みえアカデミックセミナー2025 移動講座(尾鷲市)
皇學館大学公開セミナー「近世の書籍と出版 十返舎一九『的中地本問屋』をめぐって」の事業報告

開催日
2025年9月20日(土曜日)
開催時間
13時30分から15時10分まで
開催場所
尾鷲市中央公民館 1階 視聴覚室
講師
皇學館大学 文学部国文学科 教授 田中康二さん
参加者数
15名
受講料
無料

県内全ての高等教育機関と連携し、各校の特色を活かしたセミナーを開催している「みえアカデミックセミナー」。
毎年夏に三重県総合文化センターで公開セミナーを開催し、秋から冬にかけては「みえアカデミックセミナー移動講座」として県内各市町に赴き、地域の学習ニーズに合わせた講座を開催しています。


皇學館大学 文学部国文学科 教授 田中康二さん

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【講演内容紹介文】
大河ドラマ「べらぼう」で話題の蔦屋重三郎に代表されるように、江戸時代は出版文化が花開いた時代です。
『東海道中膝栗毛』で有名な江戸のベストセラー作家、十返舎一九も、重三郎に発掘・プロデュースされた人物の一人。その一九は『的中地本問屋(あたりやしたぢほんどいや)』という出版文化入門のような黄表紙(現代の漫画)を出版しています。この本を読み解き、江戸の出版文化を学びましょう。
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みえアカデミックセミナー2025移動講座の尾鷲会場では、皇學館大学文学部国文学科 教授の田中康二さんにご講演いただきました。

講座の様子

講座の前半は、「十返舎一九の生涯」「近世小説史の展開」「書籍形態の進化と版本概略」についてお話しいただきました。
講座の後半は、十返舎一九の「的中地本問屋(あたりやしたぢほんどいや)」を読み解きました。
地本問屋の村田屋の主人が、怠け者の作家・十返舎一九に怪しげな薬を飲ませると、たちまち原稿が出来上がり、それを版木に彫り摺って売り出したところ、飛ぶように売れ、一九は大好物の蕎麦を振る舞われるという筋立てです。
版本が作られる過程や販売の様子が詳細に描かれつつも、十返舎一九が随所にちりばめた笑いどころは現代にも通じるマンガ的表現として先進的な描かれ方をしていると紹介されました。

講師は最後に「近代日本の飛躍的な発展は、西洋から輸入された文明によるところもありますが、江戸時代に培われた文化の土台があったからこそ成し遂げられたのではないか」と述べ、この日の講座は締めくくりとなりました。

参加者の声

  • 大河ドラマに関係した面白いお話でした。タイムリーで興味深く拝聴しました。
  • 最後まで楽しく拝見できてよかったです。ありがとうございました。