講座ボランティア企画【第84回名盤を聴くジュゼッペ・ディ・ステファーノ 特集】の事業報告

「今日のプログラムは当時の実況、観客の拍手や歓声が聴こえるものがあるので、皆さんも『いい』と思ったらぜひ拍手をお願いします」という講師のアナウンスでこの日の講座はスタートしました。
ヴェルディの歌劇『リゴレット』より「女とは風に踊る(女心の歌)」では、ステファーノの甘く伸びやかな歌唱に熱狂する観衆の大歓声があり、アンコールに応える様子が伝わってきます。また、次のヴェルディ『椿姫』は、たった1日だけのマリア・カラスとの共演の様子を鑑賞しました。講師によると、この歌劇はミラノ・スカラ座の舞台監督でもあったイタリア映画の巨匠、ルキノ・ヴィスコンティにより演出されましたが、ファンであるがゆえ、カラスをあまりにも重視しすぎたため、怒ったステファーノはカーテンコールにさえ出て来ず、2日目からは降板、他の歌手が舞台に立ったそうです。
また、彼は派手な私生活でも話題を集め、飲酒やギャンブルなどで公演をキャンセルしてしまうことも度々あったようです。ステファーノ夫人の著書『わが敵 マリア・カラス』によると、1960年代声が出ないスランプの中にあった彼女がステファーノの自宅で寝泊まりしながらレッスンを受けていた期間があり、実際に3年間は関係はあったと彼自身が認めたとの記述があると講師より解説がありました。
聞きなじみのあるナポリ民謡を楽しんだ後、マスカーニの歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』よりマリア・カラスとの「トゥリッドゥとサントゥッツアの二重奏」、そしてラストを飾ったのは、十八番と言われるカルディルロのカタリ「つれない心」でした。来場の方々より拍手が起こり、「声に華があった」「心が震えました」「生で聴いてみたかった」などのお声をいただき、この日の講座は終了しました。
-プログラムー
1.レオンカヴァッロ:歌劇『道化師』より 「衣装をつけろ」
(指揮)エリック・ロビンソン
ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団
(1958年1月26日)
2.ヴェルディ:歌劇『リゴレット』より 「女とは風に踊る(女心の歌)」
(指揮)ウンベルト・ムニャーイ
メキシコ・パラッショ・デ・ベリャス・アルテス管弦楽団
(1952年6月17日)
3.ヴェルディ:歌劇『椿姫』より
① 「彼女から遠く離れていると」
② 「僕の煮えたぎるような思いの」
(指揮)カルロ・マリア・ジュリーニ
ミラノ・スカラ座管弦楽団
(1955年5月28日)
4.ドニゼッティ:歌劇『愛の妙薬』より 「人知れぬ涙」
(指揮)フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団
(1955年9月)
5.プッチーニ: 歌劇『ラ・ボエーム』より 「なんて冷たい手でしょう、私に温めさせてくれませんか」
(指揮)アントニーノ・ヴォットー
ミラノ・スカラ座管弦楽団
(1956年8月、9月)
6.プッチーニ:歌劇『トスカ』より
① 「妙なる調和」
② 「星も光りぬ」
(指揮)ジャナンドゥレア・ガヴァッツェーニ
ミラノ・スカラ座管弦楽団
(1959年12月12日)
――――――― 休 憩 ――――――
7.ナポリ民謡
① 帰れソレントへ
② マレキアーレ
③ マリア・マリ
④ サンタ・ルチア
⑤ オー・ソレ・ミオ
⑥ フニクリ・フニクラ
ディノ・オリヴィエリ管弦楽団
ジャン・マリア・ガリーノ管弦楽団
(1950年代)
8.ビゼー:歌劇『カルメン』より 「花の歌」
9.マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より
「トゥリッドゥとサントゥッツアの二重奏」
(ソプラノ) マリア・カラス
10.カルディルロ:カタリ「つれない心」
(ピアノ)ロバート・サザーランド
(1974年10月19日)
- 初めて参加しましたが大きな会場で聴けるのがいいと思いました。
- 大変感激しました。テノールの声の最高を知りました。ありがとうございました。
- ステファーノが好きで学生時代よく聞きました。今日聴かせていただいたアリアは初めてのものばかりで来させて頂いて本当に よかったです。 特に「女心の歌」は圧巻でした。 びっくりしました。ブラボー‼
- いい人生で羨ましいです。
- 梶館長講師のやわらかな講話とともにレコードよりの楽曲は心に年代の古さを、しみわたる名曲を、時が経ってもかけがえのない大切さ、貴重なものを届けてくれました。次回も楽しみにしております。