講師 西井勢津子さんインタビュー

西井さん写真

フレンテみえが発行している「情報誌Frente vol.82」の巻頭特集として、「令和2年度フレンテみえ種まきプロジェクトⅠ“地域”編 女性の想いをカタチに。ススム、変わる!」の第1、2、4回担当講師、西井勢津子さんにお話を伺いました。

誌面の都合で掲載しきれなかった、西井さんの講座への「想い」について、《ノーカット版》でたっぷりご紹介させていただきます!

(聞き手)この講座は、昨年度も「女性のためのエンパワーメント・スクール」として開催しており今年度で3回目の募集となりますが、今回リスタートする「種まきプロジェクト“地域”編」としても根底にある想いは同じだと感じています。自分の「やってみたい」想いをわいわい話しながら掘り下げて整理し、ことばにして発表する本講座。講師の西井さんからみて、これはどのような講座だと感じていますか?

自分の想いを”ことば”にし、人と人とで磨き合う

この講座の中には、「どんな生き方がしたいか」とか、「どんな人生でありたいか」という、人が普段考えていることを改めて自分で“ことば”にして、それを人と人とで磨きあう、そういったことが根底に一番太く流れているのかなと思います。
それは、「自分がどう幸せになりたいか」ということだけじゃなくて、「他人も含めた自分が所属している社会や地域にとって、自分の命をどう使いたいのか」ということだと思っています。最初は他者を抜きにして自分の子どもや家族の幸せだけを考えていたとしても、想いを掘りさげていったら社会や地域に対しての想いも必ずあるっていう風に私はずっと思っていて、そこは大切にしたいなと思っています。

女性って、仕事だったり家庭だったり子育てだったり介護だったりと、普段何事も忙しいじゃないですか。そういったことをいったん脇においておいて、自分自身のことを大事にするためにここに来て、自分のことだけを自分が考えてあげて、先にすすめる手がかりを見つける。それが自分だけのためじゃなく誰かのためになる方向に向かう、これはそういう講座だと感じています。

他力本願で「自分らしさ」を引っ張り出す

女性は特に、地域や公の場所で「女性だから・母親だからこうあるべき」ということに無意識に囚われてしまっている部分があると思うんです。それが自分より優先されてしまうと、素の自分を認めてあげることが置き去りになってしまう。素の自分って「ママコミュニティが苦手」とか理想にはほど遠い自分だったりしますから。自分自身の認知が不足していると、せっかく想いがあって行動しても、結局無理や歪みが広がってしまうと思うんですね。自分の能力があがったからとか、世間でいう理想的な「あるべき姿」に近づいたから自分に自信がもてるという訳ではないと思うんです。

「自分たちが、たまたま所属しているのがそこだからそういうものだ」というような「与えられた」価値観や姿に、やっぱり深く考えもせずに流されていきたくないじゃないですか。自分を認めてあげられることが人への優しさになったりもすると思うので。でも実際には、自分で自分のことを深堀りして弱さを認めたり公開するのは難しい。

相互ワークの様子
話し合いの様子

安心できる環境に自分をおいてあげる経験をする

この講座は、相互ワークなどで本当の「自分らしさ」を人の力や場の温かい雰囲気を借りて引っ張り出し、等身大の想いをことばにしていく、そんな場所だと考えています。

これは、私自身が経験してきたプロセスでもあるんです。地域社会の課題を解決したいとNPOで働いていた時期に、私ははじめて自分の「らしさ」を他人から愛情込めて表現される経験をしました。そのたびに、力量不足も含めて自分はこれくらい未熟なやつで、自分の人生でほっとけないことはこれだと認知していった。そのときに必要だなと思ったのは、最初に自分のことを否定されず、自分も否定せず、安心できる環境に自分をおいてあげると、そこから自分のことを見ようという勇気がでてくるのかなという事。

