ジョイントセミナー【三重県立熊野古道センター】「熊野古道伊勢路を歩いてみよう」の事業報告

開催日
2024年10月14日(月曜祝日)
開催時間
13時30分から15時30分まで
開催場所
三重県文化会館 レセプションルーム
講師
三重県立熊野古道センター センター長 宮本 秀男さん
参加人数
会場86名 オンライン43名
参加費
無料
5日

今回のジョイントセミナーは、三重県立熊野古道センター センター長の宮本 秀男さんを講師にお招きしました。

冒頭では、熊野古道の成り立ちから、最近話題となっているクマの出没状況について対策法などを交えてお話しいただきました。熊野古道伊勢路は、今でこそ聖地巡礼路のようになっていますが、昔は津津浦浦、隣町同士をつなぐ「交易の通路=生活の道」でした。要所要所をつないでいくと160kmとなり見方によっては巡礼路となっていったようです。

講演中

宮本さんが、5日間で160kmを歩いた時の写真をスクリーンに映し出し、各スポットの地形や特徴、風景を詳しくご説明いただきました。また、伊勢路にまつわる古い文献を紹介しながら、昔の人々の旅の様子などについてもお話しいただきました。
伊勢路踏破の頼りとなるのが「道標」です。各所に立っており、現在では4km毎や100m毎のものなど、様々な種類が設置されているそうです。                

また、峠の入り口などにお地蔵様や庚申塔がまつられていることが多いです。地蔵菩薩は、苦しんでいる者の身代わりとなって地獄の苦しみから救い、死者が生まれ変わる6つの世界をめぐって救済したといわれています。庚申塔は、本来は健康と長寿を願うものであったが、やがて豊作や家内安全なども願われ、「庚申さま」として親しまれ、辻の守り神、村の守護神とされるようになったようです。こうしたことから、村と村の間によく作りおかれたそうです。

現在、生活の道として使われていた昔の古道は、道の整備の際にアスファルトに吸収されてしまったが、家並みや佇まいなどは当時の面影を伝えているそうです。他にも、各峠の特徴(例えば、女鬼峠は、大曲をいくつか設けてあり低い標高で登りやすいことや、樹林があり夏でも歩きやすいこと)や歩く時に必要なトイレの場所や休憩スポット、歩きながらの楽しみ方などもお話ししていただきました。

終盤では、最近人気となっている尾鷲市九鬼町にある、オハイについてご紹介いただきました。オハイは漢字で書くと「大配」、意味は「大きながけ」です。オハイブルーと呼ばれる光景が有名で、時間によって色の見え具合が変化するそうです。

たくさんの写真や、動画、宮本さんの詳細な説明により、まるで歩いているような感覚を得ることができる講座でした。

「ブックリスト(関連図書)」のご案内

三重県立図書館に所蔵されている講座関連図書のご案内です。
所蔵状況は講座開催日時点のものです。

「ブックリスト」ダウンロードリンク(PDF形式、614キロバイト)

参加者の声

  • 来月古道を歩くので、とても勉強になりました。(会場)
  • 荷坂峠、ツヅラト峠、馬越峠を歩いたことがありますが、熊野古道の道の奥深さに感動致しました。(会場)
  • 熊野古道は、出会い・発見・祈りの道のようだと、興味が深まりました。オハイブルーも初めて知りました。整備、調査、発信をしてくださっている方々に感謝。オンライン配信もありがとうございました。(オンライン)
  • 熊野古道を何度か歩きましたが、最近は歩くことが難しくなってしまいました。今回の講演を見て聞かせていただいてもう一度歩いているような感覚になりました。ありがとうございました。(オンライン)