NIPPONの原点を学ぶ 三重の魅力発信セミナー(三重県生涯学習センター×皇學館大学)
「近代伊勢への旅」の事業報告

開催日
2022年10月14日(金曜日)
開催時間
19時00分から20時30分まで
開催場所
三重テラス(東京・日本橋)
講師
長谷川 怜さん(皇學館大学文学部 国史学科助教)
参加人数
35名
受講料
無料

三重県生涯学習センターと皇學館大学との生涯学習振興に関する連携協定に基づいて実施する「NIPPONの原点を学ぶ 三重の魅力発信セミナー」。
本セミナーは三重県生涯学習センターの広報・企画力と皇學館大学の学習資源を併せたアウトリーチ事業の取り組みの一環で、東京三重テラスから三重の魅力を全国発信しました。

今年度のテーマは「近代伊勢への旅」。
伊勢が観光地として整備され「神都」から「聖地」へ発展する歴史を、古写真や絵葉書、鳥瞰図などでたどりました。

当時の伊勢の地図
たくさんの資料をもとに、知られざるエピソードや近代伊勢の歴史についてをお話しいただきました。

伊勢のインフラ整備のきっかけは、明治天皇の神宮参拝でした。
民間団体「神苑会」が中心となり、外宮・内宮の神苑整備や御幸道路の建設が進められ、「神都」伊勢の姿が形成されていきます。

日露戦争の戦勝を経て、神宮参拝は大いに盛り上がり、国民にも神宮参拝が奨励されるようになりました。
明治天皇や当時の総理大臣らによる伊勢神宮への戦勝報告の写真や、伊勢神宮の境内に日本軍の兵器や鹵獲したロシアの兵器の展示など、伊勢神宮が日露戦争の勝利の記憶を刻む場所としても認識されていたことがわかります。
また、講師が古書店で入手した、1939年の群馬県の小学校の参宮旅行(修学旅行)の「旅のしおり」を用いて、当時の人々にとって、神宮がどのような存在であったかも説明されました。

大正の末には、宇治山田市によって「大神都聖地計画」が構想されました。
計画には、外宮内宮の拡張・整備や神宮皇學館大学の設置、鉄道路線の整備などが盛り込まれていました。1944年には戦況の悪化などのため、整備事業はすべて中止とされましたが、戦後の復興計画に部分的に継承されているそうです。

講座の最後には、写真や絵図、絵葉書によって伊勢の街並みの今昔や、当時の面影を残す建物も紹介され、現代と近代の伊勢の魅力をたっぷりと伝えていただきました。

伊勢神宮の境内に飾られるロシア軍の兵器
伊勢神宮の境内だけでなく、皇居前にも日本軍の兵器や鹵獲したロシアの兵器が陳列されていたそうです。
実際の資料
当時の伊勢がわかる史料もお持ちいただきました。

参加者の声

  • 大変楽しく興味深いお話でした。伊勢の歴史・魅力を再発見し、行きたくなりました。素晴らしいセミナーをありがとうございました。
  • 伊勢に関して初めてお聴きするお話ばかりで、とても楽しかったです。多彩な資料を用いての、今とのつながりを直に感じられる面白いお話でした!
  • 多くの資料ににて伊勢について大変わかり易くお話しいただきありがとうございました。本日の講座をお聞きしてぜひ今年中に伊勢神宮参拝・伊勢旅行をしたいと思います。
  • 皇學館の歴史と三重県の歴史は複雑に絡みあい、それは現在でも続いていることを感じました。伊勢神宮にも一度しっかりと行ってみたいと思います。