みえアカデミックセミナー2010 オープニング
「<奈良>と<奈良時代>の魅力-平城遷都1300年によせてー」

開催日
平成22年7月3日
開催場所
三重県文化会館 中ホール
開催時間
13時30分から15時00分まで
開催時間
奈良国立博物館 学芸部長 西山 厚さん
参加者数
954名
参加費
無料

 今年度「みえアカデミックセミナー2010」の幕開けを飾るオープニングには、平城遷都1300年にちなんだ<奈良>と<奈良時代>の魅力について、奈良国立博物館の西山厚さんを講師にお迎えしての講演会を開催しました。

 奈良時代は旱魃(かんばつ)、飢饉、地震、病気、内乱などが次々と起こる世の中でした。その責任は自分にあると考えた聖武天皇は、「すべての動植物がともに栄える世の中にしたい」という願いを持って大仏建立を決意したそうです。大きな力や莫大な富ではなく、「一本の草、土を握って来た人にも、協力を申し出た人には手伝ってもらうように」と、ほんのわずかなものでも、「思い」がこもっていれば、かけがえのないものになるという信念のもとに、総勢260万人の民衆の協力を得て大仏が完成したことなどを紹介していただきました。

 また、東大寺大仏が2度焼かれていることも紹介されました。1度目は重源が「尺布寸鉄といえども」と聖武天皇の想いを受け継ぎ、大仏復興を願う人々の思いを集めて復興し、2度目は公慶上人が「一針一草の喜捨」と、ここでもまた聖武天皇の想いが受け継がれ復興したことなど、大仏に込められた印象的なエピソードを紹介していただきました。

 講演の最後には、「鑑真和上の目は見えていた」とするご自身の学説について、逆に「目が見えなかった」と記されているのは、「東征伝」が唯一の文献であることに触れ、「目が見えていた」とする根拠としては、鑑真の書状の筆跡が弟子のどの筆跡とも一致しない事実(代筆の可能性がない)や紙の余白を十分に把握した上で書いている点などを挙げられ、晩年に目が見えなくなっていた可能性があるが、少なくとも日本に来た時には見えていて書状を書く程度の視力はあったのではないかという興味深いお話で講演を締めくくられました。


 

 

参加者の声

  • 学生時代の勉強は特に歴史は丸暗記という感じだったのであまり楽しかった思いがありません。しかし子ども達が歴史が好きで勉強を楽しんでいる様子を見て大人になった今、勉強をしなおしたいと思い参加させていただきました。今日は本当に楽しく興味深く話しを聞くことができました。ありがとうございました。
  • とても面白い話しをありがとうございました。これから奈良にいくつもりですので今日の講演を参考にしたいです。
  • 大仏をただ大きいなあと見るのではなく何のために作ったのかその裏に必ず理由があることを知るということは大変なこと、色んなことを知ると又違って見える世界があるということを再認識させていただきました。ありがとうございました。
  • 今までいろいろな大学の先生のお話を伺いました。こんなに理解しやすく楽しい講座ははじめてです。西山先生のお話をもっともっと伺いたいです。ありがとうございました。
  • 西山先生の匠な話術に時間の過ぎるのを忘れて聞き入りました。またテーマもよかったと思います。