通気性をよくするためスノコ状に隙間があいているので、ハイヒール禁止!

        この下にはたくさんの蔵書が…!

        ところで、この広い地下書庫はどこにあるの?答えは「知識の広場」の下。「知識の広場」の大きさが即ち書庫の面積だそうだ。今まで、そんなこと全然知らずに知識の広場を横切っていたけれど、これからは「この下には69万冊の本があるんだなあ」と思いながら歩けるので、秘密を知っているようで何だか嬉しい。

        和装本は平積みが基本

        また 地下書庫には、江戸時代に作られた古い和装本なども収蔵されており、厳重な二重扉の奥に保管されている。それらの本を虫などから守るためにさまざまな工夫がされていた。定期的に燻蒸したり、厳重な扉の内側にはさらに鉄製の網戸をつけたりして、虫や、虫の卵が付くのを防いでいる。昔の本は、糸でとじられただけでふにゃふにゃしており、書棚に立てると本に負担がかかるので、横に寝かせた状態で保管。

        新聞や雑誌は時代を映す鏡

        昔の新聞や雑誌の書棚の前を通ると、おじいちゃんの家の書斎と同じ匂いがして、まるで昭和の時代にタイムスリップしたみたい。今回の図書館探検隊で出会ったのは、夏休みに図書館にこもり、時間がたつのを忘れて本を読みふけっていた小学生の頃の自分だった。

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        行こう、図書館(2回)「英語多読」に挑戦してみた。


        英語多読とは、「(1)辞書を引かない、(2)わからないところは飛ばす、(3)合わなかったら別の本にする」という3原則にしたがって、とにかく英語の本をたくさん読むこと。楽しく読むうちにレベルアップできるというのだが・・・(Mnews vol.123/2018年9月)

          図書館の出入り口に近い場所に「英語多読コーナー」がある。
          本には「YL」Y(よみやすさ)L(レベル)が設定されている。0.1は、ほぼ絵だけで文は少ない。コーナーにはレベル6までの本が設置されている。レベル6を見ると、小説ではないか…!「0.1から始めるのがいいですね。」と図書館職員さん。しかし、県内で唯一の多読コーナーのためか、この日レベル0.1の本はほぼ貸出中!ちょっと背伸びして、0.2の本を借りてみた。貸出数は一人5冊までなので、このレベルなら館内でまとめ読みがおすすめだそうだ。

          交流会の様子

          図書館では2017年から、交流の場にと「英語多読交流会」を開設していたが、その参加者から、「もっと気楽に立ち寄れて交流できる場を作りたい」と声があり、2018年から定期的に「英語多読ルーム」が開設されている。

          潜入「英語多読ルーム」

          この日、多読ルームを利用していた3人に話をうかがった。

          How did you get started?(始めたきっかけは何ですか?)

          NOBさん(多読歴10年)
          TOEIC800点をとっていても、英語の本となると読めなかったんです。酒井邦秀さんという方が提唱した「英語多読」を知って実践してみたら、次第に小説が読めるようになりました。

          裕子さん(多読歴3年)
          英会話塾の先生から勧められました。転勤で三重に来た時、図書館に多読コーナーがあって感動しました!本の感想やおすすめの本を紹介しあえる場がほしくて、「英語多読ルーム」を提案しました。

          What is fun?(どんなところが楽しいですか?)

          裕子さん
          英語の本を読んで泣けた時、没頭していたことに気づきました。

          カルダモンさん(多読歴2年)
          今よりも低いレベルの本を読んだ時に、がんばらなくても読めた時は、「よしっ!」となりますね。

          Please give me advice!(アドバイスをください!)

          NOBさん
          英語が苦手な人こそ効果があると思います。早ければ半年で効果が出てくる人もいますが、5年ぐらいは気長に続けてみてはどうでしょう。

          カルダモンさん
          多読を始めて英語の苦手意識は低くなりましたね。

          裕子さん
          わからない単語が出てきても読み飛ばしていけばいいので、気楽ですよ。語数を増やしていく喜びもあります。私は、オリジナルの記録表をつけています。まずは100万語を目指しましょう!


          目標、ペースは人それぞれ。先輩方の体験談を聞いているとワクワクしてくる。焦らず気長に続けていくのがよさそうだ。


          英語多読ルーム、交流会等のイベントは、新型コロナウイルス感染症の影響で中止している場合があります。最新情報は三重県立図書館ホームページでご確認ください。

          三重県立図書館へのリンク(外部リンク)外部リンク

           

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            行こう、図書館(1回)「レファレンスコーナーで相談してみた。」


            図書館の「レファレンス」をご存じだろうか。調べものの相談に対して、所蔵資料やインターネットを使って、調べ方や参考となる図書を紹介してくれるという。これは夏休みの自由研究にも使えそうだ。さっそく、図書館のカウンターに行ってみた。(Mnews vol.122/2018年6月)

            質問内容 「福沢諭吉はなぜ一万円札に描かれるようになったの?」

            レファレンスコーナー

            まずは、図書館職員さんが図書館の蔵書を検索。何をキーワードにするかが重要だ。今回は、「紙幣」「肖像」というキーワードで検索し、数冊出してくれた。

            本だな

            蔵書には分類番号があるのはご存じだろうか。図書館の本は、ほぼ全国共通のルールによって整理されている。例えば「281」は日本の伝記、「337」は紙幣というように。閲覧室の「2」や「3」の本棚に行くと関連した本がまとまっている。本棚に大きな数字が書かれているのには理由があった…!

            職員さんは、相談者がどこまでのサポートを必要としているかを、会話から判断する。
            今回は参考となる図書を紹介してもらうだけでなく、調べものをサポートしてもらうようお願いしたので、職員さんも一緒にリサーチ。

            レファレンスの様子

            様々な図書を見比べて、手際よく情報をピックアップする姿はさすがだ。手がかりが少ない場合は百科事典や図鑑から当たってみるそうだ。また、インターネット検索もする。今回の場合、「国立印刷局」や「日本銀行」など。情報の発信元が信頼できることが重要だ。このように図書やインターネットを駆使し、多角的に手がかりを探っていく。

            結果、このような回答が導き出された。

            紙幣は、偽造できないように、彫りが深く特徴がある中年以上の文化人から選ばれることが多い。その人物は品位があり、国民によく知られていること。また写真があり、写真の出典が明確であること。時代の潮流にも乗って、外国での知名度も高かった福沢諭吉が総合的に選ばれた。

            こんなにいくつもの理由が積み重なっているとは…
            「いや~お札っておもしろいですね。」

            レファレンスは、電話やメールでも受け付けているそうだ。インターネットで何でも調べられる時代だが、信ぴょう性を疑う情報も溢れている。情報検索のプロに相談してみるのはいかがだろうか。

            今回紹介してもらった本(一部)

            本

            『お札になった人々』青春出版社、『お札になった偉人』池田書店、『紙幣肖像の歴史』東京美術

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