みえアカデミックセミナー2022
鈴鹿大学公開セミナー
「予測不能な現代を乗り切るためのポジティブ心理学」の事業報告

開催日
2022年7月27日(水曜日)
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
鈴鹿大学 国際地域学部 国際地域学科 講師 小西 琴絵さん
参加人数
75名
受講料
無料

「みえアカデミックセミナー」は三重県内の大学・短大・高専・放送大学を含めた高等教育機関との連携で生まれた公開セミナーです。
毎年7月から8月(令和4年度は7月14日から8月27日まで)にかけて、三重県総合文化センターを会場に、各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすく講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)から既に20年を過ぎ、「みえアカデミックセミナー」としては、19年目を迎えました。
今後も、県内の皆さんにたくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
※令和4年度は2セミナーの中止により13セミナーを開催しました。


令和4年度の鈴鹿大学公開セミナーは、鈴鹿大学 国際地域学部 国際地域学科 講師 小西 琴絵さんを講師にお迎えしました。

鈴鹿大学 国際地域学部 国際地域学科 講師 小西 琴絵さん

**************************【講演概要(ホームページ・チラシ紹介文より)】
昨今、経済や企業組織、個人のキャリアにいたるまで、ありとあらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にあります。この様な現代に「ポジティブ心理学」を通して「人が幸せに生きること」を科学的に追求し、「良い(善い)生き方」を考えます。
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講演の様子1(2022年7月27日)

はじめに
講師の小西さんの研究テーマである個人が時間をどう捉えるのか、どういった人が成長しやすいのかという「時間的展望」の観点から、人が成長したり変化したりするために必要な「気持ち」に着目してお話を進めていただきました。
まず、現代は「VUCA(ブーカ)※」の時代と言われており、変化が激しく環境の複雑性が増し、想定外の事態が起こりやすくなり、今までの自分や先達の経験からでは将来を予測しづらい時代に直面しているとおっしゃられました。

その上で、特に日本人は「変化に弱い民族」だと言われていて、理由としては日本人が「不安遺伝子」と呼ばれる遺伝子の型を持っているという研究結果があること、変化に敏感でその変化をネガティブにとらえやすく「不安」を感じやすいのだと解説されました。一方で、日本人は不安をポジティブなものに変換する能力も持っていると語られ、結果的に世界に誇る繊細な技術やおもてなしを可能にしていると語られました。そして、ネガティブを不安のままにしないで、前向きに捉えなおして生きていこうという考え方を教えてくれる学問が「ポジティブ心理学」だと説明していただきました。

講演の様子2(2022年7月27日)

ポジティブ心理学
ポジティブ心理学とは簡単に言えば「人が幸せに生きること」を科学的に分析・解明しようと試みている学問だと講師の小西さんは語られました。心理学において「治療」を行うのが精神科や心療内科であるのに対し、風邪をひかないためにマスクや手洗いをするように、「ポジティブ心理学」は心を守るために「予防」をするためのものであると解説され、その上で、しっかりと区別をしなければいけない点として、とにかくネガティブな要素を排除して無理をしてでも前向きにならなければならないという考えの「ポジティブシンキング(楽観的な思考)」と自分のネガティブな感情を受け入れ、ポジティブとネガティブのバランスを重要とする「ポジティブ心理学」は似ているようで違うというものだと教えていただきました。

また、そのためには「レジリエンス」を高めることが大切であり、自分の状態を受け入れ元の心の状態に戻れる柔軟性を養うことや、この能力は先天的ではなく、学習可能な能力であると解説していただきました。そして、キーワードとなる「幸せ」についても、幸せを結果の状態とするのではなく、小さな幸せを積み重ねること、幸せが原因となって幸せな人生を送れるようになると考えるのがポジティブ心理学の特徴だとおっしゃられました。

講演の様子3(2022年7月27日)

幸福を科学的に考える
後半では、受講者の皆さんが実際に幸福度の心理テストに挑戦され、その結果を講師の小西さんに分析していただきました。また、単純に「幸福」かどうかを問うのではなく、ポジティブ心理学ではいろんな方面から一つのことを聞く手法をとることや、結果が低かった場合でもこれから幸せになる伸びしろがあると幸福の可能性を高めることを重要視することなど心理テストから読み取ることの特徴についてお話をいただきました。

おわりに
最後に、ポジティブ心理学とは現代を生き抜く力、自分の心を守るために大切な学問であるとおっしゃられ、その為に寝る前に良いことを考えたり感謝をしたりすることで良い状態を意識的に身につけるなどのすぐにでも実践できるコツや、「新しい学び」を見つけること、常に「感謝」をベースに持つことで前向きさや自分らしさに繋がっていくと語られこの日のセミナーは終了しました。

※「VUCA(ブーカ)」…Volatility(変動)・Uncertainty(不確実)・Complexity(複雑)・Ambiguity(曖昧)の頭文字を並べた言葉。先が読めないこと、推測しづらいことを表す。

参加者の声

  • 本日この心理学の講義を受講できたことに感謝しております。今のこの年齢に、講師より聴講した事柄を心に深く取り入れられた部分が沢山ありました。あと20年以上30年程、私の人生があると願い、自分らしい、自分の一度きりの人生を明るい心で日々を自分の幸福に感謝し生きていきます。ありがとうございました。
  • 実践も交えて、その解説もよかった。後半分かりやすかった。 
  • きちんとした口調で判りやすく説明して、私でも少し理解できたような気がします。色々なことを思い感謝できる自分でありたいと、いまさらながら考えるセミナーでした。感謝!!
  • ネガティブな人間なので、ポジティブ心理学はとても勉強になりました。
  • いいことはなくても、悪いことじゃない。普通も良しとできると気づけました。