みえアカデミックセミナー2022(伊賀市)
近畿大学工業高等専門学校公開セミナー
「三重県名張市における安政伊賀上野地震の痕跡」

開催日
2023年2月12日(日曜日)
開催場所
ハイトピア伊賀5階多目的大研修室 ( 伊賀市上野丸之内500番地)
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
近畿大学工業高等専門学校  総合システム工学科都市環境コース(建築系) 准教授 田中 和幸 さん
参加人数
39名
参加費
無料
近畿大学工業高等専門学校  総合システム工学科都市環境コース(建築系) 准教授 田中 和幸 さん

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【講演内容紹介文(チラシより)】
1854年の安政伊賀上野地震の被害状況について、伊賀市に隣接する名張市では、ほとんど知られていません。2021年に名張市の旧市街地に建つ町家を調査したところ、この地震によると見られる被害の痕跡を確認することができました。そこから過去の地震の痕跡を、どのように捉えていくのか考えてみたいと思います。
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講演の様子_1

まず、安政伊賀上野地震が、どのような地震だったのかについて過去の文献や史料をもとに分かりやすく説明していただきました。また、安政伊賀上野地震について特集したYouTube動画や、東京大学地震研究所のホームページに掲載されている安政伊賀上野地震における液状化現象の研究、国立国会図書館のデジタルコレクションの町屋倒壊率について研究したものなども紹介していただき、全国的に安政伊賀上野地震について関心が高いことや、現代では個人でも気軽に調べることのできるデジタル情報がたくさんあることを教えていただきました。

講演の様子_2

続いて、伊賀市には安政伊賀上野地震関連の情報は数多くあるのに対して、名張市では安政伊賀上野地震について記した文書があまりないことについて触れられ、伊賀市の市史には旧名張町でも死者が2名出ていることが記載されていることや、名張市でも近年読み解かれた個人が記した古文書の中に安政伊賀上野地震で大きな被害が発生していたことが記されていたことから、名張市(旧名張町)でも安政伊賀上野地震の影響があったことを解説していただきました。

講演の様子_3

名張市の旧市街地の町屋について説明していただき、どれくらい街道沿いに町屋が残されているのか学生と調査した経験をお話しいただきました。そして、「旧増岡家住宅」という建物の内部構造を調査した際に、釘や床板の改修状態から江戸時代にまで時代を遡れる可能性が高いことや、建物にねじれが生じていること、柱と壁を補強した痕跡があることから安政伊賀上野地震に遭遇した家屋である可能性が分かることを詳しく解説していただきました。
最後に、古い町屋や建造物を残していくことは、単に景観を守るだけでなく、建物を調べることで、自然災害の歴史を辿ることができるなど防災の観点からも大切な史料であるとおっしゃられこの日の講座は終了しました。

参加者の声

  • 身近な時代、場所のことについて多くの知る事に出逢い良かったと思います。ありがとうございました 。
  • 近大学生が活動している事が判りました.
  • 名張市に地震の跡がわからないということがわかった。又解明方法もよくわかった。