みえミュージアムセミナー2025 桑名市博物館「桑名の豪商 初代・諸戸清六がのこしたもの」の事業報告

開催日
2025年11月3日(月曜祝日)
開催場所
三重県生涯学習センター2階 視聴覚室(三重県総合文化センター内)
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
鈴木 亜季さん(桑名市博物館 学芸員)
参加人数
95名
参加費
無料
講師
講師の鈴木亜季さん

桑名市博物館では、令和7年10月25日(土曜日)から11月30日(日曜日)まで、特別企画展「桑名の豪商 諸戸家の至宝」の展覧会を開催。今回は展覧会についての講演会とパネル展示を三重県生涯学習センターで開催しました。
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(チラシ文)初代・諸戸清六(1846-1906)は、米相場や山林事業において一代で富を築き上げた桑名の実業家です。財を成したあとは、上水道敷設などの公共事業に惜しみなく私財を投じ、桑名のまちの発展に寄与しました。セミナーでは、特別企画展「桑名の豪商 諸戸家の至宝」にちなんで、諸戸家が桑名に残した功績や展覧会のみどころをご紹介します。
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近代桑名の発展に尽力した豪商・諸戸家と現在桑名市博物館で開催している特別企画展について、「初代清六の林業」「諸戸水道」「諸戸氏庭園」「特別企画展のご案内」の4つのテーマでお話しいただきました。
初代諸戸清六氏は、1846年に三重県桑名郡木曽岬村大字加路戸に生まれました。父が莫大な負債を残して没したため、18歳で家督を継ぎ、桑名に移り住み米穀の取引をはじめ、米相場で成功して負債を完済するという苦労をしたため、とてもせっかちな性格で倹約家であり、ときを惜しんで何か事業に取り組むといった人だったようです。清六氏は米相場で財を為した後、手がけた林業が大きなきっかけになり日本有数の林業家としても知られるようになりました。
さらに私財を投じて、桑名の町に近代上水道を敷き、住民に無償で提供するなど、近代桑名の発展に尽力した人物でありとても先見の明を持っていたと説明されました。
諸戸氏庭園については、この場所が歴史的にどういう土地であったかの説明がありました。そして、諸戸氏亡きあとは諸戸宗家として次男の精太氏が諸戸庭園を継ぎました。茶に大変興味があった精太氏は茶人としても知られており、茶室の建造や庭園の改修などを行い現在の形となりました。経年変化により大規模な修理が必要となり、2008年から「名勝諸戸氏庭園保存修理事業」が進められているそうです。隣の敷地には、二代清六として諸戸本家を継いだ四男の清吾氏が新居として建てた邸宅(現在の六華苑)があり、それぞれ別々に引き継がれているというお話もありました。
最後に、特別展の企画について講師の鈴木さんは、この展覧会の見どころの一つとして諸戸家に伝わるお宝の重要文化財3点が一挙に公開されていることや、諸戸家所蔵の松平定信ゆかりの品など(いずれも(公財)諸戸財団所蔵)の展示があるので、ぜひ美術品を見に博物館に来ていただいて、諸戸氏庭園や六華苑などの史跡もめぐっていただければとおっしゃいました。

全体1
講座の様子
展示
パネル展の様子

「ブックリスト(関連図書)」のご案内

三重県立図書館に所蔵されている講座関連図書のご案内です。
所蔵状況は講座開催日時点のものです。

「ブックリスト」ダウンロードリンク(PDF形式、630キロバイト)

参加者の声

  • 以前桑名で勤めていたことがありましたが、諸戸清六の名前は知っていても具体的にどのような仕事をされていたのかわかりませんでしたが、その人となりまで伝わるいいお話でした。また訪れてみたいと思います。ありがとうございました。
  • 博物館、庭園および茶室を含む建築物を拝見するために桑名まち歩きしたいと思いました。
  • 以前から諸戸清六さんのことを知りたいと思っておりました。知ることができ良かったです。ありがとうございました。