みえアカデミックセミナー2023 三重短期大学公開セミナー「ヨハンナ・シュピーリ『ハイジ』における『学び』」の事業報告

開催日
2023年8月19日(土曜日)
開催時間
13時30分から15時00分まで
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
講師
三重短期大学 法経科 准教授 今本 幸平さん
参加人数
61名
受講料
無料

「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、今年ついに20年目を迎えました。
これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。


令和5年度の三重短期大学 公開セミナーは、法経科 准教授 今本 幸平さんを講師にお迎えしました。

講師写真
三重短期大学 法経科 准教授 今本 幸平さん

**************************【講演概要(チラシ紹介文より)】
世代を超えて知られるテレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』の原作小説をご紹介します。アニメを見てスイスの雄大な自然に憧れた方も多いと思いますが、約140年前に書かれた原作「ハイジ」はそれだけにとどまらず、現代の我々に様々な示唆を与えてくれます。今回は「学び」という視点を中心に原作を読んでみたいと思います。

講師メッセージ(講師一覧紹介文より)
私はドイツ語の響きの「かっこよさ」にひかれてドイツ語を学び始め、留学中に出会ったドイツ語の詩の「切なさ」にひかれてドイツ文学の研究を始めました。現在は主に19世紀の作家ハインリヒ・ハイネとヴィルヘルム・ミュラーの作品を中心に、当時の社会や文化との関連について研究し、三重短期大学でドイツ語と文学の講義を担当しています。本セミナーでは、スイスの作家ヨハンナ・シュピーリの代表作で、世界各国で放映された日本のアニメ『アルプスの少女ハイジ』の原作小説について、「学び」というキーワードで考えます。

**************************

学びをテーマに、『ハイジ』の原作小説の「教養小説(主人公が経験を通じて内面的に成長していく様子を描いた小説)」としての側面を中心にご講演いただきました。

原作小説では、ハイジ自身の内面的な成長過程とともに、ハイジに影響を受けた周囲の人々の様子も描かれています。
勉強は難しいと思い込んでいたハイジと、ハイジは勉強が苦手だと思い込んでいた家庭教師が、おばあさまのあたたかな励ましにより次第に成長していくエピソードを例に、「マインドセット(ものごとに取り組むときの考え方)」について説明していただきました。「固定マインドセット」を持つハイジと家庭教師の二人が、おばあさまの存在により次第に「成長マインドセット」を持ち、成長していく様子は、教育の大切さや学びの可能性ををよく表している場面であると言えます。

最後に講師は改めて、原作小説はハイジ自身の成長と、それに伴う周囲への影響を描いた作品であること、またキリスト教信仰が重要な要素であることを伝えたうえで、ぜひ一度原作小説を読んで、アニメとは違う面を楽しんで欲しいと締めくくられました。講座終了後のアンケートでも、多くの方から原作小説を読んでみたくなったとの声をいただきました。
講演の様子原作小説だけでなく、アニメや映画のファンなど多くの方にお越しいただきました。
 
講演の様子2「成長マインドセット」は能力は伸ばせるというポジティブな考え方、「固定マインドセット」は能力は変えられないというネガティブな考え方とされます。

参加者の声

  • 固定マインドセット、成長マインドセットのお話が聞けてよかったです。チャレンジし続ける精神は日常から大切にしています。
  • 自分の生き方に大きなヒントをくれる話で感動しました。子供の頃読んだアルプスの少女ハイジにこんな大切なことが書かれていたとは知りませんでした。聞いてよかったと思いました。アニメもよいけれど本を読むことは大事だと心から思います。
  • 物語に込められている「教育論」の説明を受けて、この物語から学ぶべきことの多さに驚きました。