みえアカデミックセミナー2024 三重大学公開セミナー「会社の政治献金と会社法‐そもそも会社は政治献金をすることができるのか?‐」の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、昨年20年目を迎えました。これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
令和6年度の第2回目は、三重大学 人文学部 法律経済学科 教授の名島 利喜さんを講師にお迎えしました。
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「政治とカネ」をめぐる問題は、古くて新しい問題です。昭和45年に、最高裁は、会社が行う政治資金の寄付(政治献金)は許されるという判決を出しました。本セミナーでは、この最高裁判決を素材にして、そもそも会社は政治献金をすることができるのかという問題について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
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「会社法」を専門に研究されている講師の名島先生。まずは事例判決を読み解くための準備として、そもそも会社とは何か、という法律上の定義を確認しました。
その後「政治とカネ」の問題について大きな影響を与えた、昭和35年の八幡製鉄政治献金事件の最高裁判決を読み解いていきました。八幡製鉄株式会社の代表取締役2名が特定の政党に350万円(当時)を寄付したことに対し、それは会社に損害を与えたことになるのではないかと、ある株主が代表訴訟を提起したという事例です。
講師が判決の問題点をいくつか取り上げ考察を進めていきます。この事件で最高裁は、定款に書かれていないことであっても、書かれている目的を実現するために必要であればその行為をしても良いと判断しました。また、会社が社会的役割を果たすためにする行為という点で、災害救援資金の寄付、地域社会への財産上の奉仕、各種福祉事業への資金面での協力と政治献金は同じものと考えるとのことでした。
2024年6月に改正された政治資金規正法についても触れつつ、憲法や法律に違反しているわけではないけれど、専門家の間でも意見が分かれる政治献金の問題について、受講者の皆さんはこの講座を通じて考えを深めることができた様子でした。
- タイムリーな話題でとても関心がありました。
- 政治献金とかそれ以外の寄付の問題を今まで考えたこともなかったが、考えてみる良い機会を与えられました。
- 公務員だったので会社法ということばをはじめて知りました。社会の教科書にも出てこなかったなあ。それも珍しくおもしろかった。献金のことは八幡製鉄の裁判も知らなかったので、また知識がふくらみました。