こういう経験をいったんしておくと、そこからはあまりネガティブな自分のことを深く掘っていかないというか、吹っ切って前にすすんでいくことができる。このようなプロセスは、他者や地域への想いをカタチにしていくスタート地点として、とても大切だと思うんです。

自分自身が、「自分のこと」についてちゃんと納得できさえすれば、逆にいえば人のことも世間の「あるべき論」や社会の理想的な目線で見ずにすんだりするので、ちょっと楽になったりするのではと思います。自分で自分を認められると、お互いを認め合えることも増えていくと思うので、今後地域社会で、女性が男性も含めた話し合いのテーブルについた時、相手も自分も尊重することができ、それが結果として対等な話し合いとなる。そうなったら、もう「ジェンダー」や「エンパワーメント」ということばは必要なくなるのではと思っています。

前回の講座の様子

参加者同士の”伝染”で、エネルギーが動いていく

今までの参加者の方には、「素の自分の想い」について天然でわかっていらっしゃる人も多く、救われます。そして、それがいい意味で伝染していると感じます。
「言っていいんだよ、発言していいんだよ、なんでも好きなこと言っていいんだよ。」とただ言われてもなかなか難しいけど、そう言われる前に自分でそう思えるということは素敵だなと思いますね。他の人の姿を見たりとか、安心な場所であるということがわかったりとか、そういう環境によって人はそう思えるのだと思うので。

また、同じ「想い」をもったみなさんが集まり「自分の想い」を伝えあう中で、お互いに刺激をうけ、応援しあったりアドバイスしあったりすることも、前に進んでいくための大きな力になっていると感じています。いつも参加者のみなさん同士で、大きなエネルギーが動いていることを感じます。

西井さん講義の様子

「自分のことばにして伝える」ということ

この講座では、自分のことや想いを「自分のことばにして伝える」ということをするのですが、最後まで受講いただいたことで、「人前で発表なんて私には無理だと思ってたけど、私、意外とできる!」と自信がついたという声や「ことばにしたことで想いがくっきりみえた!」などの声がOGの方から届いています。4回連続講座ということでハードルが高いと感じられる方もみえるかもしれないのですが、実際に申し込んで参加いただくと、「思っていたよりずっと楽しかった!あっという間の充実した時間だった!」「刺激をもらえる有意義な場だった」とおっしゃってくださる方が多いのは、非常にありがたいことだと思っています。

あと、講座では私の起業人生も含めた経験談をお伝えし、参考にしてもらえたらいいかなと思っています。みなさんに起業をすすめるというわけではないのですが、想いを「持続して」すすめていくためのひとつの選択肢として、私のような「起業」という形もあります。私の経験をお話する中で、このようなプロセスを経て今があるのかという、生きたサンプルのひとつとして私の「話」をみてもらうのもいいのでは、と思っています。

みなさんへのメッセージ

想いにむけてすすんでいくのに、遅いとか早いということはないと思います。情報にたどりついたとしたら、今がそのタイミングなんだと思います。「完璧に整えてから行こう」とか、「準備できたら行こう」と考えていると、その時はいつまでもおきないので(笑)、準備のない状況でも、「今がタイミング」と思ってすすんでもらえたらと思います。

あと、今「なんだかもやもやしてる」人もいると思うんですが、それは心が動いている時期だと思うんです。絶対、何か動こうとしている原動のものがあっての「もやもや」なはずなので、もやもや大歓迎です!

「自分の想いはたいしたことがない」とか、「場違いではないか」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、「想い」に正しい答えというのは存在しなくって、自分の中に必ず自分だけの答えがあるはずです。
自分の想いをことばにすることによって自分が変わったり、まわりが生きやすくなったり暮らしやすくなったりする。自分もまわりもいい方向に波及する。すでにやりたいことがある人も、もやもやしている人も、みなさんの中に素敵な想いや力があると思います。みなさんに会場でお会いできることを楽しみにしています。

前回の講座の様子

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