シリーズ文学「三島由紀夫『潮騒』を読む ~健康的な恋愛賛歌の世界~」の事業報告
講座ボランティア企画「シリーズ文学」は、2003年の「瀬戸内寂聴文学へのいざない」からスタートした、20年以上愛されている当センターの人気講座です。当日の運営・司会なども講座ボランティアスタッフの皆さんが携わっています。
今回は、三重県誕生150周年(令和8年)にちなみ、三重県鳥羽市の神島(作中:歌島)を舞台にした三島由紀夫の名作『潮騒』をテーマに、ピアノ演奏とのコラボレーションでお楽しみいただきました。
生涯にわたって海を愛した三島由紀夫が二十九歳の時に書いた『潮騒』は、伊勢湾に浮かぶ小さな島を舞台に、貧しいが芯のある若い漁師:新治と、島の有力者の娘で美しく純粋な心を持つ初江が、困難を乗り越えて結ばれるまでを描いた輝かしい青春賛歌の作品です。難解だとされる三島作品の中で例外的に平和で静穏な世界が展開されてゆきます。
第一部。まずは作家、三島由紀夫(1925-1970)の生涯について、生み出した作品を辿りながら振り返りました。天才的なその感性を溢れる知性で文学作品に落とし込んだ三島。どの作品も確固たるテーマ性が美しい文体で表現されています。小説、戯曲などの執筆の傍らボディビルやボクシングなどに熱中したり俳優として映画に出演したりと、1970年に衝撃の最期を遂げるまで昭和という時代を文字通り「駆け抜けた」稀代の芸術家について、様々な視点から解説がありました。
そしていよいよ『潮騒』の世界へ。
古代ギリシャの恋物語『ダフニスとクロエ』を現代に翻案したとされるこの作品は、三島小説の中では驚くほど素直で瑞々しい青春物語。三島が実際に神島を訪れ巡り歩いたことで島の風景や場面がさらに鮮やかに描かれています。作品の背景、あらすじの解説に続き、作品本文の朗読がピアニスト西野愛さんによる優しい音色と共に心地良く綴られました。
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会場の様子(小ホール) -
まずは作家と作品の解説から -
ピアノ演奏とともに作品を朗読 -
3つの場面の解説・朗読の後、第一部のおわりは西野さんによるソロ演奏パート。神島の水彩画を背景に耳なじみのある美しいメロディーが会場に響きました。
休憩を挟んだ後の第二部は、作品を象徴する嵐の日の”焚き火”の場面から。初江と新治、初々しい二人のやりとりが微笑ましくも神聖さを感じさせる名シーンです。解説・朗読はその後、千代子と新治、新治の母と初江がそれぞれ心を通わせる場面や、新治が活躍を見せる那覇での颱風の場面などを経て、最終章”歌島燈台”のシーンへ。周囲からも認められ将来を想い合う二人の独特の距離感に、会場は若い二人を温かく見守るような優しい空気感に満たされました。
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優しく美しい音色が響きます -
あの名シーンも朗読 -
作品への理解が深まります
これまで何度も映画化された『潮騒』。中にはご覧になった映画のワンシーンを思い浮かべながら朗読を聴かれていた方もいらっしゃったのではないでしょうか。この美しい物語、その風景が三重と共にあり、作品といつまでも繋がっていることを誇らしく思いつつ、これからも三島由紀夫作品の世界に触れていきたいと感じられたひと時となりました。
ブックリスト(関連図書のご案内)
三重県立図書館に所蔵されている講座関連図書のご案内です。
所蔵状況は講座開催日時点のものです。
- 河原さんのわかりやすいお話と、すてきな西野さんのピアノの曲がぴったりで吸い込まれました。良かったです。
- 思わずひき込まれて、感激しました。涙が出てきて困りました。先生のお言葉の数々、夢のようでした。又ぜひ聞かせていただきたいと思います。
- 今日の講座を聞いて潮騒を読んでみたくなりました。
- 神島のすばらしさ、景色、人々とのつながりが三島の文章の神々しいまでの作品、改めて三重の良さを感じ知りました。
- ひさしぶりの「潮騒」に、先生の深い読みに感激しました。三重県に神島があって、この三島作品を書いてくれた事を幸せに思いました。

