みえアカデミックセミナー2024 移動講座(熊野市)
皇學館大学公開セミナー「聖地巡礼ブームと熊野」

開催日
2025年3月8日(土曜日)
開催時間
14時00分から15時30分まで
開催場所
熊野市文化交流センター 多目的ルーム
講師
皇學館大学 文学部神道学科 教授 坂井正斉さん
参加者数
36名
受講料
無料

県内全ての高等教育機関と連携し、各校の特色を活かしたセミナーを開催している「みえアカデミックセミナー」。
毎年夏に三重県総合文化センターで公開セミナーを開催し、秋から冬にかけては「みえアカデミックセミナー移動講座」として県内各市町に赴き、地域の学習ニーズに合わせた講座を開催しています。


坂井正斉さん(皇學館大学文学部神道学科 教授)

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【講演内容紹介文】
最近の神社ブーム。その特徴のひとつに、若者世代の参拝をあげることができます。なぜ、若者は神社を目指すのでしょうか。 そこには聖地をめぐる意味に現代的な変容と普遍的な価値を見ることができます。世界遺産登録20周年を迎えた熊野を事例に、若者の道中記と歴史的な史料を読み比べながら考えてみましょう。

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みえアカデミックセミナー2024移動講座の4回目は、熊野市教育委員会と共催し「熊野市民大学」特別編として開催しました。講師に皇學館⼤学文学部神道学科 教授 板井正斉さんをお招きし、「聖地巡礼ブームと熊野」というテーマでお話しいただきました。

講師は、現代の「聖地巡礼」は信仰のための行動から観光の面を含んだ行動に変容してきたと前置きされ、伊勢と熊野にはどのような人が訪れているのかデータを比較しながら考えました。熊野は特に50代の来訪者が多いものの、20代と30代の来訪者を足すと50代の数を上回るとし、20代と30代の来訪者が満足する旅ができれば、50代になっても再度熊野に訪れる可能性があるのではないかと分析されました。

続けて霊場と観光地のはざまで揺れ動いてきた熊野の変遷をたどり、熊野信仰が観光資源として消費されているところに聖地巡礼の変容がみられ、新しい価値観が生まれていると解説されました。

講座後半には現代と江戸時代の伊勢路をめぐる若者の道中記を読み比べを行いました。歩くことで得られた「気付き」やある種の宗教的体験、人と人の「つながり」を求めている点はいつの時代においても共通していると読み取れ、若者が熊野を訪れるヒントがここにあるのではないかと締めくくられました。

現代の道中記として引用した、福元ひろこ著「歩く旅の本 伊勢から熊野まで」(東洋出版)の実物も受講者のみなさんに手に取っていただきました。
質疑応答の様子。

参加者の声

  • 熊野と伊勢の対比も大変面白かったです。
  • 「つながり」を若者は求めて来るのではないかというご説、私自身の肌感覚とも合っていて、とてもうれしく拝聴しました。今も昔も不思議なつながり(ご縁)を生み出す熊野を大切にしようと思います。
  • 数年前から歩いている熊野古道。巡礼という気持ちはなかったけれど、本日の講座で改めて熊野古道を歩く意味が少し理解できた気がします。