第3回 みんながいきいき働くために

日本の少子化が止まらないという。大きな問題だという。
政府もマスコミもなんとかしないといけないと、声を上げている。
何故だろう?子どもの数が増えないと消費は伸びないし、将来は、納税をする人も減ってこのままでは、国の掲げる高齢者福祉が実現できなくなるからである。
毎年数十万人の人口が減少して行く日本には、良いことはない。
ところが、この国の少子化対策はなかなか効果を上げない。
その理由は、何だろう。貴方も自分で考えて見て欲しいのだ。

私の考えを話そう。
少子化の日本における最大の原因は、子どもが好きでない人が増えたからだと思う。
ここで言う好き、嫌いは「ペットが好きだ」などの様に単に好き、嫌いではなく、子育てが好きでない人が増えたからだと私は思う。
では、なぜ子どもを育てることが好きでない人が増えたのだろう?
欧米では、生活のまず一番大切なものは、家族だという。
そして、家族の中心は、言うまでもなく両親が育てる子どもである。
なぜ日本だけがそうならないのだろう?
それは、子育て世代の人たちの子ども時代に原因があると思われる。彼らが子どもの頃、父親は家庭を省みずに会社で長時間の残業に没頭していた。共働きならなおのこと、子どもは孤独であったに違いない。
その家族と過ごす時間の圧倒的な少なさが、子どもに「家族嫌い」を起こさせ、その子どもが大人になり、今、家庭を、家族を築く事を恐れさせているのである。
ここでこういう事を言うと、貧困問題とか所得格差などに原因が及びがちだが、原因はそうではない。
所得の低い人たちでも、家族を愛して素晴らしい家庭を築いている人たちを、私はたくさん知っている。
要は、「人を愛して、優しく接する」気持ちを持てない人たちがいる。ここにこそ、正しい教育が必要だ。では、どうやって教育すべきだろう?

国による子育て支援制度の近年の充実ぶりには目をみはるものがある。
もはや世界でもトップクラスだろう。あとは会社である。
日本の会社における労働生産性は世界でも極めて低い。
つまり、長時間働いている割には、成果が上がっていないのだ。
ここを変えないと、家族嫌い という日本の社会問題を変えることは出来ない。
では、どうすればいいだろう?会社での長時間労働は、どうすれば減らせるだろう?
私の答えはこうだ。
子育てしている女性や肉親を介護している男性をリーダーにするのである。
家庭の事情で早く帰らなければいけない人たちは、今、会社で肩身の狭い思いをしている。
しかし彼らは家に帰ったらスーパーマンである。時間がない故に、どんどん新しいやり方を考えるからだ。
我が社にも様々な家庭事情を抱えて働いている人達がいる。私はそういう人に積極的にリーダー職をお願いしている。
なぜなら彼らは、「時短のプロ」であるからだ。ここにこそ、逆転のパラダイムがある事にどうか気づいて欲しい。
万協製薬は2014年度に子育て支援の取り組みが認められて、内閣総理大臣賞を受賞した。
これを契機として我々の取り組みが全国に広がっていく事を私は期待する。
弊社には、こういう取り組みを指導するコンサルタント部門もあるので、もし興味あれば、弊社までお問い合わせいただきたい。

社会問題について問題意識を持つこと。それから、まず自分で考えること。ここからはじまって、その答えが、貴方なりのいきいきとした働き方のヒントになればいいと思う。まずは、貴方の考えをしっかり持って欲しいと思う。
「会社より大切なものは、あなたの家族である!」
この言葉を忘れないで欲しい!

さて、3回にわたって、お楽しみ頂いてきたこのゼミも今回で終了である。
これからの貴方のワークライフバランスに幸あれ!と願って、このゼミナールを終えよう。

幸せな人生は、あなた次第である。
しかし、あなたの周りには、数多くの人生が共存していることを忘れてはいけない。