第2回 キャリアデザインとは

1.キャリア教育に求められること

 「キャリア」は一般に、個々人がたどる行路や足跡、経歴、あるいは特別な訓練を要する職業、職業上の出世や成功、生涯の仕事等を示す用語として用いられていますが、その解釈や定義付けは、取り上げられるテーマそれぞれの主張や立場、用いられる場面等によって極めて多様であり、時代の変遷とともに変化してきています。「キャリア」の形成にとって重要なのは、個々人が自分なりの確固とした勤労観、職業観を持ち、自らの責任で「キャリア」を選択・決定していくことです。そのことは、学力だけではない社会適応力ともいうべき、コミュニケーション力や、公共の精神、自分の行動に対する責任などの、社会生活を営むのに必要な能力・態度を身に付けることを求められます。
 そして、学生自身の資質等をめぐる課題として、働くことへの関心や意欲、態度、目的意識、責任感等広い意味での勤労観、職業観の未熟さをはじめ、コミュニケーション能力や対人関係能力、基本的マナー等、職業人としての基礎的資質・能力を無視することはできなくなってきています。

2.キャリア形成と生育歴

 「キャリア形成」とは、このような(前項1で記述した)「キャリア」の概念を前提として、個人が職業能力を作り上げていくことです。そして、キャリアを形成していく過程においては、就業以前の影響により形成された志向(「家庭での教育」「育った環境」等)を掘り下げ、自己の理解に努めることも重要なポイントとなります。そして、今自分がどこにいて、今後どんなキャリア形成をしていくのか、どこに向かって人生を歩んでいくのか。自分のキャリアに責任をもたなければならなくなった個人にとって、キャリアデザインの必要性が叫ばれ、キャリアをデザインすることはきわめて有益な作業といえます。

3.キャリアデザインの必要性

 キャリアをデザインするということは、仕事を中心にして将来のことを考えることであり、自分が生きていく上で、どんな場所で、どんな姿勢で何を得たいのかをデザインすることです。例えば、大学という場所で、どのような姿勢で、将来を見据え、勉学に励むことが大切なのかという設計をし、行動に移して行きます。全学年において、個人がどのようなキャリア形成を行い、成長していくことが望ましいのか4年間を通してのステップとして、
1年次では、 自己の個性や生き方、将来の進路を見つめながら大学で学ぶ目的及び目標を明確にし、社会性を育みます。
2年次では、 自己分析をしっかりと行い、じっくりと進路を考えます。その為の必要なスキルを身につけ、可能性を探ります。
3年次では、 自己実現に向けての具体的行動を行い、自分の本気度を試します。
そして、自分に足りないもの及び潜在能力に気づきスキルアップを図ります。
4年次では、 仕事観をしっかり持ち、やってみたいこと、仕事を通して成し遂げたいことなど目的意識を持った就職活動を行います。
 就職活動で必ず問われる、学生時代の過ごし方。大学で何に力を入れチャレンジし、達成に向けて努力したか。企業は大学での生活ぶりと基本能力には大きな関係があると見ており、この努力のプロセスが仕事の基本能力を高める一つの要素として位置づけています。この基本能力を高める訓練として、努力すれば達成出来る目標を設定し、強固な意志をもって自分の目標は自己の責任で必ず達成するという行動をおこします。その結果、成果として達成感を得られ、小さな目標から大きな目標へと向かっていくチャレンジ精神が知らず知らずのうちに自己努力で育成されていくのです。