第1回 「みえの女性活躍推進 女性が輝く活力ある三重をめざして」

1.今、求められる女性の活躍推進

現在の日本、また三重県のおかれた次のような背景から、企業・団体等の活力と地域の活力を一層高めていくために、子育てと仕事の「両立」から能力を発揮する「活躍」にウエイトを移しつつ、より積極的に女性の活躍推進に取り組んでいくことが求められています。(1)少子化による生産年齢人口の減少生産年齢人口が減少する中で、人材を確保していくためには、潜在的人材である女性を活かすことや女性の定着が必須となっている。(2)企業間競争の高まり(総合的な競争時代)企業力を高める新たな価値の創造や生産性向上のためには従業員が持つ力を一層活かすことが必要であり、女性人材の活躍が必須となっている。(3)顧客ニーズの多様化多様化する顧客ニーズに対応するためには多様な人材が必要であり、中でも女性ニーズをふまえた対応や新規需要の掘り起しに、女性人材の活躍が 必須となっている。(4) 社会的な必要性生産年齢人口が減少する中、女性の所得向上により社会保障の担い手を 増やすとともに、需要の維持・創出を図ることが必要となっている。なお、これからお話しする内容は、働く場における女性の活躍に主眼を置いたものですが、 女性の活躍は、「雇用」とか「管理職登用」とか限られた分野ではなく、さまざまな分野で女性のみなさんが自らの夢や希望を実現するために多様な選択ができ て輝いているということであり、男女共同参画の視点を持って幅広く取組を進めていく必要があります。

2.「みえの女性活躍推進」の全体像について

まず、「女性が輝く活力ある三重」の実現に取り組んでいく全体の流れをお話しします。

三重県では、「女性が輝く三重」を目指し、女性活躍推進のムーブメントの創出と支援の取組を進めていくことしています。

取組を進めるにあたってのポイントは、「両立支援に加え登用促進による女性の活躍を実現」「女性活躍のための支援ネットワークの構築」の2つです。

「仕事と子育て等の両立支援の取組」からさらにもう一歩進め、「企業発展のための経営戦略」として女性の登用・活躍に取り組む意識の拡大を図りながら、女性活躍のために地域のさまざまな主体が支援ネットワークの構築に向けて取り組んでいきます。

ただ、こうした支援ネットワークは一朝一夕に構築できるものではなく、平成26年8月4日に開催した、地域経済団体、労働団体等で構成する「みえ女性活躍推進連携会議」(以下「連携会議」といいます。)をその第一歩として、進めていきたいと考えております。

連携会議の次の段階が、個々の企業・団体等が会員となる「女性の大活躍三重県会議」(以下「三重県会議」といいます。)です。

連 携会議を構成する団体等の皆様に「みえの女性活躍推進」の働きかけをお願いし、賛同いただいた企業・団体等を会員とする三重県会議において、それぞれの取 組を「見える化」し、県内全体に女性の活躍推進のムーブメントを創出しようというものです。国(内閣官房と内閣府)と県が主催して 8月19日に開催した「輝く女性応援会議in三重」などのイベントも、「女性が輝く活力ある三重」を目指す機運醸成、ムーブメント創出のための取組の一つです。

3.「女性の活躍推進に向けた『行動指針』」について

連携会議では、個々の企業・団体等に女性の活躍推進を働きかけていくにあたり、「女性の活躍推進に向けた『行動指針』」を策定しました。

既 に取組を進めておられる企業・団体もあり、この指針で個々の取組を縛るものではありませんが、連携会議から企業・団体等のトップの方に呼びかける格好で、 「企業・団体等のトップにおかれては『みえ女性活躍推進連携会議』が掲げる次の行動指針を踏まえ、リーダーシップを発揮し、女性の活躍推進のための取組を 積極的に進められたい」としています。

「行動指針」には3つの項目を挙げています。

最初に「男女がいきいきと働く職場づくり」として「仕事と子育て、介護等の両立がしやすく、男女がいきいきと働き、企業人、家庭人、地域人として活躍できる職場づくりを推進する」としました。

