講座ボランティア企画【第90回 名盤を聴く オットー・クレンペラー 特集 第2弾】の事業報告

開催日
2024年5月31日(金曜日)
開催場所
三重県文化会館 小ホール
開催時間
13時30分から15時50分まで
講師
梶 吉宏さん(三重県文化会館 館長)
参加人数
92人
参加費
無料

 20年以上続く 講座ボランティア企画「名盤を聴く」。講座ボランティアさんに資料準備や当日の司会など協力いただいています。今回はケガや大病、第二次世界大戦など時代背景による困難を何度も乗り越えたポーランド(当時はドイツ領)生まれの指揮者・オットー・クレンペラー、2006年以来の特集 第2弾です。

講師:梶 吉宏さん(三重県文化会館館長)

【チラシ文】ドイツのプレスラウ(現ポーランド、ヴロツラフ)生まれ。22歳でマーラーの推挙を受け、プラハのドイツ歌劇場の指揮者になり、以後、各地の歌劇場で活躍。ナチスドイツ政権樹立に伴いアメリカ合衆国に亡命。戦後はEMIプロデューサーのウォルター・レッグが設立したフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者として活躍しました。

命や指揮者生命を脅かす怪我や病気に幾度も見舞われながらも、その都度復活を遂げた波瀾万丈の生涯に遺したクレンペラーの名演、名録音を梶館長に紹介していただきます。

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85歳、座ってゆったりと指揮をするクレンペラー

前半はバッハとモーツァルトです。講師によると、クレンペラー指揮の音楽は「あまり小細工せずナチュラルで、木管楽器の音の伸びが生きている。外声(ハーモニーの最も高い音と最も低い音)だけでなく内声(高い音と低い音にはさまれたハーモニーを補う音)もよく聴こえる」という特徴があるとのことでした。

後半はベートーヴェンの『田園』です。この日聴いたのは1970年の演奏ですが、かつて1964年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を指揮した『田園』は好評を博し、ベルリン各紙が絶賛、カラヤンも嫉妬したというエピソードが講師より紹介されました。また、現在のオーケストラでは木管楽器は2管ずつですが、ここでは4管ずつ配置され、音の伸びを生かしているそうです。その他、テンポが全体的にゆっくりで第3楽章(「田舎の人々の楽しい集い」)は特に遅いのですが、これは「農民はきっと早く踊れない」というクレンペラーの考えによるとのことでした。

今回のプログラムは講師が数日悩み構成されたそうです。「最近の指揮者、確かに上手だが、個性が薄らいでいるような気もする。このように大きな個性を持つ指揮者がいたこと、皆さんに伝わったらうれしい」と講師が結び、この日の講座は終了しました。

資料を読みながらメモを取る方もいらっしゃいました
膨大な所蔵からプログラムを構成しています

 <プログラム>

1.J.S.バッハ: ブランデンブルグ協奏曲 第1番 へ長調 BWV1046

         第1楽章 アレグロ
         第2楽章 アダージョ
         第3楽章 アレグロ
         第4楽章 メヌエットートリオ1―メヌエットーポラッカーメヌエット
              ―トリオⅡ―メヌエット

            ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
                 (1968年 ウィーン楽友協会大ホール)
                                 
2.モーツァルト: 交響曲第41番 ハ長調 K.551 ≪ジュピター≫

            第1楽章 アレグロ ヴィヴァーチェ
            第2楽章 アンダンテ・カンタービレ
            第3楽章 アレグレット
            第4楽章 モルト・ヴィヴァーチェ

              ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
                   (1968年 ウィーン楽友協会大ホール)
                                     

            ・・・・・・・ 休憩 ・・・・・・・・


3.ベートーヴェン: 交響曲第6番 へ長調 Op.68 ≪田園≫  

           第1楽章 田舎に到着した時の愉快な感情
                アレグロ・マ・ノン・トロッポ
           第2楽章 小川のほとりの情景
                アンダンテ・モルト・モッソ
           第3楽章 田舎の人々の楽しい集い:アレグロ
           第4楽章 雷雨、嵐:アレグロ
           第5楽章 牧歌、嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち
                アレグレット

              ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
(1970年 ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール)
                              

                              

参加者の声

  • 毎回解説を聞いての鑑賞に大満足しています。いつもありがとうございます。
  • 初めて参加しました。家ではこのように大音響で聞くことができないので音の広がりや 各楽器の音色の動きがよく分かりました。またライブの生演奏にも出かけていきたいと思いました。
  • 木管楽器の美しさ、優しさが前面に表現されていると思いました。多人数の合奏が1つに溶け合って曲を作り上げる素晴らしさに感動しました。
  • 田園のファンタジーに酔いしれました。 芸術性に感動しました。次回も楽しみにしています。