みえアカデミックセミナー2022
鈴鹿工業高等専門学校公開セミナー
「参加者に教育的効果を与える『教育ゲーミング』とは」の事業報告

開催日
2022年7月16日(土曜日)
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
開催時間
13時30分から15時05分まで
講師
鈴鹿工業高等専門学校 電気電子工学科 教授 川口 雅司 さん
参加人数
会場受講:41名 / オンライン聴講:14名
受講料
無料

「みえアカデミックセミナー」は三重県内の大学・短大・高専・放送大学を含めた高等教育機関との連携で生まれた公開セミナーです。
毎年7月から8月(令和4年度は7月14日から8月27日まで)にかけて、三重県総合文化センターを会場に、各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすく講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」(1996年スタート)から既に20年を過ぎ、「みえアカデミックセミナー」としては、19年目を迎えました。
今後も、県内の皆さんにたくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
※令和4年度は2セミナーの中止により13セミナーを開催しました。


令和4年度の鈴鹿工業高等専門学校公開セミナーは、鈴鹿工業高等専門学校 電気電子工学科 教授 川口 雅司さんを講師にお迎えしました。

鈴鹿工業高等専門学校 電気電子工学科 教授 川口 雅司 さん

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【講演概要(ホームページ・チラシ紹介文より)】
いわゆる繰返しゲームである「ゲーミング」は、複雑な問題を解決する新しい手法として注目されており、教育、訓練、意志決定、娯楽等のさまざまな目的に使用されています。代表的な課題である「費用分担問題 ※」について解説し、みなさまにもゲーミングに参加して頂きながら一緒に最適な答えを見つけ出したいと思います。

【※費用分担問題:ゲーム理論の一種。費用を誰がどのように負担するか、いかに総費用を分担するかという問題】
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講演の様子12022年7月16日)

1.はじめに
「ゲーム」と聞くとスマホゲームやスポーツの試合、トランプなどを連想しがちだけれど、ゲーム=娯楽・遊びとは限らないとおっしゃられ、「ゲーム」とは勝負または勝敗を決めることであり、「ゲーミング」とは繰り返しゲームのことであると「ゲーム」と「ゲーミング」の違いについて説明していただきました。

講演の様子22022年7月16日)

2.ゲーム理論
続いて、「ゲーム理論」という学問について「囚人のジレンマ(葛藤)」という考え方を例として説明していただきました。同じ事件で逮捕された二人の囚人が、司法取引によって自白か黙秘かの選択を迫られた際に葛藤が生じ、個人の最適化を図ろうとすると、結果として全体の最適選択とはならないこと、「囚人のジレンマ」のようなゲーム理論は、環境保護や値下げ競争の問題など幅広い状況で使用されていると語られました。

3.ゲーミングの種類
「ゲーミング」は複雑な問題を解決する新しい手法として注目されており、大きく分けて「娯楽・教育・作戦」の3種類があると言われ、セミナーでは参加や全員に教育的効果や訓練の効果を与えることが期待される「教育ゲーミング」について詳しく紹介していただきました。

講演の様子3(2022年7月16日)

4.費用分担問題
5.スウェーデンゲーム
6.最大余剰金額
7.ゲーミング実習
「ゲーム理論」の一種である「費用分担問題」は、費用をだれがどのように負担するか、いかに総費用を分担するかという問題で、ゲーミングを用いてどのように解いていくのかということを「スウェーデンゲーム」の例をもとに説明していただきました。6つの地区の分担金を算出する際、需要量や人口割などさまざまさな配分方法が考えられるものの建設に要する費用とは比例しないことや、全体的な問題を検証する場合には「最大余剰金額」を考える必要性について教えていただきました。

実際にスウェーデンゲームに挑戦したあと、理論的に分担金を求めるとして完全な解ではないけれど、「シャプレー値」という計算方法があると紹介していただきました。

当日はYouTubeでの同時配信も行いました。

最後に、ゲーミングの利点とは、ルールの押し付けや利益を最優先にすると不満が残りうまくいかないことを実感でき、協力と競争のバランスを学ぶことができることだと語られ、この日のセミナーは終了しました。

参加者の声

  • ひさしぶりに数学の勉強をした気分。おもしろかったです。
  • ゲーム理論は初めて耳にしました。「囚人のジレンマ」は知っていましたが、少し難解でしたが、興味深かったです。
  • ゲーム理論、ゲーミングについて大変勉強になりました。地域社会活動に生かしたいと思います。
  • ゲーミングについて、興味深く聴かせていただきました。