講座ボランティア企画【第97回 名盤を聴く グィード・カンテッリ 特集】の事業報告

開催日
2026年6月5日(金曜日)
開催時間
13時30分から15時55分まで
開催場所
三重県文化会館 小ホール
講師
梶 吉宏さん(三重県文化会館 館長)
参加人数
78名
参加費
無料

20年以上続く 講座ボランティア企画「名盤を聴く」。講座ボランティアさんに資料準備や当日の司会など大きなご協力をいただいています。今回はトスカニーニの後継者と言われながら夭折したイタリア出身の指揮者、グィード・カンテッリの特集です。

講師 梶 吉宏さん(三重県文化会館館長)

【チラシ文】ミラノ近郊ノヴァーラ生まれ。幼くして天才的才能を見せ、14歳でピアニストとしてデビュー。
1943年、ノヴァーラ歌劇場の芸術監督に就任直後、第二次世界大戦下、軍隊に召集され強制収容所に送られましたが脱走し、ミラノで地下抵抗運動に参加。
戦後、指揮活動を開始し、1948年にスカラ座常任指揮者に就任。ヨーロッパの有名な歌劇場、アメリカ合衆国、南アフリカ共和国で活動。公演はセンセーションというにふさわしい成功の連続で、その音楽性とステージの指揮姿は人々を魅了。
巨匠トスカニーニは「私のように指揮する」と絶賛、我が子のように溺愛したことで知られています。1956年、飛行機事故により、36歳で生涯を閉じました。
今なお輝き続けるカンテッリの名演を梶館長による解説でお楽しみください。

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わずか1分の映像ですが迫力は十分に伝わってきました

まず講師は、「今日は、なぜこの曲を選んだのかという理由も交えながら進めていきたい」「日本でカンテッリを取り上げるのは私くらいではないかと思う。ここでしか味わえない講座を楽しんでほしい」と話し、講座はスタートしました。
最初に取り上げられたのは、モーツァルトの《交響曲第29番 イ長調 K.201》。講師によると、「音楽評論家たちがカンテッリを評価する際、モーツァルト作品が挙げられることが多い」ことから選曲されたそうです。
続いては、ロッシーニ《セミラーミデ》序曲のリハーサル映像。わずか1分ほどの短い映像ながら、全身を使った躍動感あふれる明晰な指揮ぶりが印象的でした。1950年にエディンバラのアッシャー・ホールで撮影されたとされ、指揮台に楽譜が置かれていないことから、暗譜で指揮していたことがうかがえるとの説明がありました。

前半最後は、ルドルフ・ゼルキンとの共演によるベートーヴェン《ピアノ協奏曲第5番「皇帝」》。第3楽章では一般的な演奏よりも速めのテンポで弾かれ、会場のどよめく雰囲気、そしてゼルキンの力強くも気品ある音色も注意して聴いてほしいとのことでした。

後半のスタートは彼の短い人生についてふれました。1949年、NBC交響楽団への客演を聴いたトスカニーニがその才能を高く評価し、「私の後継者」としたこと、また、カラヤンやヴィクトル・デ・サバタとの親交についても紹介されました。ラヴェル《逝ける王女のためのパヴァーヌ》を演奏するのは名ホルン奏者デニス・ブレイン。講師はカンテッリと同じく36歳で亡くなったブレインについて紹介し、自動車事故や航空機事故によって若くして命を落とした音楽家たちにもふれました。
最後に鑑賞したのは、ベートーヴェン《交響曲第5番「運命」》。カンテッリが亡くなる年の1956年に録音されたもので、第2楽章から第4楽章のみが完成しています。第1楽章は後日録音される予定でしたが、同年11月の航空機事故による急逝によって実現しなかったので、NBC交響楽団の演奏で1954年に収録された第1楽章を組み合わせた形で鑑賞し、この日の講座は終了しました。
参加の方からも「すごくよかった」「至福の時間だった」などの感想が寄せられ、カンテッリの世界を味わう充実した時間とを過ごしていただけたようです。

バーンスタインも彼の演奏を聴くために劇場に足を運びました。
師トスカニーニと。左は妻イリス。

【プログラム】
1.モーツァルト: 交響曲 第29番 イ長調 K.201           
     第1楽章 アレグロ・モデラート            
     第2楽章 アンダンテ          
     第3楽章 メヌエット         
     第4楽章 アレグロ・コン・スピーリト            
     フィルハーモニア管弦楽団(1956年)                                   
2.ロッシーニ: 歌劇「セミラーミデ」序曲(リハーサル)(1950年)                                     3.ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」
     第1楽章 アレグロ
     第2楽章 アダージョ・アン・ポコ・モッソ
     第3楽章 ロンド・アレグロ・マ・ノン・トロッポ            
     (ピアノ) ルドルフ・ゼルキン            
      ニューヨーク・フィルハーモニック(1954年)                                              
………………………………………………休憩……………………………………………………
4.ラヴェル: 逝ける王女のためのパヴァーヌ            
(ホルン) デニス・ブレイン             
フィルハーモニア管弦楽団(1952年)                              
5.ベートーヴェン: 交響曲第5番 ハ短調 Op.67 「運命」          
     第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ               
     NBC交響楽団 (1954年)          
     第2楽章 アンダンテ・コン・モート          
     第3楽章 アレグロ          
     第4楽章 アレグロ             
     フィルハーモニア管弦楽団 (1956年)

参加者の声

  • 目を閉じて聴いていると曲が終わるたびに思わず拍手してしまいそうになりました。
  • 恥ずかしながらカンテッリという指揮者を知りませんでした。今回受講するにあたり予習もしてきたのですが、そのすごさにびっくりしました。彼の突然の死があまりに残念でなりません。その後生きていられたらどんなにかクラシックファンを喜ばせたことだろうと思います。
  • 映像を見た後のベートーヴェンの皇帝は絵に見えるような感覚で聞きました。 短い映像でも印象強く影響するものですね。
  • この講座が日々を豊かにしてくれる。100回、200回と是非 続けていただきたいものです。