第3回 第2次基本計画のポイント(2) 仕事と家庭の両立支援、 新たな取組を必要とする分野

 前回は、第2次基本計画のポイントのうち、「社会的性別」(ジェンダー)の視点と、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大についてご説明しました。
 今回は、仕事と家庭の両立支援、新たな取組を必要とする分野についてご説明します。

1.仕事と家庭の両立支援

  男女が安心して子どもを産み育て、家族としての責任を果たすことができる社会を形成していくことは非常に重要であり、男女共同参画社会基本法にも「家庭生活における活動と他の活動の両立」が掲げられています。

 しかし、出産・子育ての仕事への影響は、女性に偏っているのが現状です。厚生労働省の調査によると、第1子の出生1年前に有職であった母親で、出生1年半後まで一貫して有職である割合は23%に過ぎません。育児負担は母親に偏っており、共働き世帯においても、専業主婦世帯においても、男性の家事・育児時間は妻と比べて著しく低くなっています。男性の育児参加時間が短くなっている背景には、育児期の男性の労働時間が長いことがあります。
 仕事と家庭・地域生活の両立支援策を推進するため、特に男性も含めた働き方の見直しを大幅かつ具体的に進める必要があります。このため、第2次基本計画においては、

  • 短時間正社員など公正な処遇が図られた多様な働き方の導入を目指す。
  • 公務員については、常勤の国家公務員に育児・介護のための短時間勤務制度を導入する。
  • 短時間労働者への厚生年金の適用の在り方について、検討を進める。
  • 保育サービスの整備、子育ての孤立化や不安の解消を図るための相談、支援体制の充実など、多様なライフスタイルに対応した子育て支援策を充実し、すべての子育て家庭の支援に努める。

などの具体的施策を盛り込んでいます。引き続き関係府省が連携し、着実に施策を実施していくこととしています。

2.新たな取組を必要とする分野

  平成12年に閣議決定された第1次基本計画には、11の重点分野が盛り込まれていました。第2次基本計画の検討に当たっては、関連するあらゆる施策に男女共同参画の視点を持って取り組むことが重要であることから、12番目の重点分野として、新たな取組を必要とする分野を位置付けました。
 まず1つ目は科学技術です。我が国の研究者に占める女性割合は2005年で11.9%と、諸外国と比べて非常に低くなっています。このため、具体的施策として、女性研究者の採用・登用の促進や勤務環境の整備、女性若年層の理工系分野への選択の促進などを盛り込んでいます。
 2つ目は、防災(災害復興を含む)です。災害発生時の経験から、被災時には増大した家庭的責任が女性に集中するなどの問題が明らかになっています。このため、具体的施策として、男女のニーズの違いを考慮した防災対策の推進、防災の現場における男女共同参画などを盛り込んでいます。
 3つ目は、地域おこし、まちづくり、観光です。地域で実際に地域おこし、まちづくり、観光に携わっている女性は多く、女性が参画した地域づくりの優れた成功事例が見られるようになってきていますが、リーダーとして活躍する割合は高くありません。このため、具体的施策として、地域おこし、まちづくり、観光に関する政策・方針決定過程への女性の参画の拡大、女性が参画した地域づくりの優良事例の普及などを盛り込んでいます。
 4つ目は、環境です。環境保全に関する女性の高い関心、豊かな知識や経験が広く活かされるよう、環境の分野において男女共同参画を進めることが重要です。このため、具体的施策として、科学技術、経済、法律及びその他の自然環境関連分野についての女性若年層の関心と理解の向上のための啓発活動の推進、地域における環境学習の推進やNGO、NPO活動の支援などを盛り込んでいます。

 3回にわたって男女共同参画基本計画(第2次)の内容についてご紹介してきました。基本計画の内容は多岐に渡っているため、ここですべてをご紹介することはできませんが、内閣府男女共同参画局ホームページにおいて、第2次基本計画の概要や全文を掲載しておりますので、是非ご覧ください。
 政府においては、第2次基本計画の着実な実施を通じ、引き続き男女共同参画社会の形成の実現に向け、努力してまいります。その際には、是非とも国民の皆様のお力添えをいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。