みえアカデミックセミナー2024 鈴鹿工業高等専門学校公開セミナー「三重と最先端技術のつながり‐人工衛星の低コスト化と長寿命化への貢献‐」の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、昨年20年目を迎えました。これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
令和6年度の第1回目は、鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 教授の黒田 大介さんを講師にお迎えしました。
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気象衛星などの探査衛星はロケットで打ち上げて地球や太陽系を周回しており、宇宙空間での運用に至るまでに多くの予算が必要です。IoT社会基盤の発展には人工衛星の小型・長寿命・低コスト化が重要です。本セミナーでは、人工衛星の役割、鈴鹿高専材料工学科で取り組んでいる人工衛星の耐久性評価についてご紹介します。
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私たちの生活と人工衛星のつながりのお話からはじまり、人工衛星にとって最も重要なスラスタと呼ばれる姿勢・軌道制御装置の仕組みについて、3Dプリンターの登場による技術の進歩、そして鈴鹿高専で行われている材料の耐久性を調べる研究の一例をご紹介いただきました。
人口衛星はGPSや通信・天気予報のほか車の自動運転や防災情報の収集など、いまや私たちの生活になくてはならない存在です。それだけに、低コストで長寿命の人工衛星の開発が課題となっています。
講師の黒田先生は、スラスタに使われる材料の性質や部品の耐久性の研究をされています。人工衛星に使われる金属は、厳しい宇宙環境でも壊れない素材でなくてはなりません。
近年の3Dプリンターの性能の向上に伴い、いままでできなかった複雑な構造を作ることができるようになり、スラスタの性能の向上と軽量化が叶いました。さらに、3Dプリンターを用いることで金属加工のロスが減り低コスト化が実現しました。
しかし、3Dプリンターで加工された金属もスラスタの部品として用いるにはまだ課題があります。そこで鈴鹿高専では試験を重ね、人工衛星用金属のひずみや性質変化を測定し耐久性を評価しているとデータを参照しながら説明されました。
最後に今後の展望として、スラスタが実際に使われる環境を再現し耐久性評価をする技術の確立を目指し、人工衛星の高性能化・長寿命化へ貢献したいと締めくくられました。
日本の宇宙工学に三重県の最先端技術が大きく貢献していることが分かり、受講者の皆さんは興味深く聞いていました。
- 鈴鹿高専ガンバッてますネ!!応援したいです。
- 身近にあるGPSが宇宙から来ているデータによるということにあらためて驚きました。3Dプリンターがここまで進化しているというのは本当に驚きです。鈴鹿高専が宇宙に直結している研究をされているということを知り、これもまた驚きとともに感激しました。とてもわかりやすくてよかったです。
- 超最先端技術の研究開発の講座、初めて聴講させていただきました。ありがとうございました。私も技術屋ですがあまりにも進歩していてびっくりです。