みえミュージアムセミナー2025 三重県総合博物館「地獄のお話」の事業報告

開催日
2025年9月3日(水曜日)
開催場所
三重県生涯学習センター2階 視聴覚室(三重県総合文化センター内)
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
瀧川 和也さん(三重県総合博物館 学芸員)
参加人数
104名
参加費
無料
講師
講師の瀧川さん

三重県総合博物館では、2025年7月26日(土曜日)から9月23日(火曜・祝日)にかけて「地獄へようこそ 鬼と亡者と閻魔の世界」の展覧会が開催されます。今回は展覧会についての講演会とパネル展示を三重県生涯学習センターで開催しました。
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(チラシ文)
「うそをつくと地獄で鬼に舌を抜かれるよ!」子どもの頃にこんなことを言われたことはありませんか?ここでは、六道の中で最も恐ろしい場所「地獄」について紹介します。特に美術作品には、目を覆うばかりに恐ろしい場面が描かれたものが多くあります。県内の作例を紹介しつつ、あわせて地獄とともに語られる極楽に関する作品も取り上げます。
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日本における地獄のイメージは、仏教伝来や民間信仰を通じて形成されてきました。そして、平安時代の源信が著した『往生要集』で地獄観が体系化され、さらに中世には「熊野観心十界曼荼羅」が登場し、熊野比丘尼による絵解きで広く民衆に広まったそうです。特に血の池地獄や不産女地獄など、女性に特化した地獄が描かれ、当時の死生観や社会背景(親から子へ代々受け継がれていく「イエ」の概念が一般に定着してくる時期)を映し出しているのではと説明されました。現在曼荼羅は国内外で60点ほど確認されてるが、その中でも三重県では津市を中心として13点が確認されているそうです。
講師は最後に、現在、東北大震災や新型コロナウイルス感染症によって死生観の新たな起点となりつつあるように感じる。地獄を考えることで、今の生き方について改めて考えてみる機会になるのではと締めくくられました。

全体1セミナーの様子

展示
パネル展示

「ブックリスト(関連図書)」のご案内

三重県立図書館に所蔵されている講座関連図書のご案内です。
所蔵状況は講座開催日時点のものです。

「ブックリスト」ダウンロードリンク(PDF形式、681キロバイト)

参加者の声

  • 死後の世界はないだろうと思いつつ、地獄に行くのは嫌だなあとも思います。ミエムでたくさん地獄絵を見ましたが、こんな恐ろしい地獄を誰が考え出したのか?昔の人は本気で信じていたのだろうか?などと思いました。
  • とても興味深くお聴きすることができました。展示場へ行ってきます。ありがとうございました。生き方も少し考えてみたいなと思いました。
  • 地獄を描くときの苦しみの極限を表現することに興味を持ちました。具体的に絵解きをしていただきよくわかりました。ありがとうございました。