講座ボランティア企画【第95回 名盤を聴く ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス 特集】の事業報告

開催日
2025年9月5日(金曜日)
開催場所
三重県文化会館 小ホール
開催時間
13時30分から15時50分まで
講師
梶 吉宏さん(三重県文化会館館長)
参加人数
56名
参加費
無料

20年以上続く 講座ボランティア企画「名盤を聴く」。講座ボランティアさんに資料準備や当日の司会など協力いただいています。今回は「スペインの名花」と呼ばれるほど美しい声を持ち愛された歌姫、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスの特集です。

講師:梶吉宏さん(三重県文化会館 館長)

[チラシ文]バルセロナに生まれ、幼い頃から歌とギターを始め、バルセロナ音楽院でピアノと声楽を学びました。『フィガロの結婚』の伯爵夫人を歌ってオペラ・デビュー。1947年、ジュネーブ国際音楽コンクールで優勝して注目を浴び、名テノール歌手ジーリと共演してスペイン各地で活躍し次第に名声を高めていきました。パリ・オペラ座、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ミラノ・スカラ座など国際的な大舞台にデビュー、1951年にはメトロポリタン歌劇場にデビューし、1961年までほぼ毎年出演し続けました。1960年代半ば以後は、歌曲のリサイタルに全力を注ぎ、1992年バルセロナオリンピックの閉会式では、カタルーニア民謡『鳥の歌』を歌いました。「20世紀最高の声楽アーティストのひとり」と評される彼女の名唱を、梶館長に紹介していただきます。

-----------------------------------------------------------

アンヘレスの歌声に聴き入る来場の方々

「台風接近の中、いらしてくださった皆様は本当に熱心であり、大切なお客様です。心より御礼申し上げると共に、本日はぜひアンヘレスの顔の表情と声をお楽しみください。」とはじめに講師より述べられ、この日の講座はスタートしました。
前半はジェラルド・ムーア(ピアニスト)との共演、ヘンデル、モーツァルトの作品、歌劇の作品のセレクトでプログラムが構成されました。
特に歌劇「ラ・ボエーム」では初々しさが残る歌声や表情に会場の方々も引き込まれているようです。

後半はバルセロナのカタルーニャ音楽堂で行われたアンヘレスのデビュー45周年記念リサイタルを楽しみました。
講師より「ぜひ皆さん音楽会に参加している気持ちで楽しんでほしいと思い、こちらを選びました。注目すべきは観客たちのすごい拍手、もし良いところがあれば、一緒に拍手をお願いします。」と呼びかけられました。
リサイタルの中には微笑みながら舞台に立つアンヘレスの姿がありました。スタート前から大きな拍手が3分近く続き、歌い始めることができなかったのです。その他にも、1曲終わるごとの大きな喝采や、歓声と共に舞台の床が見えなくなるほど投げ込まれる花々など、湧き上がる聴衆の興奮が伝わってきました。

アンコールでは、平和の象徴の歌でもある『鳥の歌』を楽しみました。この曲は、パブロ・カザルス(チェリスト)がコンサートでよく弾くことで知られ、アンヘレスがバルセロナオリンピック閉会式で披露され、さらに広く知られるようになりました。曲が終わると会場からも拍手が起き、時と場所を超えて臨場感が再現されているようでした。

 【プログラム】

1. グラナドス: トラ・ラ・ラとギターのつまびき El tra la la y el punteado  
2. フォーレ: イスファハーンのばら   Les roses d'Ispahan              
3. ラヴェル: スペインの歌   Chanson de  españole            
4. トルドラ: 見習い水夫の歌  Cançó de grumet
5. ロドリーゴ: ポプラの林に行ってきた  De los alamos vengo,madre
6. モンサルバージェ: 黒人の子守歌  Canción de cuna para dormir a un negrito            
 (ピアノ) ジェラルド・ムーア    (1968年)                                   7. ヘンデル: オラトリオ「マカベウスのユダ」より So shall the lute and harp awake
8. モ-ツァルト:「証聖者のためのヴェスペレ」K.339 より       
  主よ、ほめたたえよ  Laudate Dominum マックギル室内管弦楽団        
 (指揮)アレクサンダー・ブロット    (1986年)                                9. プッチーニ: 歌劇「ラ・ボエーム」より 私の名はミミ Mi chiamano Mimì            
 (ロルフォ:ブライアン・サリヴァン)ベル・テレフォン オーケストラ          
   (指揮) ドナルド・ヴォーヒー      (1960年)
10.プッチーニ: 歌劇「蝶々夫人」より  “ある晴れた日に“  Un bel di, vedremo          
      ローマ歌劇場管弦楽団   (指揮)ガブリエレ・サンティーニ (1959年)                          11.ビゼー: 歌劇「カルメン」より “ハバネラ” “セギディーリャ“ Près des remparts de Séville   
  フランス国立放送管弦楽団 (指揮)サー・トーマス・ビーチャム (1958~1959年)  

----------------   休  憩    ----------------                     

 [1989年5月19日 バルセロナ“音楽の殿堂”でのデビュー45周年記念リサイタル]    
1. リテレス: Acis y Galate より “Confiado jilguerillo”
2. デル・ヴァド: Molinillo que moles amores
3. ミソン: Seguidillas dolorosa de una maja enamorada
4. ピア: Seguidillas religiosas
5. エステヴェ: Alma, sintamos
6. ラセルナ: エル・トリピリ El Tripili
7. グラナドス: ゴヤの美女 La maja de Goya  
8. グラナドス: 内気なだて男    El majo timido 
9. グラナドス: 町をぶらつく Callejeo
10. グラナドス: ひかえめな下町娘たち Las currutacas modestas
11. ファリャ: ムーア人の織物 El Paño moruno
12. ファリャ: ムルシア地方のセギディーリア Seguidilla murciana  
13. ファリャ: ポロ Polo
14. モランテ(編曲): La Mare de Deu
15. モランテ(編曲): La ploma de perdiu
16. モランテ(編曲): EL mariner 
17. モランテ(編曲): Margarideta
18. ヴィヴェ-アルコヴァ-:  La Blanguera
19. 民謡: 鳥の歌 El Cant dels ocells  
20. ビゼー: 歌劇「カルメン」よりセギディーリア Près des remparts de Séville
21. ヴァルヴェルデ: Clavelitos
  (ピアノ) マニュエル・ガルシア・モランテ                                    

参加者の声

  • 毎回梶館長の解説でとても楽しませていただいています。
  • 本日の台風の中で 夢の中にいる時間をありがとうございました。
  • 初めてアンヘレスさんの歌声を聞きました。すごい声量と表現の豊かさに感動させられました。聴かせていただけて本当に良かったと思います。
  • 歌う前からの拍手のすごさ。1曲1曲 終わった後の拍手がすごい。
  • 時間が過ぎるのを考えないくらいに楽しかったです。音も良くて、また来ます。
  • 余りある感情表現の数々にずっと釘付けでした 。
  • あふれる歌声に圧倒されました。臨場感たっぷりでその場にいるようでした。