みえアカデミックセミナー2023 鈴鹿大学公開セミナー「道徳性の心理学 －人間は善悪をどのように考えるのか－」の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は、三重県総合文化センターを会場に、三重県にあるすべての大学・短期大学・高等専門学校の高等専門機関全15校が有する高度な学びと県民の皆さまをつなぐ一大連携事業として開催されている公開セミナーです。
毎年7月と8月に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすくご講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」（1996年スタート）を経て、「みえアカデミックセミナー」としては、今年ついに20年目を迎えました。
これからも三重県内の皆さまに、たくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
令和5年度の鈴鹿大学公開セミナーは、鈴鹿大学 こども教育学部 こども教育学科 教授 齋藤 信さんを講師にお迎えしました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊【講演概要（チラシ紹介文より）】
「何が善であり何が悪であるのか」「何が正しく何が誤りであるのか」は人間にとっての永遠の問いだと思います。 今回のセミナーでは道徳性に関する心理学の知見について皆様と考えていきたいと思います。できるだけわかりやすくお話しするつもりですので、皆様のご参加をお待ちしております。
今回のセミナーでは道徳性に関する心理学の知見について扱います。「道徳性はどのように発達していくのか」「道徳性の違いはなぜ生じるのか」「現代の道徳教育はどのようにおこなわれているのか」「なぜ現代社会で は道徳性の問題が絶え間なく起きているのか」などについて、時間の許す限り、皆様とともに考えていきたいと思います。講師は鈴鹿大学で、小学校教諭・幼稚園教諭・養護教諭・栄養教諭・保育士などを目指している大学生たちに心理学、教育心理学、発達心理学を教えています。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
【講演の内容】
Ⅰ. 道徳性はどのように発達していくのか
Ⅱ. 道徳性の違いはなぜ生じるのか
Ⅲ. 現代の道徳教育はどのようにおこなわれているのか
Ⅳ. なぜ現代社会では道徳性の問題が絶え間なく起きるのか
心理学者コールバーグやギリガンらによる心理学の理論を紹介したうえで、社会の変遷に伴い価値観は変わること、現代の道徳教育は大きな転換点にあることを説明されました。
そして、道徳教育には国家・学校・教師・社会などの価値観が入りやすいこと、押し付けではなく「主体的・対話的」な教育の難しさを指摘しました。
我々は多様な価値観と情報に囲まれた社会で生きており、現代社会は世界とつながりやすい分、世界から影響を受けやすいものとなっています。
その中で、違いを認めたうえで共通点を見つけ、人間の本質は変わらないこと、人間同士の理解・尊重・幸福を忘れずにいることが必要であると講演を締めくくられました。
- 子どもに自分の考えを押し付けていたり、自分の判断だけで物事を決めていることが多いのではと考えるきっかけになったと思う。
- 道徳を改めて勉強できました。特に道徳の成り立ちから現代での道徳を考えることができました。
- 考えさせられた講座でした。ありがとうございます。