女性が活躍するための基礎として、企業のみならず家庭における両立支援も求められるところであり、男女がいきいきと働く職場づくりは、男性の働き方の見直しを通して両立支援を実現するものとして必要という考えによるものです。

次に「働くための意欲醸成と機会提供」として「研修受講や能力発揮の機会を設け、能力、意欲の向上を支援し、女性人材の育成を推進する」としました。

女性を管理職やリーダー等に登用していくには、女性自身が業務能力の向上を図る機会とともに、先にあげた職域拡大なども含め、能力発揮の機会を積極的に設け、女性の仕事に対する意欲、またステップアップしていく意欲を高めていただきたいという考えによるものです。

最 後に「輝く女性への飛躍応援」として、「管理職やリーダー等の女性比率や女性人数、登用につながる女性の職域拡大、子育て中や子育て後に再就業した女性の 積極的な活躍支援等について、実情に応じ具体的な目標をトップが組織全体の方針として示し、取組を推進する」としました。

企業・団体等のトップが、自らの組織に所属する女性の飛躍を応援する意志と目標を率先して示していただきたいという考えによるものです。

女性比率や女性人数は、取組を進める具体的な目標として設定していただくのであれば、必ずしも大きな数値である必要はなく、それぞれの実情に応じて、例えば女性管理職がゼロなので2年以内に1人は管理職にするとか2%を5年で5%まで増やすといった目標も考えられます。

女性人材の育成状況から判断して、現時点で比率や人数を示すことが難しければ、女性が経験を積むことで登用につながるよう、配属先等の職域を拡大することを目標としていただくことも重要です。

また、本県は女性の職業への関わり方について、「結婚、子育てなどで一時的にやめるが、子育ての時期が過ぎたら再び働く方がよい」とする中断型の割合が 高く、女性有業者に占める非正規の割合は 60.82%で全国4番目に高いことから、子育て中や子育て後に再就業した女性の積極的な活躍支援について目標を設定していただくことも期待するところです。

女性の活躍推進に向けたこの「行動指針」の意図を理解いただき、女性の活躍推進に取り組む企業・団体を増やしていきたいと考えています。

4.「女性の大活躍推進三重県会議」について

「三 重県会議」は、女性の力を活かした県内経済及び地域のより一層の活性化をめざし、各企業・団体等における女性の活躍推進の取組を「見える化」してムーブメ ントを創出し、女性が活躍できる環境整備を進めることを目的としています。女性の活躍推進に賛同する企業・団体等を会員とし、連携会議の構成団体を主とす る支援団体が、取組を盛り立てていきます。

5.「女性の大活躍推進三重県会議」への加入要請について

三重県会議が重点とする活動については、女性の活躍推進に向けた「行動指針」の3項目への取組を促活動を展開することとしました。

すなわち、(1)として「管理職やリーダー等への女性登用に関連する各企業・団体等の実情に応じた具体的な目標設定を促す活動」、(2)として「女性の活躍に向けて、能力・意欲を高める活動」、(3)として「男女がいきいきと働き、共に活躍する職場づくりを進める活動」としています。

県内に女性の活躍推進のムーブメントを創出していくため、三重県会議としてこの3つを重点とする活動を行っていきます。

さらに、三重県会議が各企業・団体等の取組を「見える化」していく仕組みが「会員による自主宣言登録」です。

企 業・団体等の自立的・自主的な取組を尊重しつつ、行動指針に関連する取組の具体的な目標を設定されることを基本とし、その内容を自主宣言として登録し、女 性の活躍に取り組む意志を表明していただこうというものです。会員の皆様には、それぞれの取組を一層わかりやすく「見える化」するために、積極的に取組目 標の自主宣言をしていただくよう、働きかけていきます。登録いただいた自主宣言は、三重県会議のホームページに掲載して「見える化」し、各企業・団体等の 女性登用に取り組む姿として発信していきます。この取組を進め、より多くの企業・団体の皆様が集い、女性活躍の取組についてさらに意識を高めていただくと ともに、将来の支援のネットワーク構築を図り、女性が輝く活力ある三重を実現していくこととします。