みえアカデミックセミナー2024 三重県立看護大学公開セミナー「子どもの我慢は成長とともに」の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、昨年20年目を迎えました。これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
令和6年度の第4回は、三重県立看護大学 学長の片田 範子さんを講師にお迎えしました。
**************************【講演概要(チラシ紹介文より)】
子どもが成長することは、我慢することの学びと達成した時の喜びとの「うらおもて」のような経験からなっています。子どもの成長は未知との遭遇の連続なのだと思いますが、経験を積んでいく中で、人との関係性、自分の行動の制御などを使っていくことを学びます。大人の社会では、子どもたちが、我慢していることに気づかずに、やり過ごしてしまうこともあります。また、「我慢しなさい」としつけの一部として押し付けてしまう大人優先の社会でもあります。しいて言えば全部が普通のことではありますが、我慢と自己コントロールと自己主張することがこどもの自律性を育み成長へとつながるのかを考えてみたいと思います。
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講座ではまず「スキャモンの発育曲線」を引用し、子どもが成人(20歳)するまでの身体や臓器の発達過程を説明された後、病院生活を送る子どもたちの我慢についてお話されました。特殊な環境下で新たな経験の連続、病気や治療との遭遇、拒んでも検査や手術・薬を止めることはできないということ、そして親にとっても病院とは未知との遭遇であり、不安そうにしている親を見ることや、自分は病院に残され親が帰宅してしまうことなど、子どもたちは多くを我慢しながら過ごしているといえます。
講師は、2歳から3歳頃になってくると、我慢しようとする力はかなり育っているという実感があるそうです。思春期になると我慢を強いられる状況に対して、理由を示すことで不確実な状況説明も苦しみながらも理解できるようになるとお話しされました。我慢しようとする力は認知発達と社会的状況判断能力、そして感情をコントロールする力が合わさって育っていくといえます。
そして子どもの能力は見守る親や兄弟がいて膨らんでいくとされ、生まれ持っている能力や生きる力をのばせる環境を社会は提供できているか、地域ぐるみで気にかけている人がいるというサインを届けられているか、再度「スキャモンの発育曲線」を参照し子どもの発達にはそれぞれの速度があるとしながら見守りの大切さをお話しされました。
最後に、子どもが我慢するのは気を使っているときが多い。周囲の大人は我慢していることに気が付いていることを伝えつつ見守りをしてもらえたらと締めくくられ、病院で長く子どもと向き合ってきた講師の熱意を感じる講座となりました。
- 我慢しながらも、子どもが成長すること理解できました。スキャモンの発育曲線、参考になりました。ありがとうございました。
- 子どもの我慢をしっかり受け止めてやろうと改めて思いました。ありがとうございます。