まなびぃすとセミナー
「切手デザイナーという仕事 -小さな1枚が生まれるまで-」の事業報告
県民一人ひとりの生涯を通じた「学び」に寄り添う最初の入口として、幅広い年齢層を対象に話題性のあるテーマを採り上げる講座シリーズ「まなびぃすとセミナー」。今回は、三重県出身の切手デザイナー玉木明さんをお招きし、”小さな1枚”の持つ魅力やそこに込められた想いなどについて、お話をうかがいました。

世界で近代郵便制度が始まった当初から発行されていた「切手」。イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなど各国の切手にはそれぞれに特徴があり、眺めているとその国の歴史や文化、空気感までも感じることができます。「切手を見れば世界がわかる」 同様に、日本の切手からもいろいろなことが見えてきます。戦中、戦後、高度成長期など、時代によって変化していくデザインや扱うテーマからもたくさんの発見が得られるとのこと。
ちなみに、普通切手のラインナップの中に慶弔切⼿があるのは日本だけだそうです。こういうところにも日本人の気づかいの文化が根付いているのですね。
現在日本に8人いる切手デザイナーの1人として、これまでおよそ200件のデザインを手掛けてこられた玉木さん。ご自身の作品についてもそれぞれどんな想いで、どのような工夫で制作されてきたのかについてもたくさんお話しいただきました。
中でも「東日本大震災寄附金付」切手(平成23年)については、ご自身の震災当時の体験から発行に至るまでの経緯などを含めての貴重なお話が。発行後に海外から届いたというコメントに、会場は優しい空気に包まれました。

ご参加の皆さまからのご質問にも丁寧にお答えいただいた後、玉木さんからさいごに、「世界的に郵便の利用が減っている時代ではあるが、手紙はどれだけ時を経ても目にした途端その当時の思い出や感情がありありと蘇るもの。そこがデジタルにはない手書きの魅力であり醍醐味でもある。皆さんも(たまにはでよいので)ぜひ”手紙”を書いてください」とのメッセージがあり、地元三重での講演は終了。会場からは温かく親しみの込められた大きな拍手が贈られました。
ネット中心の今だからこそもう一度見つめなおしたい”手紙”。これからは添える切手にも想いを馳せながら、大切な人への、未来への「贈り物」としても、楽しみながら綴っていきたいと思います。

ブックリスト(関連図書のご案内)
三重県立図書館に所蔵されている講座関連図書のご案内です。
所蔵状況は講座開催日時点のものです。
- 手紙を書くのが好きなので参加させていただきました。今までより切手に興味がわきました。これからも切手の発行がたのしみです。ありがとうございました。(30代)
- 大変興味深い内容でした。時間が短く感じました。手紙を書きたくなりました。(40代)
- 切手から世界や歴史が見えてきました。興味深いお話をありがとうございました。切手デザインって大きな力のあるお仕事なのですね。(60代)
- 世界の切手、日本の切手の歴史等、非常に勉強になりました。今は郵便も少なくなり切手の使用も少なくなりましたが、スマホだけでなく手紙・ハガキも大事。県の出身、親近感をもちながら聴いていました。(80代)

