皇學館大学連携協定事業講座「倭姫宮御鎮座100周年について」の事業報告
今年度の皇學館大学連携協定事業講座は、「倭姫宮御鎮座100周年について」と題し、倭姫命(やまとひめのみこと)と倭姫宮(やまとひめのみや)についてお話しいただきました。
まず最初に、倭姫宮創建の経緯と当時の伊勢について歴史資料をもとに、長谷川怜先生にお話しいただきました。
倭姫宮は今から100年前、伊勢の人々の請願から創建されました。最初の請願は宇治山田市の議員を中心になされ、帝国議会でも議論されたことが、会議録に残っています。宮の創建には予算や立地、社格、奉祀の優先順位など、数多の困難がありましたが、伊勢の人々の熱意により、最初の請願から8年もの歳月を経て創建に至ったと説明されました。
では、これほど伊勢の人々に愛され、倭姫宮に奉祀されている「倭姫命」とはどういった存在だったのでしょうか。
「日本書紀」や「倭姫宮世記」などの文献の記述や元伊勢(巡行地)の写真とともに、千種清美先生に倭姫命についてお話しいただきました。
倭姫命は、第11代垂仁天皇の皇女であり、伝承上の時代の斎王でもあります。
神託を受け、天照大神の御杖代(みつえしろ)として各地を巡り、伊勢に天照大御神をお祀りしたと伝えられています。倭建命(日本武尊/やまとたけるのみこと)へ向けた言葉「慎みてな怠りそ」や文献などから、「倭姫命」の人物像についてひもといていきました。
講座の最後には、板井正斉先生の進行で対談が行われ、これまでの伊勢と倭姫宮について、そしてこれからの伊勢にとって倭姫宮がどのような存在になるのかなどを、長谷川先生と千種先生にお話しいただき、さらに理解を深めました。
2000年前伊勢のはじまりに関わった倭姫命、100年前の近代伊勢の人々の願いがかたちになった倭姫宮。
時空をこえ、伊勢に誘われた講座でした。
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対談の様子。 -
倭姫宮ご鎮座100年記念奉祝行事実行委員会の方にもご登壇いただきました。 -
「100年前の伊勢名所」の展示も行いました。
- 後世になって宮が創建されているのは、地元愛・民力の高さを感じさせます。人口減少で地域が消えていく時代になり、何かを守り伝えていくことが町の生き残りにもつながっていくのかな・・・と思いました。倭姫宮は是非訪れたいです。
- 倭姫の巡行と元伊勢という興味あるテーマで大変おもしろい内容でした。100年前に倭姫にスポットが当たる以前はどのように倭姫について伝承されていたのかも気になりました。
- 古代の倭姫伝承と近代の倭姫宮創建と両方を学ぶことができ大変良かったです。“伊勢”の成り立ちが今まで以上に興味深く思われました。津で開催していただきありがとうございました。