講座ボランティア企画シリーズ文学(第1回)【新美南吉の世界~『ごん狐』『ひろったらっぱ』『でんでんむしのかなしみ』を読む~ 】の事業報告
講座ボランティア企画「シリーズ文学」は、2003年の「瀬戸内寂聴文学へのいざない」よりスタートし、20年以上愛されている当センターの人気講座です。資料の準備や当日の運営・司会なども講座ボランティアの皆さんが大きく携わっています。今回は小学校の国語の教科書でもおなじみの新美南吉の作品がテーマです。
【チラシ文】いじらしく、優しく、ひたむきな『ごん狐』他2作品。声高にではなく静かに、戦争よりも平和を希求した南吉の世界を味わいます。
まず、新美南吉の29歳7か月の短い生涯について講師より解説がありました。
講師によると、10代の頃より『赤い鳥』に作品が掲載され、鈴木三重吉や北原白秋にもその才能は認められていたと言います。進学のため上京し、文学修行するも、病のため故郷の知多半島・半田に戻り、県立安城高等学校に勤務しながら作品を発表していたそうです。
解説の後はいよいよ河原徳子さんの朗読と西野愛さんのピアノによるオリジナル曲の共演です。
まずは『ごん狐』。南吉19歳の時の作品で『赤い鳥』で入選しました。
朗読の声とピアノが奏でる旋律の豊かな表現に会場は引き込まれます。進むにつれ、泣いていらっしゃるのか、鼻をすする音も聞こえ、物語が終わると舞台へ大きな拍手が送られました。
西野愛さんによる3曲の演奏の後、南吉21歳の時の作品『ひろったらっぱ』。
これはある男が戦争で荒らされた田畑を村人たちと豊かな大地へ変えていく物語で静かに平和を希求する思いが込められています。
最後は南吉22歳の時の作品『でんでんむしの かなしみ』。
皇后時代の美智子様が国際児童図書評議会での基調講演で
「幼年期の心の支えになった作品」と言及され、注目された作品でもあります。
「人は誰でも悲しみを持っているのだから、自分で自分の悲しみに耐えなければならない」というメッセージが講師の声と西野さんのピアノの音を通してより強く訴えかけてくるようでした。
3つの作品を鑑賞した後は、この講座の醍醐味でもある「群読」の時間へ。
ピアノの音と一緒に『ごん狐』の一場面を参加の方ご自身の声で読み、耳で聴くことでより深く物語を味わうことができました。
読み終えると会場から自然に拍手がわき、おひとりおひとりが物語の語り手になったところでこの日の講座は終了しました。
ブックリスト(関連図書のご案内)
三重県立図書館に所蔵されている講座関連図書のご案内です。
所蔵状況は講座開催日時点のものです。
- 新美南吉の話は大好きで初めて参加しました 。河原先生の講義が楽しく、日頃読書する機会もなかったのですが本が読みたくなりました。
- 河原先生の心に響く朗読。 美しいピアノの音色により一層心に響きました。とても感動いたしました。
- 『ごん狐』朗読に感動しました。 分かっているつもりでも改めて聞き 涙がこぼれました。『ひろったらっぱ』 も初めてでした。今のウクライナが思われました。『でんでんむしのかなしみ』とても感動、早速に孫に贈りたいと強く思いました。素晴らしかったです。
- 西野愛さんのピアノがやさしく響き、お人柄が伺えとても良かったです。
- 秋の講座にふさわしい文学講座でした。『ごん狐』での朗読とピアノのコラボ素晴らしく最後のシーンでは涙が…。新美南吉の短い生涯に思いをはせる秋の一日となりました。
- 西野愛さんのピアノがやさしく響き、お人柄が伺えとても良かったです。