みえミュージアムセミナー 芭蕉翁記念館「ふるさと伊賀における芭蕉の創作の姿」の事業報告
伊賀市にある芭蕉翁記念館は、俳聖 松尾芭蕉翁の真筆のほか連歌や俳諧に関する資料を展示しています。また、芭蕉翁記念館の貴重な資料のうち、伊賀市所蔵の資料を、インターネットで閲覧できる「デジタルミュージアム 秘蔵の国 伊賀」で公開しています。
今回のセミナーでは、芭蕉翁記念館の学芸員髙井悠子さんに「ふるさと伊賀における芭蕉の創作の姿」と題して講演していただきました。
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伊賀市は、俳聖 松尾芭蕉のふるさとです。芭蕉は旅の詩人として有名ですが、生涯を通して度々伊賀へ帰郷し、この地で多くの作品を生み出しています。
ふるさと伊賀で芭蕉がどのように創作に取り組んだのか。令和3年度に完成した「デジタルミュージアム 秘蔵の国 伊賀」で紹介される資料を読み解きながら、芭蕉の創作の実像に迫ります。
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伊賀で生まれ育った芭蕉は、30歳で江戸へ行ってから51歳で亡くなるまでに、約10回の帰郷をしており、その際に行われた句会の様子などを、残された資料を紐解きながら、一般的にあまり知られていない芭蕉像を解説していただきました。『奥の細道』も、何度も修正した跡がみられるように、松尾芭蕉は、天才的に素晴らしい作品を詠んでいたのではなく、地道な努力とたゆまぬ人々との交流によって作品を生み出していた。そして周りの人を大切にしたからこそ、その人々が残した日記や手紙から現代でも芭蕉の足跡を知ることができているとお話しされました。また、伊賀市で作られた「デジタルミュージアム」では、芭蕉に関する資料が、鮮明に見ることができ、原本と翻刻が簡単に比較できることなども説明されました。
- 芭蕉は単身で俳句の道を築いた人だと思っていたので「地道な努力と人々とのたゆまぬ交流の中で作品は生まれた」と説明を伺って驚きました。(会場)
- 興味深いお話でした。久しぶりに伊賀を歩いてみたくなりました。見る所が沢山あります。(会場)
- 外出を戸惑っていたところ、ネット配信も企画していただいていることを知り参加させていただきました。 芭蕉は遠方を旅した歴史上の偉人との認識でしたが、人間的なエピソードや、故郷との深いかかわりを知り、身近な生きた人として捉えることができました。 また、芭蕉自身の人との関わりや、芭蕉を慕う人々の恩恵で今も芭蕉を深く知ることができていると知り、自分もささやかでも継承できるような知識や関心を持っていきたいと思いました。(オンライン)