みえアカデミックセミナー2023 四日市看護医療大学公開セミナー「語らいと健康」の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、今年ついに20年目を迎えました。
これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
令和5年度の四日市看護医療大学 公開セミナーは、 看護医療学部 看護学科 教授 大西 信行さんを講師にお迎えしました。

**************************【講演概要(チラシ紹介文より)】
語らいには「ストレス対処力」を高める働きがあり、それが健康につながっていきます。人はメンタルヘルスを良好に保つことが困難となった場合、これらを乗り切るために語らいをもつことで、ストレス対処力を高めることができます。今回は、語らいから得られる健康について、これまでの調査・研究を基に紹介します。
本セミナーでは、皆様が普段、親しい友人や趣味の仲間らとされている語らいについて、どのような効果があるのかご報告させていただきます。アントノフスキーは健康生成論のなかで、健康はいかにして回復し、増進されるのかという観点から、首尾一貫感覚(Sense of Coherence:SOC)を見出しました。SOCが向上した介入研究では、その特徴として、グループでの話し合い・学び合いといった相互作用や参加者の主体性や自主性の尊重が、SOCの向上につながっていることを報告しています。そこで演者らは、語らいの方法として哲学的対話を組み入れた、健康生成論的グループトークを実施し、その効果を検証するとともに日常生活への影響を明らかにしました。本研究の結果を基に、健康生成論的グループトークの効果について解説させていただきます。
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健康社会学者アントノフスキーによって提唱された「健康生成論」は、病気を抱えながら心身が良好な状態を目指す考え方です。これに対して、病気の原因を除去することによって治療を目指す考え方は「疾病生成論」と呼ばれ、治療に際しては、これら二つの考え方が相互補完的に取り入れられることが望まれます。
講演では、「健康生成論」を取り入れた治療プログラムとして、講師が実際に入院患者を対象に行っているグループトークの事例を紹介されました。プログラム終了後、参加者全員が肯定的な評価をしたことに触れ、自分の思ったことを話せる、聞いてもらえるという体験の積み重ねが、前向きな生き方に変化することに繋がり、病気とともに生きることの一助になるのではないかと語られました。今後は、このプログラムが長期入院者だけでなく、生きづらさを感じている方に向けて保健・医療・福祉の現場でも活用されることに期待したいと締めくくられました。

- 長期入院者に対するコミュニケーションの大切さがわかりました。統合失調症患者のみならず、他の疾患で入院をされていた人達に対しても必要との思いがしました。
- 語らいが健康によい影響を及ぼすこと、また実際に病棟で行われていることを学べてよかったです。
- 米国の映画などではグループディスカッション的な集まりの場面が出て来るが、今回の話と同じような効果があるのかなと思いました。