だから私は南極に行く―こうして「悪魔のおにぎり」は生まれた―の事業報告

講師の渡貫淳子さんは3度目の挑戦で母親として史上初の調理隊員です。2016年より昭和基地で第57次南極地域観測隊(冬隊)の任務に就かれました。「南極に行きたい」と夢を語った時、はじめは相手にされなかったものの、ずっと言い続けていると次第に周囲の人々が助けてくれるようになったそうです。
講演では南極までの道のりに起こるブリザードやそこに生きる動物たち、オーロラなど貴重な映像を紹介しながら分かりやすく説明くださいました。例えば、ペンギンやアザラシは保護対象のため近づけず、一定距離の保持が必要だそうですが、時々動物の方から近づいてくることもあり、隊員たちの癒しの時間だったといいます。
次は任務についてのお話です。仕入れは年1回、ほぼ冷凍食材で、特にキャベツ1玉を7か月間をかけて使うほど生野菜は貴重だそうです。そして生ごみや水の問題も重要で「排水を出さない」ために、ビーフシチューは刻んでミートソースに、うどんのつゆは麩に吸わせて煮物にリメイク。そのような中で昼食の天ぷらうどんの天かすと、キャベツが貴重でメニューになり得なかったお好み焼きの青のりと天つゆをごはんに混ぜ、夜中に食べるにはカロリー過多の「悪魔のおにぎり」となったとのことです。
質疑応答では「ホームシックになった時は?」「南極で元気が出る食べ物は?」「成長したと思うことは?」などの質問がありました。渡貫さんによると、男女に業務の差がない過酷な任務の中で食の役割は大きく、ご自身も季節に沿った食事を出すことを心がけたそうですが、<みそ汁・ごはん・焼魚>のような何気ない食事がよろこばれ、隊員たちを支えていたそうです。そして制約された生活の中で自信が生まれ「Noの理由よりYesの可能性を考えるようになった」と話される姿が印象的でした。

- 南極の事はTVや本などいろいろ知っていましたが実体験を聞かせていただきとても話の内容がわかりやすく、すーっと入ってきて楽しい時間を過ごさせていただきありがとうございました。
- 映像もお話も素晴らしい講師ですね。驚きました。ずっと心待ちにしていましたが、予想以上の素晴らしい方ですね。
- 南極の自然が良くわかりました。きびしいけれど素直な場所だと実感できました。
- 来てよかったです。何でもやろうとする意志があれば可能性があると強く思いました。
- 南極の話が中心かと思っていたが、受講者の視点で「考えさせる」「気づかせる」「学ばせる」内容でありとても勉強になった。
- いろいろな話がきけておもしろかった。ゴミ、水の話はとても参考になり考えさせられた。
- なんきょくにぽすとがあるってはじめてしったよ(10代以下)