みえアカデミックセミナー2024 鈴鹿大学公開セミナー「多民族国家マレーシアからみた日本」の事業報告

開催日
2024年7月27日(土曜日)
開催時間
13時30分から15時00分まで
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
講師
鈴鹿大学 国際地域学部 助教 竹野 富之さん
参加人数
64名
受講料
無料

「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、昨年20年目を迎えました。これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。


令和6年度の第7回は、鈴鹿大学 国際地域学部 助教竹野 富之さんを講師にお迎えしました。

鈴鹿大学 国際地域学部 助教 竹野 富之さん

**************************【講演概要(チラシ紹介文より)】
東南アジアにおいて経済発展著しいマレーシア。同国は主にマレー系、華人系、インド系、それ以外の少数民族からなる多民族国家だ。1957年の独立以降、マレーシアは多民族社会ゆえの様々な軋轢を乗り越え、今日の繁栄を築いている。そんなマレーシアの視点から多文化共生を目指す日本社会の今後を考えてみたい。
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マレーシアの多民族化は、もともと19世紀イギリスの植民地時代に労働力不足を補うため、移民を受け入れる方向に舵取りをした政治的判断によるものでした。マレーシアにおける移民のメリット・デメリットをまとめた後、移民の受け入れが増えてきている日本の状況を整理しました。

民族対立や経済格差からくる暴動事件を乗り越え、多民族国家としてまとまりを持つために苦労を重ねてきたマレーシアですが、近年ではイスラームと性倫理やLGBTQをめぐる問題、女性ムスリムの人権問題といった宗教関連の問題も出てきているそうです。

最後に講師は、
・多くの日本人は移民がもたらす「多様性」の問題点に無関心であること
・多くの日本人はナショナリズム(国民主義)と国家の関係をあまり理解していないこと
・多くの日本人は「自由」を制御する手段がないこと
の3点を今後日本が直面していくであろう課題としてあげ、政府だけでなく、国民ひとりひとりがどのように受け入れていくのか、日本国民としての自覚という「国民統合」問題に向き合わなくてはならないとお話しされました。

マレーシアはイスラームを国教としており、13の州のうち9つの州にいる「スルタン」と呼ばれる権力者の中から国王が選ばれます。
セミナー終了後には、受講者の方が講師に質問をしていました。

参加者の声

  • 本日のお話から、多様性の問題点についてもっと関心をもとうと思いました。
  • 信仰、民族背景等を乗り越えて移民を受け入れ国として成り立つ難しさを教えていただきました。今後の日本でも大きな課題になると思われるので、考えていかなくてはと思いました。
  • 大変興味のある講義で、今後マレーシア及びアジア諸国をみていく上で参考になりました。一方、多民族のむずかしさを感じました。