[完全版]音楽家としての歩みと、プログラムへの想い(Mニュースvol.154)
コラムの執筆を担当して2年…ついに私自身が出演するコンサートについて筆を執る日がやってきました。
「三重県文化会館セレクションシリーズvol.22 ピアノ三重奏」でともに演奏する世界的ヴァイオリニストの毛利文香さんとチェリストの上野通明さんにインタビューを行いました。
それぞれの音楽的ルーツから今回のプログラムに至るまで語っています。
紙面には掲載しきれなかった完全版をWEBにてお楽しみください!
子どものころの夢は?
上野 最初はウルトラマンで、次はレオナルド・ダ・ヴィンチみたいな天才。4歳の時にドキュメンタリーで観たヨーヨー・マに憧れてその時から夢はずっとチェリストです。
兼重 ヴェルディ川崎のサッカー選手(笑)中学生くらいの時に一気に音楽にハマった感じかな。
毛利 小学校の卒業文集には「音楽を通して世界中の人と仲良くなる」って書いていました。
影響を受けた人は?
上野 恩師たちですかね。特にドイツで師事したピーター・ウィスペルウェイさんは、演奏を聴いていても話しているだけでも強烈なエネルギーを浴びせられる個性的な人です。そして強固な意志を持っているところが尊敬できます。
毛利 やっぱり私も恩師たちかな。母のような存在の水野佐知香先生、一緒にいると不思議なエネルギーを与えてくださる原田幸一郎先生、そしてドイツで師事したパワフルなミハエラ・マーティン先生の下で基礎を学び直し、表現の幅を広げました。
兼重 ドイツの師匠であるゲラルド・ファウト先生からは全てにおいて影響を受けました。あとレッスンを受けた回数は少ないけど、エリザーベト・レオンスカヤ先生からは自然や生命と音楽の繋がりのようなものを授かった気がします。
今まで聴いて印象に残っているコンサートは?
上野 石川ミュージックアカデミーで聴いたジャン・ワンさんのコンサートはとても印象に残っています。チェロってこんな音がするんだ、という感じでした。
毛利 ベルリンで聴いたメータ指揮のシュトラウスの『薔薇の騎士』かな。カミラ・ニールンド、ネイディーン・シエラの声が特に印象に残っています。それ以来オペラを観まくっています。
兼重 敢えてピアニストに絞ると、チッコリーニ、レオンスカヤ、ルプー、クン・ウー・パイクさんなどの音がとても印象に残っています。
室内楽の愉しみとは?
上野 一緒に弾く人の出してくるものによって自分の弾き方も変わってくるし、影響の受け方、刺激の受け方によって、ステージではその瞬間全てが自分の想像通りにならないという楽しみがある。あとはリハーサルが楽しいですよね。
毛利 やっぱりコミュニケーションだよね。
兼重 本当に。
「三重県文化会館セレクションシリーズvol.22 ピアノ三重奏」のプログラムについて
シューベルト/ソナチネ第1番 ニ長調 D384 Op.137-1
毛利 シューベルトはコンサートの始まりに相応しいシンプルな美しさ。初めて弾く曲ですが、ずっと弾きたかったので本当に楽しみです。
ブラームス/ピアノ三重奏曲第2番 ハ長調 Op.87
上野 ブラームスは2000人規模のホールでシンフォニックに響くと良いなぁ。
兼重 あとヴァイオリン・ソナタにしろ、ピアノ四重奏曲にしろ、交響曲にしろ、「第2番」は自然に心から溢れ出たような曲が多い気がする。
上野 あと幸せな曲が多いかもね。なんかブラームスって久しぶりに弾くと本当に……なんかいいよね。定期的に恋しくなる作曲家の一人。
毛利 何なんだろうね。とにかくいいよね。
上野 心が溶けるような瞬間もあるし、激しいところも涙しながら、前に進んでくようなところもある…。
兼重 内側の強さ、敬虔さのようなものにもとても惹かれるなぁ。
ドビュッシー/チェロ・ソナタ ニ短調
上野 香りも色彩もとても豊かで、それが目まぐるしく変わっていくところが面白い。水を連想させるようなところも好きかな。あと、第2楽章はパントマイムのような情景を思い浮かべることができるのもこの曲の個性の一つかなと思う。
ショスタコーヴィチ/ピアノ三重奏曲第2番 ホ転調 Op.67
毛利 ショスタコーヴィチの 凄く強い意志を感じる作品ですね。結局ずっとソ連にいたけど、彼のやり方で強く何かに抗っている感じが聴き取れる。
上野 ユダヤ人の親友のソレルチンスキーの死を悼んで書いていて、ユダヤの民謡からもとてもインスピレーションを受けています。
兼重 宇宙的な感じ? なんか重力というか、各楽器のバランス感覚も面白い。映画を観ているような感じもするな。
5年後、10年後に対するの大きな目標などはありますか?
上野 さらにいろんな場所で弾きたいと思っています。あとは人として、音楽家として、音や音楽に自分のもっと人柄が出るようになるのが理想かな。20代は色々な人に影響を受けたけど、30代はもっと自分自身の考え方を確立したい。頭は固くしたくないけど…難しいですね。
毛利 国際音楽祭を始めたい。小学校の卒業文集で書いていることを実現したいわけじゃないけど(笑)やっぱり音楽に人が集うとか、音楽を通して人と人の心が通じ合うとか、それも音楽の大きな魅力だと思うし、自分が素晴らしいと思う音楽家もたくさんの人に聴いてほしい。
兼重 僕も音楽祭は始めたいな。できれば三重県で……。
兼重稔宏さんプロフィール
三重県津市出身。東京とライプツィヒで学ぶ。
これまでに、ボローニャ音楽祭、ドレスデン国立歌劇場475周年記念室内楽演奏会、三重県文化会館主催「ベートーヴェン ピアノソナタ全曲演奏会」、トッパンホール23周年バースデーコンサート、東京・春・音楽祭など多数の音楽祭・演奏会に出演。
ライプツィヒ音楽演劇大学で講師を務めた後、現在は東京藝術大学、京都市立芸術大学、名古屋音楽大学で後進の指導にあたる。
https://t-kaneshige.com/
毛利文香さんプロフィール
2012年に第8回ソウル国際音楽コンクールにて、日本人として初めて最年少で優勝。
パガニーニ、エリザベート王妃両国際コンクールを経て、2019年にモントリオール国際音楽コンクールにて第3位入賞。ベルギー国立管、クレメラータ・バルティカなどと共演。
上野通明さんプロフィール
2021年ジュネーヴ国際音楽コンクール・チェロ部門日本人初の優勝。多数の国際コンクールで優勝、国際舞台で活躍の場を広げる。日本製鉄音楽賞「フレッシュアーティスト賞」、ベートーヴェン・リング賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞など受賞歴多数。
公演情報

日時 2026年9月12日(土曜日)
14時00分開演(13時30分開場)
会場 三重県文化会館 大ホール
全席指定
一般2,000円 30歳以下1,000円
一般発売 2026年6月28日(日曜日)
問合
三重県文化会館チケットカウンター
059-233-1122

