みえアカデミックセミナー2024 鈴鹿大学短期大学部公開セミナー「体罰イメージの変遷-西洋の教育思想に焦点をあてて-」の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、昨年20年目を迎えました。これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
令和6年度の第6回は、鈴鹿大学短期大学部 助教の井上 剛男さんを講師にお迎えしました。
**************************【講演概要(チラシ紹介文より)】
現在、教育現場で子どもに体罰をふるうことは許されないが、どうしてそういう認識が広く社会で当然視されるようになったのか。中世、近世、近代における西洋の教育思想から、体罰の捉え方の変遷とその背景について解説する。
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講座は西洋の教育思想から、時代ごとに体罰の価値観の変化を追っていく構成で進められました。なぜ体罰が用いられるようになったかというと、その時代ごとの子ども観が大きな影響を与えているそうです。
終盤にはこれまでのお話を踏まえ、現代の教育にも関係する問題点をいくつか取り上げられました。
近世以降、体罰はしつけとしての教育効果が低いと批判されています。いま体罰をしつけと考えている人に対して、人権侵害だからダメと伝えるのではなく、本当に教えたいことが伝わっていないことを理解してもらってはどうかと提案されました。
そして、現代社会では指導の時間が限定されていること、子どもの主体性を尊重する風潮や教育観の多様化から、毅然とした指導が難しく、子どもの指導を事実上断念してしまうケースがあるという問題をお話しされました。
これからも変化していくであろう体罰に関する価値観について、受講者の皆さんは自身の体罰や子育てにまつわる記憶を思い起こしながら真剣に聞き入っていました。
- 体罰=しつけ と考えている人がどの世代も多いと思います。人権尊重ということをもっと学ばないといけないと感じました。
- 体罰思想の変遷について興味深かったです。