みえアカデミックセミナー2024 三重短期大学公開セミナー「腸内細菌叢とは何か」の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、昨年20年目を迎えました。これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
令和6年度の第10回は、三重短期大学 食物栄養学科 助教の福安 智哉さんを講師にお迎えしました。
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腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)とはヒトの腸内に生息している細菌群で、ヒトの健康に関与していることが認識されてきた。最近ではこの腸内細菌叢に注目した「腸活」という言葉も生まれ、注目度は高くなってきた。しかしながら、この腸内細菌叢が何をしているのか知らない人が多い。そこで今回は腸内細菌叢の基礎的な知識について述べていく。
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腸内細菌叢とはヒトの大腸に生息する40兆以上の細菌たちのことを指し、ざっくり分類わけすると「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類になります。ヒトにとって有用かそうでないかの違いで善悪に分けられているそうですが、実は悪玉菌もヒトの身体に必要な働きをしており、とても大切な菌であるとお話しされました。悪玉菌が体内にいても大丈夫なのは腸内細菌叢が善玉:日和見:悪玉=2:7:1 の割合でバランスが取れているからで、これが崩れると健康に悪影響を及ぼすことがあるということです。
腸内細菌叢を変えるには生活習慣を見直すことが重要として、1.食事を変える、2.運動する、3.ストレスを発散する、4.住む場所を変える(環境を変えると生活習慣も変わる)という4つのポイントを解説いただきました。
また乳酸菌飲料の効果について、一般的に乳酸菌が生きて腸に届くことはないが、乳酸菌の生死にかかわらず効能は変わらないという報告があるそうです。そして製品として流通しているものは、胃酸に負けないよう特殊な加工がされている場合があると補足されました。会場からは、関心の高い話題だっただけに驚きの声が上がりました。
最後に講師は、腸内細菌叢を変えるには見直した生活を続ける必要があることを強調され、受講者の皆さんは興味深く聞いていました。
- 食物繊維と運動、生活習慣と腸内環境の関係がとてもよくわかりました。猛暑で散歩に行かなくなっているのでショッピングモール内のウォーキングのおすすめはありがたかったです。腸内細菌叢と病気の関係はまだまだ研究段階と知り、情報に振り回されてはいけないと思いました。
- 悪玉菌の役割は初めて知った。今後研究が進んだら悪玉菌の中の分類が変わるかも。