講座ボランティア企画【第92回名盤を聴く ヴァルター・ギーゼキング 特集】の事業報告
【チラシ文】フランスのリヨン生まれ。がっちりした体格のギーゼキングの指から流れる音は繊細で真珠のように美しかったと言われています。第二次大戦中はドイツにとどまって演奏を続けたため、ナチスに文化的協力をしたとされ戦犯扱いされましたが、1947年容疑が晴れて復帰。1953年敗戦間もない日本に来日し、見事な演奏で人々の期待に応えてくれました。蝶の収集家としても有名であり、今なお伝説のピアニスト、ギーゼキングの遺した名演奏を梶館長に紹介していただきます。
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「実際に演奏を聴いたことある方?」という問いからこの日の講座はスタートしました。残念ながらご覧になった方はいませんでしたが、ギーゼキングは亡くなる3年前である1953年、13回にわたって日本で演奏会を行ったドイツのピアニストです。プログラムに入る前に、「パリ留学時代、指揮者ではフルトヴェングラー、ピアノではギーゼキングに衝撃を受けた」と戦後日本のクラシック界を牽引したピアニスト、園田高広が語っていることも紹介されました。
今回のプログラムは古典からモダンまで幅広いレパートリーを実感できる選曲で構成されているそうです。
まず、前半は古典としてJ.S.バッハ、モーツァルトを聴いていただきました。講師によると、ギーゼキングの左手は歌っているように動くそうで、モーツァルト『ピアノ・ソナタ第16番 変ロ長調 K.570』第1楽章は真珠を転がすような響きで楽章が進むにつれ、あふれる気品が感じられるとのことでした。中盤では「月の光」も含まれるドビュッシー『ベルガマスク組曲』やアンコールでよく弾いていたというラヴェル『水の戯れ』などを鑑賞しました。
最後はラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18』です。ギーゼキングは驚異的な記憶力を誇り、暗譜はもちろん、細部にわたるまで分析、解釈をしているので音が鮮明であると解説がありました。
「皆さんのアンケートを楽しみにしている」という講師の呼びかけに応えてくださったのか、来場の方々よりギーゼキングの演奏に対して「音の出し方にまるで絵画を想像することができて心が震えました」「ピアノの響きがみずみずしい」「繊細な音の表情 、タッチに感激しました」など たくさんのコメントをいただきました。
1.J.S.バッハ:パルティータ第1番 変ロ長調 BWV.825 より
メヌエットⅠ・メヌエットⅡ・ジーグ
(1934年9月)
2.モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16番 変ロ長調 K.570
第1楽章 アレグロ
第2楽章 アダージョ
第3楽章 アレグレット
(1936年9月)
3.ドビュッシー:ベルガマスク組曲
① プレリュード
② メヌエット
③ 月の光
④ パスピエ
(1953年8月)
4.ラヴェル:水の戯れ
(1954年12月)
5.ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
(1938年8月)
――――――― 休 憩 ――――――
6.ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
第1楽章 モデラート
第2楽章 アダージョ・ソステヌート
第3楽章 アレグロ スケルツァンド
指揮:ウィレム・メンゲルベルク
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
(1940年10月)
- 眠くなったらどうしようかと不安になっていたが そんな心配はいらないほど身を乗り出して聞き入っていました。館長さんの選曲理由を聞いてから曲を聞くことで楽しめる素敵な企画なのでまた機会があれば参加したいです。ありがとうございました。
- 梶さんのお話はとても分かりやすく、音楽の魅力をより伝えてもらえます。
- いつも楽しませてもらっています。知らないことも多いのですが、ゆったりと心の安らぐ この時間が好きです。
- 音色がすごく綺麗で日常の忙しいことを全部忘れてピアノの世界の中にいることができました
- ラヴェルの「水の戯れ」が一番分かりやすかった。とめどなく流れ 踊っているような動きがまさに戯れが止まない様子、とても素晴らしく表現されていてうっとり聞き入りました。
- ドビュッシーの転がるような音の響きが好きでした。ラフマニノフは昔の映画のシーンを感じさせる情景が浮かんできました。