みえアカデミックセミナー2024 鳥羽商船高等専門学校公開セミナー「ROV(小型無人潜水艇)でみえてくるもの」の事業報告

開催日
2024年8月24日(土曜日)
開催時間
13時30分から15時00分まで
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
講師
鳥羽商船高等専門学校 商船学科 教授 山田 智貴さん
参加人数
33名
受講料
無料

「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、昨年20年目を迎えました。これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。


令和6年度の第14回は、鳥羽商船高等専門学校 商船学科 教授山田 智貴さんを講師にお迎えしました。

鳥羽商船高等専門学校 商船学科 教授 山田 智貴さん

**************************【講演概要(チラシ紹介文より)】
鳥羽商船では昨年からROV(小型無人潜水艇)を導入し、教育や研究、社会貢献などに活用する取り組みを開始している。このセミナーではROVに関する一般的な知見と鳥羽商船での導入の狙いについて解説するほか、建造中の新鳥羽丸に配備されるROVを交えた、複数のROVを用いた実習や運用についての構想についても紹介する。
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講座は、近年人々の海への意識が遠くなっていると前置きがあり、もっと海のことを知る必要があるというお話から始まりました。そして気候変動に影響を及ぼす海洋内部の変動データを計測収集する、国際的な研究計画「アルゴ計画」をご紹介いただきました。

ROVとは「Remotely Operated Vehicle」の略称で、無人で自律潜航せず、有線で操縦・給電されているものを指します。似たものでは、AUV(Autonomous Underwater Vehicle)は無人・自律航行可能な機体で、ドローンと呼ばれるものは一般的にはUAVに属し、遠隔操作または自動操縦により飛行する無人の航空機を指すと説明されました。

鳥羽商船高等専門学校ではこれからの時代にROVは不可欠であろうと考え、教育・研究に活用していくため2台のROVを導入しました。
まず、潜水士の不足や省力化・安全確保といった課題に対応するため、ROVを用いて船舶などの点検作業や海洋環境把握を行えるように、船員スキルの向上を目指す目的があります。

次に、海中という過酷な環境で作動する機器の開発ができるエンジニアの養成を目指しています。特に鳥羽商船高等専門学校では、学生たちが自由に試作実験を行えるようにするため、拡張機能に特化したROVを導入したそうです。

そして令和7年春には新しい練習船の「鳥羽丸」が就航予定で、ROV1号機はそちらに搭載される予定です。新しい「鳥羽丸」は、災害時の支援活動という使命も担っています。講師は日頃から官民と連携してROVの実習を行うことで、いざという時にも復旧支援に各種機材、人材が活用できる仕組みを構築しておくビジョンを描かれています。

鳥羽商船高等専門学校におけるROVの実習はこれから本格化していくところですが、学生たちが日常的にROVに親しみ試行錯誤を繰り返すことで人材育成・研究開発を進めたいと講師は期待を寄せていました。

模擬実習時にROV2号機で撮影した鳥羽丸の船尾を模擬点検する映像も流しました。
会場ではROV2号機の展示をしました。実物を囲んで、受講者の皆さんから次々に質問が飛び交いました。

参加者の声

  • ROVのこと全然知りませんでした。人手不足の折、こんなROVなどが必要なんだろうなと思いました。
  • ROVのことを初めて知りましたが、船員さんになる人たちがより高い技術を持ってくれることを期待します。今後の研究開発、実用化への希望を抱きました。