マイクさんと音であそぼう

授業のはじまりは、ハイドンのピアノトリオ「ジプシー」の生演奏から。
迫力ある生演奏に出迎えられた子どもたちは、とまどいながらも静かに演奏に聴き入ります。

演奏

2016年11月25日津市立新町小学校6年生を対象に、「マイクさんと音であそぼう♪」の授業が開催されました。
「ハロー!」マイクさんは、子どもたちに呼びかけます。
それに対して、とても小さな声の子どもたち。ずっこけるマイクさん。
授業の冒頭は、マイクさんと子どもたちのコミュニケーションの場。

ダンス

次は、歌とダンスを踊ります。
「さぁ、踊りましょう、手をつないで♪」
歌詞の通り、手をつないで踊るダンスに、照れくささが勝って、子どもたちはなかなか踊ることができません。
それでもマイクさんは子どもたちを盛り立てて、繰り返しそのリズムを体に覚えさせました。

グループワーク

その後、グループにわかれ、繰り返し歌い踊った「さぁ、踊りましょう」のメロディを木琴や鉄琴でさがします。子どもたちは一音ずつ確かめながらメロディを探っていました。

みんなが弾けるようになった頃、マイクさんから新たなテーマが与えられます。
「木琴と鉄琴の他に、太鼓や木魚、ウィンドチャイムなど他の楽器を取り入れて変奏曲をつくる。」

グループワーク

音は大きい方がいい?それとも小さい方がいい?
一定のリズムがいい?
マイクさんから考えるきっかけをもらった後、グループからは様々な意見が出てきます。
「始まりは4回リズムを聞いてから」「ウィンドチャイムはメロディの最後に鳴らす」「間奏を入れよう!」「別のメロディを入れてみたら?」

グッド

最後は、ピアノトリオの演奏と組み合わせて3チームが作った変奏曲を順番に披露しました。

何度も何度もグループで工夫した子どもたちの変奏曲にマイクさんも「グ~!!」

歌って踊りながら音を体で感じ、木琴で音をさがし、グループで相談しながら、音を足したり引いたりして音をつくる。さまざまな角度から「音」であそんだ体験授業でした。

マイケル・スペンサーメッセージ

特別寄稿「アートセンターと子どもそしてその大局的な見地」

マイケル・スペンサーメッセージ

(原文掲載)Arts Centres, young people, and the bigger picture.

MNEWS116号特集「そうぶんと子ども」に特別寄稿をしていただいたマイケル・スペンサーさんの英語原文と和訳を全文掲載します。

mikel

マイケル・スペンサー (Michael Spencer)

上野学園大学客員教授。元ロンドン交響楽団ヴァイオリン奏者、元英国ロイヤル・オペラ・ハウス教育部長。世界各地で教育・地域・人材育成プログラムの開発・実践により、高い評価を得る。

Arts Centres, young people, and the bigger picture.
Michael Spencer

Recently, I attended two important international conferences devoted to corporate learning.  They both attracted an impressive list of business leaders and academics.  A common strand emerged from each which concerned the increasingly worrying trend for societies to devalue the importance of authentic individual reflection, and to underestimate how essential this was in contributing to the well being of communities of all types.  The overpowering influence of technology coupled with the pursuit of individual financial gain, coming at the expense of interpersonal interaction and the preservation of our human sensibilities, were identified as the major influencing factors that contributed to this growing void.

This trend has had an influence on the place of the Arts in society too.  Rather than as an aid to greater understanding, expression and interconnectivity, the Arts tend to be viewed increasingly as either some elaborate and dispensable form of decoration, or as a means by which only a select few individuals are able reach fame and fortune.

In the seductive onslaught of easily digestible stimuli such as streamed content from the web, sport, short lived fashionable fads or media trends etc., we are gradually losing contact with some of the essential elements which contribute to our sentient capacities as humans.

Arts Centres fulfil a crucial role at grass root level whereby they offer experiences which help to ignite and sustain this important facet of what it is to be human.  Arts Centres are valuable resources which enrich interconnectivity and social bonding, leading to shared values and stronger communities.  And this starts with our young people. 

Effective Arts programmes for young people are an investment in the future because, not only do they improve social learning capacities, as science now tells us, involvement in the arts stimulates cognitive and analytical skills.  Arts Centres play a special part in this because, unlike schools, they are free to produce compelling programmes which provoke, challenge and stimulate interaction.  What better opportunity could there be, therefore, other than for an Arts Centre to help curate this transition of our young people into adulthood, and to take their place as responsible, informed citizens and valued community members.

日本語訳
アートセンターと子どもそしてその大局的な見地

 最近、重要な2つの国際会議に参加しました。企業内研修についての国際会議で、多くのビジネスリーダーや研究者の興味関心を集めているものでしたが、どちらの会議からもある共通の懸念が浮かび上がりました。それは個人の内省的な活動、本質的な省察活動の重要性が過小評価されており、本質的な省察活動は、人が人らしくあるために欠くことができないはずなのに、それを軽視する傾向があるということでした。テクノロジーの進歩と人々が経済的な豊かさを追い求めることが組み合わさった多大な影響、そして人の交流や、人間としての感覚や感性を大事にすることを犠牲にしたことは、人の心の虚しさ、喪失感、空虚さの増大に大きく影響しています。

 この傾向は地域社会の芸術活動の場にも影響しています。芸術が、人がより深く物事を理解することを助けるもの、表現すること、または深いレベルにおいて人と何かを共有することを助けるものと受けとめられているといよりは、芸術は、技巧的で、無くても困らない装飾品として受けとめられているし、アーティストは類い稀な運と名声を手に入れた、限られた人として見られがちです。そしてこの傾向は時代とともに増しています。

 わかりやすく単純な刺激を受け続けること、たとえばウェブストリーム、スポーツのショートクリップ、ファッショナブルな流行や、メディアのトレンドなどの誘惑に常にさらされていることは、私たち人間として、”感受する”という能力には欠かせないものとの接触をだんだんと失っていることになります。

 アートセンターは、草の根のレベルにおいて非常に重要な役割を持っています。それは、人が人らしくあることの重要性を保持し、それを刺激するような体験を提供することです。アートセンターは、人々が価値を共有し、より強固なコミュニティーを作り、人との繋がりや、社会的な結合をより豊かなものにするための重要な資源です。そして、これらは全て子どものころから始まります。

 子どもにとって効果的なアートプログラムは、未来への投資です。アートプログラムが、単に社会性を養うだけではなく、最近多くの科学者たちが証明しているように、芸術的な活動に関わることは、認知能力や、分析能力の向上にも寄与します。この部分においてアートセンターは特別な役割を担っています。なぜならば、アートセンターは学校と違い、人々の交流を刺激し誘発するような、挑戦的で説得性のあるプログラムを提供する自由があるからです。子どもたちが、見聞があり、責任感のあるコミュニティーの価値ある一員となるために、大人になる大切な過程において、このような機会を提供する場所がアートセンターの他どこにあるでしょうか。

注意MNEWS本紙では、"Arts Centres"を"文化施設"と訳しています。本稿では、原文に近い"アートセンター"と表記しています。

ワークショップ

マイケル・スペンサーさん(マイクさん)が三重県の小学校を訪問しました。津市立新町小学校での授業の様子をレポートします。

注意無断で転載・転用することを禁止します。

1

トピックス

カレンダー

<<2016年12月>>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

アーカイブ

三重県総合文化センタートップページへ