放送大学共催講座 「夏目漱石の『明暗』を読む」

この講座は、放送大学三重学習センターが普段学生向けに行っている客員教授による高度なセミナーを、学生以外の一般県民の方々にも気軽に受講してもらえる機会として、三重県生涯学習センターとの共催により開催しました。
夏目漱石の最期の作品『明暗』について、漱石の晩年の思想「則天去私」が最も色濃く表されているのが『明暗』であったが、その背景には「大逆事件」など、表現には厳しい検閲があった当時の社会情勢が深く関わっていることなどを解説していただきました。また、漱石は遅咲きの作家で38才の時に「吾輩は猫である」を発表し、49才で死去していることから、人生の様々な経験を経てから、最晩年に作家として花開いたことが作品に大きく影響していることもお話していただきました。
漱石は、新聞小説の連載の中で人気を集めていたが、毎日読んでもらわないといけない新聞小説ならではの技法として、「伏線の名人」であったことなどを紹介され、未完に終わった『明暗』においても、その先に漱石が何を考えていたのか、よく読めば見えてくる作品であったと印象的な言葉で締めくくられました。
☆講座開催情報
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時間 14:00〜16:00
講師
放送大学三重学習センター客員教授
三重大学人文学部教授 尾西 康充さん
参加費 無料
参加人数 71名
共催 放送大学三重学習センター
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☆参加者の声
・“明暗”を深く読むヒントが多数もらえました。もう一度、先生の講演を思い出しつつ再読したいと考えております。
・「則天去私」について、今まで以上によく理解できました。改めて漱石の作品の深さを知りました。
・小説と小説を書いた人、時代の背景がとてもよくわかりました。もう一度、「明暗」を読み返すと、違った見方が出来ると思います。
