みえアカデミックセミナー2024 近畿大学工業高等専門学校公開セミナー「気付く方言、気付かない方言」の事業報告

開催日
2024年8月2日(金曜日)
開催時間
13時30分から14時45分まで
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
講師
近畿大学工業高等専門学校 総合システム工学科(国語) 講師 山本 空さん
参加人数
68名
受講料
無料

「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、昨年20年目を迎えました。これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。


令和6年度の第8回は、近畿大学工業高等専門学校 総合システム工学科(国語)講師山本 空さんを講師にお迎えしました。

近畿大学工業高等専門学校 総合システム工学科(国語)講師 山本 空さん

**************************【講演概要(チラシ紹介文より)】
「あなた」「あんた」「おまえ」…。おそらく、これらの言葉を「聞いたこともない」という人はいないのではないでしょうか。方言というと「その地方以外では使われない言葉」という印象があるかもしれませんが、よく聞く言葉を「どう使うか」にも地域差があります。今回はそのような言葉についてお話ができたらと思います。
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三重県は近畿と東海の間に位置することから、近畿の方言と尾張の方言の影響を受けています。また、県内でも地域ごとに細かく見ていくと特徴的な語彙を使っている例があるとして、具体例を挙げながら方言の多様性を語られました。

続いて講師は、語彙や音声の違いはすぐ分かるため方言として認識しやすいが、それだけがことばの地域差ではないとお話しされ、研究テーマである「対称詞使用の地域差」について解説いただきました。
対称詞とは「話の相手に言及することばの総称」で、例えば「あなた」や「〇〇(名前)さん」、「部長」、「お母さん」といったことばを指します。「あんた」「おまえ」といった言葉自体は日本全国で使われていますが、誰にいつ使用するかという部分においては地域差がみられるそうです。対称詞の比較研究をすることで、日本語でのコミュニケーションの取り方の多様さを知ることができるということでした。

最後に、今後の研究課題としてことばの地域差のひとつである「フィラー」(「あの」「ええと」など、その場をつなぐもの)と対称詞の比較を行っていきたいと意欲を示され講座は終了しました。

地域連携テクノセンター長の田中和幸さんにご挨拶いただきました。
いくつかの方言による「ももたろう」の音声から、どのような違いがあるか聞き比べました。

参加者の声

  • 方言の話を通して、日本語の多様性が認識できました。コミュニケーションの取り方の地域性もわかりおもしろかったです。
  • 普段気にしていないところにも地域差があると知った。方言だけでなく、ことばの地域差も以後気にしてみようと思う。