三重県埋蔵文化財センター共催「日本考古学・古代史上における三重」の事業報告

開催日
2024年11月16日(土曜日)
開催時間
13時30分から15時30分まで
開催場所
三重県男女共同参画センター 多目的ホール
YouTubeライブにて同時配信
講師
穂積裕昌さん(三重県埋蔵文化財センター 所長)
参加人数
会場180名 オンライン112名
受講料
無料

三重県埋蔵文化財センター共催講座は、三重県埋蔵文化財センターの公開考古学講座「三重を掘る」のうち1回を、特別講座として三重県生涯学習センターと共催し、総合文化センターを会場に開催しているものです。
今回は「日本考古学・古代史上における三重」と題し、三重県埋蔵文化財センターの穂積 裕昌(ほづみ ひろまさ)さんにお話しいただきました。

講師の穂積裕昌さん
講師の穂積裕昌さん

今回の講座では、三重県の発掘資料が日本の考古学や古代史においてどのような意味を持つのかを中心に、古代から戦国期まで幅広いテーマについてお話しいただきました。

三重県の遺跡や出土品にとどまらず、遺物や歴史的資料からどのようなおもしろさが引き出せるのかにも焦点を当てた内容でした。
たとえば、伊賀市にある石山古墳の埋葬施設(棺が納められている場所)では、悪いモノから身を守るための「盾」が被葬者を抑え込むように配置されていたことが紹介されました。このことから、埋葬された遺体を封印する意図があったのではないかと考えられるとのことです。
このように、古墳からの出土品は単なる政治的な結びつきを示すだけでなく、当時の人々の死生観をも伝えていると説明されました。

最古の土偶や道具、かんがい施設の遺構について、最古の庭ともいわれる伊賀市城之越遺跡の発掘調査の秘話、なぜ天皇家の祭祀場として「伊勢」が選ばれたのか、文献や遺跡から読み解く天正伊賀戦争(天正伊賀の乱)、さらには三重にある石の城が城郭史に与えた影響など、三重の歴史を旅するような充実した講座でした。

  • 講演会の様子
    津市納所遺跡からの出土品。考古学では完成品だけでなく作りかけの遺物も重要であると説明されました。
  • 若き講師も発掘に参加した「城之越遺跡」の遺構。古墳時代の庭園ではと注目され、後世にも大きな影響を与えた遺跡です。

  • 熱心にメモを取る受講者。

取材ボランティアのレポートです。こちらもぜひご覧ください。

取材ボランティアkrnさんのレポートへのリンク

取材ボランティア渡邉さんのレポートへのリンク

「ブックリスト(関連図書)」のご案内

三重県立図書館に所蔵されている講座関連図書のご案内です。
所蔵状況は講座開催日時点のものです。

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参加者の声

  • 三重県の古代から中世までの歴史の概略がつかめました。穂積先生の広い認識と明確な論理により的確な知識がつかめたと思います。(会場受講)
  • 県内全体の通史を俯瞰的に解説していただき、点と点がつながる感じがあり面白かったです。(会場受講)
  • 城之越遺跡や国庁跡などこの講座の後で見ると今までと違った視点で見られると思います。わかりやすくワクワクするような内容の講座でした。(オンライン受講)
  • 今年、三重県の史跡、遺跡を多く訪ねていたので大変興味を持って視聴し、新たな知見を多く得ることが出来ました。本講演で新たに知った三重県の史跡、遺跡へ行きたいと思いました。(オンライン受講)