講座ボランティア企画 シリーズ文学(2回連続講座)【小泉八雲の日本愛~ハーン先生の見た 小さな妖精の国~】の事業報告

開催日
2022年2月27日(日曜日)から3月6日(日曜日)
開催場所
男女参画センター多目的ホール(三重県総合文化センター内)
開催時間
13時30分から15時30分まで
講師
河原徳子さん(日本文学研究家) 生田隆明さん(和太鼓奏者) ※3月6日のみ出演
参加人数
172名(2月27日) 154名(3月6日)
参加費
無料

講座ボランティア企画・シリーズ文学(2回連続講座)、19回目を迎える今回は日本人の心を深く見つめた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の生涯と作品にせまりました。

講師・河原徳子さん 

第1回は小泉八雲の生い立ちから来日、そして帰化するまでに日本を愛したその生涯と評論『日本の面影』の中に描かれた日本人への思いに触れ、第2回は講師・河原徳子さんの朗読と和太鼓奏者・生田隆明さんの演奏との共演で代表作『怪談』の中から「耳なし芳一」「雪おんな」などを存分に楽しみ、味わいました。
八雲はギリシャに生まれますが、その後19歳でニューヨークに渡り、様々な職を経験後、新聞記者に。記事を小説のように書き、読者をワクワクさせると話題になり、40歳の時、特派員として来日、松江の師範学校の英語教師として採用され、松江藩士の娘・小泉節子(セツ)と結婚。講師によると、八雲はあまり日本語ができなかったので、後に綴られる物語の原話は妻・セツから語られた「ヘルンさん言葉」によるものだそうです。「ヘルンさん言葉」というのは、「私わからない」「あなた違う」のような助詞がないのが特徴で、八雲は度々「あなたの言葉で読んでくれ」とせがみ、ふたりの愛情のしるしでもあるとも評されたと言います。

和太鼓奏者・生田隆明さん 桶胴太鼓を演奏

和太鼓奏者の生田隆明さんをお迎えした第2回では、『怪談』より「耳なし芳一」「雪おんな」など、よく知られた作品を味わいました。講師の豊かな朗読と和太鼓の臨場感のある音の相乗効果で、場面が目に浮かぶようでした。前半の最後には、生田さんによる太鼓の独奏、太鼓の種類などについても解説もありました。例えば雪を表現するには、撥(バチ)の先を布でくるんだ「雪撥(ゆきばち)」で叩くそうです。来場の方からも「踊る鬼火の中の芳一の情景が思い浮かんだ」「雪おんなのこわい感じが出ていた」との声をいただきました。

八雲が生きた明治中期から末期、日本は西洋至上主義の最中にありました。しかし、西洋に生まれた八雲は『日本の面影』の「日本人の微笑」の中で「…日本人のように、幸せに生きていくための秘訣を十分に心得ている人々は、他の文明国にはいない。……無私と忍耐を、われわれのうちに培う必要があるということを、日本人ほど広く一般に理解している国は他にあるまい。」と記しています。講師によると八雲は考え方の上でも生き方の上でも縛られない生活を送り、自分自身に対して誠実に生き切ったそうで、これは、120年後に生きる私たちにも大切であると教えてくれているようでもあります。

  • 受付など講座ボランティアの皆さんに担当いただいています

  • 間隔を空けて着席いただきました

  • 資料を読みながら解説を聴きます

  • 和太鼓を近くで見る参加の方々

  • 太鼓について解説する生田さん。

  • 長島りょうがん所長のあいさつ

参加者の声

  • 八雲の大ファンになりました。美しい日本を再度見つめ直したいと思います。
  • いつも河原先生の講座は素敵なのですが今回は和太鼓が絶妙の間合いで奏じられ、語りと共に幽玄の世界へ誘ってくれました。素晴らしい時間をありがとうございました。
  • 河原ファンです。しゃきしゃきの文学論に惚れぼれします。毎年の楽しみです。続けてください。
  • 河原先生の朗読を生田さんの和太鼓がひきたててとてもいいコラボだったと思います。終始河原先生の方をじっと見ながらそれに和太鼓の調子を合わせようとする生田さんに感動しました。和太鼓との独演にはすごい迫力があり、生田さんの生き生きとした躍動感が伝わってきてよかったです。