みえアカデミックセミナー2025 ユマニテク短期大学公開セミナー「アフリカ、ガーナってどんなところ?ハンセン病研究からみえたこと。」の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県内にある大学・短期大学・高等専門学校の高等教育機関全14校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催している公開セミナーです。毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご講演いただいています。
**************************【講演概要(チラシ紹介文より)】
日本人にとってチョコレートの商品名で有名なガーナ。街に出れば、頭に商品をたくさん乗せた売り子に出会います。生きるために前を向いて進む人たち。意欲は高くても、資源が乏しかったり、活用できていなかったりということが至る所で見られます。そんなガーナへ、ハンセン病を制圧した日本から来た研究チームが、WHOの定める2030年までに発症者ゼロに近づけることができるのか。ガーナでの支援活動の模索と反省を語ります。
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ユマニテク短期大学公開セミナーは、幼児保育学科 准教授 水野友美さんにご登壇いただきました。
ハンセン病とは、らい菌という細菌の感染によって起こる皮膚・神経疾患です。病状が進行すると、外見の変化や麻痺、四肢欠損等が生じることから、どの時代どの地域においても恐怖や差別・偏見がありました。いまでは、早期診断・早期治療で後遺症を残さずに完治することが可能な疾患となっています。WHOは2030年までにハンセン病の根絶と障害を防ぎ差別をなくすことを目指しています。
ハンセン病が常に蔓延していた国で、新患数が0となったのは日本だけだそうです。講師はまず、そこに至るまでの日本のハンセン病政策の経過と偏見や差別がいまも与え続けている負の影響についてお話しされました。
続いて、ガーナでのハンセン病を制圧するため行った実態調査と検査トレーニング(人材育成)について解説いただきました。それぞれの成果や反省をふまえ、差別や偏見に配慮した早期探知・早期診断の対策や疾患の啓もう活動の必要性、トレーニングの効果を継続させるためには同時期に複合的な支援をする必要があるといった結論を得られたそうです。
講師は、情報が乏しい状況から、落ち着いて医療機関につなげられる環境を作ることが、ハンセン病制圧の次の肝になると感じているそうです。日本と同じことを繰り返さないために、引き続きプロジェクトを続けていきたいと締めくくられました。
「ブックリスト(関連図書)」のご案内
三重県立図書館に所蔵されている講座関連図書のご案内です。
所蔵状況は講座開催日時点のものです。
- 支援したことがずっと役立つわけではないことは知識として知っていました。検査トレーニングひとつにしても、フォローがなければ生かされていないということを伺って、現実の厳しさを感じました。
- 先生がおっしゃっていたように日本のようなハンセン病の隔離政策にならないようにガーナがどうなっていけばいいのか、今後の先生の報告をまたお聞かせ願いたいと思いました。
- ガーナのこと初めて知りました。ハンセン病の理解とそれがなくなることを祈っています。